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書籍【テレビ局再編】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B0CQL5SJGN

◎タイトル:テレビ局再編
◎著者:根岸豊明
◎出版社:新潮社


放送業界の人は読むべきだと思う。賛否両論あるかもしれないが、それを議論することが大事ではないだろうか。
それぞれに感じるところはあるはずだし、感情論だけではない生き残るための議論もあるはずだ。
今私自身が会社で働いていても、とにかく核心に迫った議論をする機会が少な過ぎる。
まず議論に入る前段階でも、様々な課題が山積しているのは承知の上だ。

・時間をかけて議論する内容のはずだが、とにかく時間を確保できない
・社内だけでもこの議論に参加すべき関係者が多過ぎて収拾がつかない
・関係者が集まっても、知識レベルに差があり過ぎて議論するだけで困難
・知識を揃えるところから行うと、議論まで辿り着けない
・正解がないものをそもそも議論して最適解を出す方法にも慣れていない
・議論しだすと、どこまでも広がり過ぎて、どこに着地させればよいか迷走する
・業界構造上の問題も大きく、自社の努力だけで解決できないことは多い

あれこれと言い訳を書き出すとキリがないが、そもそも芯食った話にまで辿り着けていないと、私自身の周辺ですら感じるところだ。
とにかく問題の根が深い部分もあるので、簡単には超えられない壁なのかもしれないが、未来で生き残りたければ膝を詰めて真剣に議論するしかない。
唯一の正解はあり得ない訳だから、現状全体としての最適解として関係者の合意を取りつけ、後は信念を持って実行して完遂することだ。
とっくにそういう時期に来ている。
しかし議論して決めるべき人たちは、残念ながら未来に対しての実行部隊にはなり得ない。
だからこそ難しい面があるのだが、ここを超えていかないと未来はない。
私自身は本当にそう思うのだ。
(こう記載するといまだに「不安を煽っているだけだ」と責められることすらある)
本書のAmazonレビューを読むと、評価は決して高くはない。
放送系やエンタメ業界ではない一般の方々からすると「何を甘いことを」という論調になってしまうのだろう。
確かに一般の方々からすると「既得権益に守られて、大きな危機も今まで経験してないのだろう」と見えるのかもしれない。
そういう側面があるのは事実かもしれないが、一方でこの30年の変遷を身をもって体験してきた側としては、「楽をしてきた」とはとても思えない。
先人の苦労も十分見てきたし、業界再編の話は浮かんだり沈んだりで、それでも信念を持って新しい時代を切り開こうと悪戦苦闘してきたのを思い出す。
改めて考えると、沢山挑戦して、沢山失敗したものだ。
私自身が経験したものも一部あるが、成功はほんの僅かだろう。
(それを本当に「成功」と評価できるのかは、今でも分からない)
実際にほとんどが失敗と言える中で、歯を食いしばって戦っていたような気がする。
だからこそ、もっともっと真剣に議論した方がいい。
歴史も踏まえて戦ってきた先人たちは存在する訳なので、一体何が原因で何が駄目だったのか。
詳細な分析も必要だろう。
かつてはデータを揃えるだけで大変だったが、今ではある程度議論の俎上に乗せられる資料は手に入るはずだ。(もちろん有料だろうが)
本当に本書を読むだけでもいい。
内容を分解して、一つ一つ検証して議論を試みるだけでもいい。
時間は相当にかかる。むしろ時間をかけて議論するべきだ。

・ネットワーク局の今の状況を改めて把握する
・放送の仕組みと、インターネットの仕組みの違いを正しく理解する
・インターネットの中でもスマホは何が違うのか正しく理解する
・SNSはどういう仕組みなのか正しく理解する
・インターネット広告の仕組みを正しく理解する
・インターネットで商品を売買する仕組みについて理解する
・Youtube・Netflix・アマプラについて正しく理解する
・TVerについて正しく理解する
・コネクテッドTVについて正しく理解する
・コンテンツを制作することについて理解する
・そもそもコンテンツビジネスについて正しく理解する
・コンテンツビジネスとエンタメビジネスの違いについて正しく理解する
・海外にコンテンツを販売することについて理解する
・海外のメディア企業がどういう戦略で戦っているかを理解する
・報道機関としての役割を理解する
・著作権含めた知財について正しく理解する
・コンテンツビジネスの会計について理解する
・ゲームについて理解する
・メタバースについて理解する
・ビットコイン含めて貨幣そのものについて理解する
・放送の歴史を改めて正しく理解する

おそらく上記のテーマ以外にももっともっと議題はあるだろう。
「〜を理解する」と記載したが、まずは前提の知識が本当にバラバラなのだ。
現状を理解して把握してこそ、「さぁどうする?」という議論を始められる。
勿論私自身も上記をすべて正しく理解できている訳では決してない。
常に理解不足で苦しんでいるし、事実として難し過ぎて理解できないことも多い。
勉強不足を補うために努力しているつもりではあるが、いつも右往左往してばかりいるのが現実だ。
だからこそ教えてほしいことが沢山あるし、何を考えているかの意見交換もしてみたい。
本気でそんなことを考えている。
(2024/2/2金)


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