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詩のご紹介24 瞳(小黒恵子作) ~ユトリロの絵のなかで

こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
 今回の詩は、「瞳」です。

「詩集:ユトリロの絵のなかで」については、下記をご覧ください。

 まずは「目」から。


~ユトリロの絵のなかで 「かもめ」より~
小黒恵子作

パチッ と
視線が ぶつかり合った
瞬間

わたしは 立ち止まった

無言で見つめる
牛の 大きな眼

淋しさと 悲しさを
いっぱい たたえて

その瞳の中に
通いあうもの を感じた

額と額を すりよせて
泣き叫びたい
そんな 衝動

やがて 牛は
視線を 外すと

足元の みどりを
胃袋の なかに
平然と つめこみはじめた

わたしは 歩きだした時
いっきに
熱いものが こみあげた

太陽も 野原も
こんなに暖かく やさしいのに

 次は「耳」からお聴きください。

 朗読:大森 寿枝

 最後までお読み、お聴きいただき、ありがとうございます。
 次回の詩は「魔女と箒」~かもめ~です。(S)

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