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詩のご紹介244 草笛のうた(小黒恵子作)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今日からは、合唱組曲「草笛のうた」~ふるさとは多摩川~ という合唱曲集の中から、第1作目の「草笛のうた」をご紹介します。

 小黒さんは、今までの詩からもわかるように大の動物好きとして知られています。また、自宅(小黒恵子童謡記念館)が多摩川のすぐそばにある、ということもあり、多摩川の自然をこよなく愛されていました。「東京の多摩川に鮭よ帰れ」という願いをこめて、「ふるさとは多摩川」という副題をつけられています。

 組曲の副題でもある“ふるさとは多摩川”--その多摩川の辺りで、クラウンの少女たちがこの歌を高らかに歌ったあの雪降りしきる日を、私はこれからも忘れないでしょう。1984年2月26日、“東京にサケを呼ぶ会”が鮭の稚魚30万匹を多摩川に放流して、自然への回帰を願ったあの日の思い出は、凍(い)てつく寒さとはうらはらに、心暖まるかけがえのない思い出として、私の心のなかにこれからもずっと生きつづけていくにちがいありません。

 と、作曲者の湯山昭さんは、書かれています。

草笛のうた
小黒恵子作詞/湯山 昭作曲

叱(しか)られたあの日 草笛をふいて
はるかな土手を どこまでも歩いた
川といっしょに 歩いて行(い)けば
道に迷(まよ)わず どこかへ行ける
緑にかすむ ずっと遠くの
知らない町を 見たかった

陽炎(かげろう)ゆれる 遠い景色(けしき)よ
草をちぎって 風に飛ばせば
緑の蝶になって 飛んで行(い)く

なつかしいあの日 草笛をふいて
のどかな土手を いつまでも歩いた
風がくすぐる 雲雀(ひばり)がうたう
草の匂(にお)いが やさしくしみる
れんげの花を 髪にかざして
たのしい夢を えがいてた

せせらぎうたう 青い流れよ
風にむかって 川に叫(さけ)べば
はるかな思い出が 今も流れてく

 最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
 次回は、「草原のうた」~ふるさとは多摩川~ の中より「たんぽぽの季節」ご紹介いたします。(S)

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