見出し画像

書籍【まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう】読了


https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/4815612226

◎タイトル:まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう
◎著者:オードリー・タン、近藤弥生子
◎出版社:SB親書


金銭的な欲求や名誉などは、今の若者には不要なのかもしれない。新しい価値観こそ世界を変えると実感する。
だからこそ、そんな声に合わせ、今までのやり方を変える必要があると感じるのだ。
現状のやり方では、もうとっくに限界が来ている。
それは国家の運営しかり、会社の経営しかり。
今の地球環境を考えても、このまま化石燃料に頼って、大量生産、大量廃棄を繰り返していたら、近い将来に限界が来るのは見えている。
この状況であっても、どこか他人事。
「このままで生きていける」と心の底で思っているから、本気で変えようと思わないのではないだろうか。
これは日本経済が停滞していることと関係があるかもしれない。
「変えよう」と本気で思えば、新たなイノベーションが生まれ、経済が上向きに活性化してもおかしくない。
他人任せにせず、現状に危機感を持ち、行動に移す。
そんなシンプルな事を、お近くの台湾が実践しているというのだ。
これは参考にしない手はない。
オードリー・タン氏の活動は、もちろん個人の能力の高さが際立っているが、それだけに留まらない。
我々に真似できるところは、積極的に取り入れていった方がよいだろう。
タン氏は自身の発表や講演、会議の議事などをすべてオープン化しているという。
これらのことは一部日本でも開始されているが、アクセスしやすさや、内容の確認のしやすさはもっと工夫が必要だろうと思う。
単に見やすくするだけでなく、タン氏の場合は市民の意見を吸い上げて、それらを元にして議論したりする「双方向性」がある。
この点、日本の場合はどうしても一方通行になりがちだ。
ここは情報の送り手の意識もそうであるし、受け取る市民側も「積極的に意見を言う」というよりも、あくまでも受動的な姿勢が標準になってしまっている。
台湾の選挙や政治的意見の発信などでは、65歳以上と15歳が活発だという。
これは相当に日本と異なる点だ。
もちろん国家の歴史が異なるのだから、一概に違いを指摘して良し悪しの判断をする訳にはいかない。
しかしながら、少なくとも15歳世代が政治に対して意見を活発に言うというところは心強い。
今後の日本の未来を考えると、今の高齢者よりも若者世代の声をもっと積極的に聞くべきだ。
ここはまずは「対話する姿勢」だという。
これも、実は単純であるが奥深い指摘だ。
我々世代は若者の意見を聞いているだろうか。
そういう機会を設けているだろうか。
確かにデジタル化などツールをもっと活用して、対話するハードルそのものを下げるという手もある。
ここがタン氏の上手いところであり、日本が全然遅れている所なのだ。
コミュニケーションツールを積極的に使うことで、まずは相手の価値観がどういう部分にあり、自分の価値観と何が異なるのかを共有できる。
様々な価値観を排除するのではなく、相手の話を聞く姿勢がこれらデジタルツールを活用すれば、出来る可能性があるのだ。
そう考えると、スマホをもっと便利に使いたい。
老人にはまだまだスマホを使うハードルが高いだろう。
そういう点も改良しつつ、対話をしていこうと前に向かうことが何よりも大切だと感じる。
コロナ対応では、タン氏の声がけのお陰で一気にデジタルツールが構築された。
これによって、マスクの在庫状況が分かったり、コロナ対応の様々な施策が進んだという。
しかし、コロナ問い合わせの電話対応は人間が行ったという。
スマホを使いきれない老人などを、切り捨てないためにどうするかを試行錯誤したという。
要はバランスなのであるが、みんなにとって居心地がいい世界というのは、明確な唯一の正解がある世界ではない。
みんなの価値観をすり合わせながら、その時のみんなの居心地のよさそうなポイントを見つけていく。
人によっては我慢が強いられるかもしれない。
人によっては、金銭的負担が多かったりするのかもしれない。
タン氏は「ソーシャルイノベーション」と言っているが、対話を繰り返せば必ずその時の最適解が導き出せるはずなのだ。
大事なのは、自分の欲を出さないこと。
「社会にとって一番よい方法は何なのか?」
その問いに応えるべく対話を繰り返すということ。
そのためにデジタルの力を積極的に活用しようということなのだ。
我々はこれらツールを使いこなせるように、確実に賢くなっているはずだ。
課題を解決すべく、デジタルの力でチーム力で突破できればと思っている。
そういうチームを作り上げていきたい。
(2023/5/31)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?