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昔ながらの商店。

小川町は、江戸時代には「六斎市」などの市がたち、商都としての歴史をもつ町です。

秩父往還と呼ばれた県道11号→30号の表通りは、だいぶ軒数は減っているものの、古い商店が今でも営業を続けています。

魚でも野菜でも調味料でも、パウンドケーキでも、なんでもある。

「小川まちやどツキ」の隣にも、「和泉屋」という鮮魚と青果を扱う老舗があり、ツキに宿泊される方を気にかけてくださっていました。が、半年ほど前からいよいよお店がしんどい(ちなみに、小川周辺では、大変・つらい・難しい…などという状況を「よういじゃない」と表現するそうです。…脱線しました。)という話をされるようになり、7月末の七夕祭りを境に本格営業を終了されました。

※現在も、鮭の切り身、果物、漬物などの人気商品は仕入れを続けていて、シャッターが半分しか開いていませんが、中に声をかければ買い物ができます。

鮭の切り身が世代を超えて大人気。魚が本当に美味しい。

和泉屋さんの他に、この近所には、似たような日用食品を取り揃えるお店が5軒ほどあったそうで、中には小さなスーパーのようなお店もあったのだとか。その状況の中でも、和泉屋さんは仕出を行うなどして寝る間も惜しんで営業されていたのだそうです。

お嫁に来たお母さんから当時の話を聞くと壮絶で、小さな二階建ての長屋に、旦那さんの家族(働き盛りの男子が3人いたそう)とすごい人口密度の中 共同生活し、八百屋と仕出とを並行して行うので毎日深夜までなりふり構わず働いたのだと話していました。

お父さんも、「あの頃は忙しくてね。朝熊谷に仕入れに行く時に、八和田の直線の道で居眠り運転してしまって、危機一髪な体験をしたんだよ。」と教えてくれました。そこにさらに子育てが重なっていたということなので、想像しただけでもすごいです…。

七夕まつりの日に出店されていた「小川町写真館」さんに撮っていただきました。

そんな経験をされてきたからだと思いますが、ご夫婦とも、本当に明るく寛容なお人柄で、「雨降ってきたけど窓が空いてるよ!」「提灯が飛ばされてたから拾っといたよ〜」「町内会費、立て替えといたから今度暇な時に寄ってね」と、宿も散々お世話になりました。

和泉屋さんに集まる近所のお母さんたちも、同様にエネルギッシュで、自然に世間話に混ぜてくれるので、ファッションの話やガールズトークなど、普通に楽しく参加させてもらっていました。

スナックなど飲み屋さんには、こういった何でもなく集まって会話を楽しめるお店もありますが(だからローカルな飲み屋が好き)、明るい時間に「しばらく見なかったけど元気?」「お茶淹れたから上がんな〜」と常連の輪ができる場所って貴重だなと思います。

そんな貴重な一軒がここから徐々にお店を畳んでいく、ということで、すぐ隣にある「ツキ」ができることはないかなと、たまにぼーっと考える日々です。


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