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書籍【定年前と定年後の働き方~サードエイジを生きる思考】読了

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◎タイトル:定年前と定年後の働き方~サードエイジを生きる思考
◎著者:石山恒貴
◎出版社:光文社新書


人は誰でも必ず老いていく。寿命は益々延びていくだろうから、いつまでも活き活きと生きていきたいと思う。
ついついくたびれたシニアになる自分を想像してしまうが、実際にはそんなことはない。
データの上では、シニアの幸せ度合いは上がっている。
自分自身もシニア職に近づいてきたから余計に感じるが、そろそろ様々な環境変化に備えなければいけない。
具体的な準備は多々あるが、一番大事なのは、マインドチェンジではないだろうか。
「心を入れ替える」というのは、50代こそ必要なことかもしれない。
今までは確かにガムシャラに突っ走ってきた。
それこそ周囲の状況を見る余裕すらなかったほどだ。
しかしここで一旦心を整えて、自らを省みてみる。
失敗を反省するだけではなく、今までの自分の良い所も見つめてみる。
それで、今後どう生きていくべきか。
短距離走を瞬発力だけで突っ走ってきたようなものだが、もうそういう走り方ではもたない。
長いマラソンをゆっくりペースでずっと走り続けられるような、そんなダラダラ走法に切り替えていく必要があるということだ。
私の会社でもシニア職対応は様々行っているが、なかなか苦労しているというのが現状だ。
会社はシニア職に期待をしていたのかと言えば、正直その辺も曖昧だったと思う。
せっかく責任から解放されたのに、過度な期待をしても困るのでは?という配慮もあっただろう。
本人のヤル気もどの程度なのかが計り知れなかった。
本書では様々な研究による考察や、アンケートなどのデータも示しながら分析されている。
そこから分かる点は「人は、期待されなければ力を発揮できない」ということ。
これは分かる気がする。
あらゆることに首を突っ込んで全体調整するというよりは、一つの専門的なことを任されて、責任持たせてもらうことの方が「やりがいを感じている」という傾向が強い。
権限委譲して信頼されていると「認められている」という意識も持てるからだろう。
つまり、自分の責任の許容範囲と、求められることがマッチしていれば「幸せ度合い」は上がるということかと思う。
そんな私も近い内にシニア職になっていく。
自分自身の「やれること」を整理して、心の準備として備えておくことがよさそうだ。
このデータを見ていて感じたのは、「幸せ度合い」の一番の底が「48〜50歳くらい」ということ。
当然データは平均だから、個人によって底の年齢は異なるだろう。
私はこの年齢を超えているから、底を脱したのかもしれないが、どうだろうか。
確かに子供も就職して独立してくれて、ホッとしているのは事実だ。
そういう意味では肩の荷物を一つ下した感覚は確かにある。
これもあくまでデータで見ると、この48〜50歳くらいの底を過ぎると、死ぬまで幸せ度合いは上がり続けていく。
今までは「老いていくことは不幸だ」とついつい思ってしまっていたが、実際にその年代を生きている方々からすると、全くそんなことはなく幸せ度合いは高いということなのだ。
これを「エイジングパラドックス」と呼んでいるようだが、年を取って幸せ度合いが高まるというのは、良い事ではないか。
人生を今までの価値観で測る必要は全くない。
自ら閉じこもってしまうよりも、活動的な方が健康だというデータもある。
かつては「サラリーマン人生とは昇進をめざすこと」みたいな風潮はあったかもしれない。
しかし、全員が昇進することはあり得ないし、「昇進しなければ負け」という考え方自体がナンセンスだ。
そもそも変に高いポジションに就いた人ほど、シニア職になった時に周囲が気を遣ってしまったり、今までは部下が何でもやってくれたのに、自分一人で完遂する必要があって、戸惑ったりしている。
本書内でも「ジョブクラフティングが大事」と繰り返し説かれていた。
自分で出来る仕事を見つけていくことも大切だが、最も大切なのは「自分で仕事の意味を作っていく」ということだという。
これはすごく理解できる。
年を取れば、当然人生の残り時間が短くなる。
すると、益々時間のテンポは短く感じられていくという。
1年が過ぎていくスピードが年々早まっていると感じるのはこのためだ。
つまり、自動的に残り少ない時間を意識する訳なので、自ずと余計なことや無駄なことを極力やらないようにという気持ちになる。
自分にとって意義のあることを見つけようと、心の思考が働くということだ。
自ずと幸せ度合いは高まっていく。
人間関係は特にこの傾向が強まるという。
嫌な人と付き合う必要も減るし、そう考えると気楽になれる。
ストレスの大半は人間関係なのだから当然か。
もちろん、誰とも付き合わない訳にはいかないから、自分の居場所を確保できるだけの周囲との関係作りは大切だ。
私も確かに50代だが、そんなすぐに老いていく訳ではない。
サードエイジを幸福に生きるために、少しずつ気持ちを切り替えていきたいと思う。
(2023/12/23土)


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