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【基礎編】ナイアシンのおはなし。#8

こんにちは、yukiです。マガジン「からだのおはなし。」基礎編、久々の更新となりました。今回取り上げるのはナイアシン。睡眠の質を改善する目的で導入したナイアシン。1年かけて入眠剤の使用は激減。詳しく調べてみると、ナイアシンだけでなく、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの合成に必要なタンパク質、鉄分もしっかり摂っていたおかげだと気付きました。睡眠目的で導入しましたが、補酵素としての活躍が大きく、非常に重要な栄養素の一つです。その役割について見ていきたいと思います。

ナイアシンとは。

ナイアシンアミドとナイアシンの総称。ビタミンB群の1種で正式にはビタミンB3と呼ばれる水溶性ビタミン。体内で一番多く存在するビタミンです。食事からも摂取できますが、あまりに多くの補酵素として活躍することから、食事以外に体内でも必須アミノ酸のトリプトファンから作られます。トリプトファン60mgから1mgのナイアシンができます。

▼トリプトファンからナイアシンへの代謝経路
図の左側から精神の安定に関わるセロトニンや睡眠に関わるメラトニンの合成の初期段階にナイアシンが必要ということがわかります。また、右側を見ると、ナイアシンの合成にはビタミンB6、鉄、マグネシウムが必要です。

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葉酸=ビタミンB群の一種
5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)=セロトニンの元となる有機化合物
SAM-e(S-アデノシルメチオニン)=アミノ酸の一種
セロトニン=三大神経伝達物質の一つで精神の安定に深く関わる
メラトニン=脳の松果体から分泌される神経ホルモンで睡眠に深く関わる

ナイアシンのはたらき。

(1)NDAとして糖質・脂質の代謝をサポート
ナイアシンは体内ではNDAという補酵素(酵素の働きを助ける)となって働きます。このNDAを必要とする体内の酵素は400種類以上あり、なんと酵素全体の5分の1を占めています。NDAは糖代謝のピルビン酸の変換や脂肪酸β酸化に使われています。糖代謝については「からだのおはなし。#1」でこんな図がありましたね。代謝経路でNDAが幅広く活躍しています。

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(2)アルコールの分解をサポート
お酒を飲むと体内にアセトアルデヒドという物質が作り出されます。頭痛や吐き気などの症状の原因となる物質ですが、これを分解する酵素もNDAを補酵素としています。

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ナイアシンと各疾患。

(1)ペラグラ
ペラグラはトウモロコシを主食とする地域に多発したナイアシン欠乏症。ナイアシンが慢性的に不足することが原因です。皮膚炎や下痢などが続き、悪化すると頭痛や認知症、統合失調症などの精神障害が出ます。

(2)高脂結晶
ナイアシンは脂質代謝を改善する薬剤として用いられており、服用することで血液中のコレステロールや中性脂肪を低減する作用が認められています。ただし、ナイアシンアミドにはその作用はありません。

(3)糖尿病
ナイアシンはインスリンの合成に関わっており、糖尿病による血管障害合併症を予防します。また、血糖値を安定させ、インスリン抵抗性を改善させる効果もあります。

(4)アレルギー
ナイアシン投与によるフラッシュによりアレルギー症状の改善効果があります。フラッシュとは細胞内のヒスタミンが放出されることで、一時的に皮膚が赤くなったりかゆくなったりすることで危険はありません。ヒスタミンとは刺激に応じて放出されアレルギー反応に関わる生理活性物質。これをナイアシンにより定期的に放出させることでアレルギーが改善されるそうです。

(5)ストレス

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トリプトファンから精神の安定に関わるセロトニンへの代謝に、ナイアシンが補酵素として働いています。また右側を見てみると、トリプトファンからナイアシンが合成されるのですが、体内にナイアシンが不足しているとセロトニンの合成よりもナイアシンの合成が優先されます。十分なセロトニンを合成するためにもナイアシンは重要です。ナイアシンだけでなくトリプトファンの原料となるタンパク質、代謝に必要な鉄の摂取もセロトニンの合成に非常に重要なことが図からわかります。また、セロトニンからメラトニンへの代謝へ繋がるため、ナイアシンは不眠にも効果的。

藤川先生のブログには上記以外にも、関節炎や統合失調症、血管障害、学習障害、行動障害、多発性硬化症などにもナイアシンが効果的と記されています。

ナイアシンの始め方。

ナイアシンにはフラッシュ作用があるため、フラッシュの出にくいナイアシンミドから導入します。詳しくは藤川徳美先生のブログを参照ください。

▼1週目
ナイアシンアミド500mg×3(朝昼夕1錠)
C1000×3(朝昼夕1錠)

※ビタミンCには、ヒスタミン(かゆみ物質)を身体の外に排出しやすくさせる役割があります。

▼2週目
ナイアシンアミド500mg×6に増量(朝昼夕2錠)
C1000×3(朝昼夕1錠)

※もし吐き気が出れば吐き気のない量まで減量。

▼3週目以降
ナイアシンアミド500mg×6を継続できても症状改善が不十分な場合、1ヶ月後からナイアシンへ変更。
具体的には・・・
ナイアシンアミド500mg×5(朝2,昼2,夕1)
ナイアシン500mg×1(夕)

※激しいフラッシュが出たら、元のナイアシンアミドのみに戻す。
※フラッシュが軽度なら、徐々にナイアシンアミドをナイアシンに変更

ナイアシン体験談。

わたしの場合、寝つきの悪さに悩んでおり、睡眠改善目的で2019年5月からナイアシンを導入しました。いろんな方のナイアシン体験談を拝見し、ナイアシンミドではなくナイアシン(100mg/錠)からスタート。フラッシュはそこまでひどくなく、ちりちりと痒みを感じる程度ですぐに治りました。朝昼晩1錠ずつ服用を続け、4ヶ月後にナイアシン(500mg/錠)に変更。夜に1錠服用を2020年4月まで続けました。その他にも、プロテイン 、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEを摂取しており、徐々に睡眠の質は改善されました。ナイアシンのおかげで全体的に睡眠の質が底上げされたのですが、たまに訪れる寝つきの悪さに、ナイアシンでは即効性を感じられず、今はメラトニンに切り替えています。

こうして改めてナイアシンについて調べてみると、NDAとしての活躍度合いの高さから、やっぱり必要だと実感。ナイアシン単体ではサプリを摂っていませんが、現在服用中のビタミンB50コンプレックスにはビタミンB群8種類が50mgずつ配合されているので、ナイアシンは引き続きこのサプリから補いたいと思います。

本日はここまで。次回は、睡眠ホルモン、メラトニンについて取り上げたいと思います。コメントもお気軽にどうぞ^^

▼【基礎編】メラトニンのおはなし。(睡眠改善)#9

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<参考文献>
●岡庭 豊(2007)『栄養士・管理栄養士のためのなぜ?どうして?①』メディックメディア
●上西一弘(2016)『栄養素の通になる 第4版』

<参考Webサイト>



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