詩のご紹介9 テルトル広場風景(小黒恵子作) ~ユトリロの絵のなかで

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
 今回の詩は、「テルトル広場風景」です。

「詩集:ユトリロの絵のなかで」については、下記をご覧ください。

 まずは「目」から。

テルトル広場風景
~ユトリロの絵のなかで 「花衣」より~
小黒恵子作

「パリの絵は いかが?」
観光客を よびとめる
商売気たっぷりの 絵かきたち

キャンバスを 並べて
腕を競う 絵かきたち
似顔絵をかいている 絵かき
オレンジを まるかじりしてる絵かき

キャンバスの脇の 椅子に腰かけて
雑種の愛犬を ひざの上にのせ
手馴れた手つきで ノミをとる絵かき

犬は
まだらなお腹を 空に向け
晩夏の空の 流れる雲をみつめて

勝利の瞬間の 競争馬よりも
戴冠式の 歴史的瞬間の
ナポレオン よりも
ノーベル賞の 受賞者よりも

もっともっと 誇らしく
幸せに満ちた 顔をして

それが
そのまま 絵になる
パラソルの 花が美しい
テルトル広場

 次は「耳」からお聴きください。

 朗読:大森寿枝

 最後までお読み、お聴きいただき、ありがとうございます。
 次回の詩は「モナリザの謎」です。(S)

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