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詩のご紹介276 鳳仙花(小黒恵子作)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今日は、歌曲集「花ものがたり」(三木稔作曲)から、第10作目は「鳳仙花」をご紹介します。
 前書きには、次の様に書かれています。

 花にはそれぞれの思い出があります。
 そして花には物語があります。
 この歌曲集《花ものがたり》の詩のなかには、私の花への思いが、織り込まれています。
 歌曲集《花ものがたり》は、私にとって2回目の芸術祭参加作品です。1回目は日本ビクターの委嘱による昭和47年度の芸術祭参加作品、童謡《ハダシとハダカ》--野原のなかまたち--でした。
 花は人生に彩を与えてくれる、なくてはならない美しくやさしい友達です。
 花には心があります。生命があります。
 私はときどき花と対話することがあります。
 そのとき互いに心のベルが響きあうのを感じるのです。
 この歌曲集《花ものがたりは》は、花たちに贈る私の愛の讃歌です。
 三木稔先生の作曲は、それぞれの花の詩に色とりどりの、きらめく生命を与えて下さいました。14編の花々と共に深く感謝してやみません。

                         1996年10月16日
                            小黒恵子
鳳仙花
小黒恵子作詞/三木稔作曲

ティンサグぬ花や
爪先(ちみさち)に染(す)みてぃ
親(うや)ぬゆし言(ぐとぅ)や
肝(ちむ)にすみり

夜走(ゆるは)らす船(ふに)や
ニヌファ星(ぶし)目当(みあ)てぃ
我(わ)ん生(な)ちぇる親(うや)や
我(わ)んどぅ目当(みあ)てぃ

天(ていん)ぬぶり星(ぶし)や
ゆみばゆまりゆい
親(うや)ぬゆし言(ぐとぅ)や
ゆみんならん

ティンサグ ティンサグ ほうせん花
紅いろの花 爪に染めて
花かんざしを髪に飾った 少女の日
恋人は戦(いくさ)に 出ていった

ティンサグ ティンサグ ほうせん花
美しい花 心に染めて
便りを待って待って暮した 夏の日に
恋人は戦で 海に散った

ティンサグ ティンサグ ほうせん花
紅いろの花 爪に染めて
熱い風が心に吹いた 少女の日
思い出の花びらは 永久(とわ)に燃えて

ティンサグ ティンサグ 爪紅(つまくれない)の
             ほうせん花

 最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
 次回は、歌曲集「花ものがたり」 の中より「花吹雪」をご紹介いたします。(S)

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