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「好き」以外の感想を述べる:海外ドラマ『This Is Us』

海外ドラマ『This Is Us』が最終回を迎えた。大好きなドラマを褒めるのはいくらでもできるけど、あえて「こうだったら、もっと良かったな」を考えてみた。

そうやって、このドラマを深く好きになってみようと思う。

【注意】
シーズン5までのネタバレありです。


『This Is Us』のメッセージ

Ron Cephas Jones as William and Mandy Moore as Rebecca in season 6 episode 17 (NBC)

最終回より前の2話の感動が大きかった。正直、前回が最終回でも良かったくらい。だけどあの終わり方は素敵だったな。家族アルバムをめくって閉じるように終わった。

Life is strange but beautiful and continues.

このドラマはそう言いたいのかなと、私は思った。

人はちょっとしたキッカケで良くも悪くなれるし、自分の人生に関係ない人の言葉に影響を受けることもあると思う。辛いことも、苦しいことも起きるけど、死ぬ間際に「自分の人生、まぁ悪くなかったな」と思えるように生きられたら素敵。人は死んだらそれで終わりだけど、その人の思いは誰かに繋がって、誰かの心に残る限り生き続けるんだと思った。

シーズン1の第5話でケヴィンが話したことを思い出した。ケヴィンが描いた絵を姪っ子たちに見せながら話すシーン。

「そこに死はない。“君”も“俺”も“彼ら”もいない。“みんな”がいるだけ。」
”There’s no dying. There’s no you or me or them. It’s just us.”

By Kevin Pearson

上の動画は、ケヴィンが『死』について話す一連のシーンをまとめたもの。ケヴィンは最後まで好きになれないキャラだったけど、この言葉には納得。

振り返って思うこと

“This is Us” cast – Photo: PAT MARTIN FOR ENTERTAINMENT WEEKLY

全体を通して文句なしに面白かった。シーズン1から終わりまで振り返って思ったこと。私の旦那さんも『This Is Us』が好きで、最終回を一緒に見て感想を話し合った。

彼と意見が一致したのは、シーズン4と5は正直なくても良かったんじゃないかってこと。Covid(コロナ)の影響もあって、中だるみになった気がしたから。

シーズン3までは勢いがあったし、感動ポイントも多かった。ジャックの死を越えるような感動を作るのは難しいのでは?と旦那さんは疑問を持ったみたい。

ジャックの死のエピソードは、アメリカで約2,697万人が視聴。このドラマ内で一番多く見られた回になっている。シーズン1の第1話でも約1,000万人くらい。

それがシーズン4の途中から下がり始め、シーズン5では約400万人くらいになっている。最高時と比べると落ちている。最終回は少し盛り返して約637万人が観たそう。

私はシーズン4までは2回観たけど、シーズン4の内容はハッキリ思い出せない。名言と感動シーンも減ったような気がする。

シーズン3までは、綿密に構成とお話が作り込まれていたように思う。シーズン4で20年くらい?先の未来もあったけど、あれは描かなくて良かった気がする。というのも、未来のお話はほんの少しだったし、無くても過去と現在の話に支障は無い気がしたから。

ケイトの息子のジャックが、ケイトとレベッカの夢を叶えたというのを描きたかったんだろうな。レベッカやケイトたちの愛情や思いは、子供や孫にまで伝わっていることも見せたかったのかもしれない。

ヘイリーのキャラは必要だったんだろうか?現在でも、未来でもチョイ役でしかなかったから。ケイトとトビーは、「ジャックと助け合えるようにジャックに兄弟を…」と考えたみたいだけど、兄弟が助け合って大人になっていく様子を見たかったな。

ランダルの家庭は、デジャとランダルの結びつきを特に描きたかったんだと思う。でもテスやアニーの考えやエピソードをもっと見たかった。テスがカミングアウトした後の話もちょっとだけだったし、アニーに関してはセリフもエピソードも少なかったのが寂しい。

こんなアイデアも面白いな

From left: 'This Is Us' stars Faithe Herman, Sterling K. Brown, Susan Kelechi Watson, Lyric Ross, and Eris Baker | CREDIT: JOE PUGLIESE/NBC

私の旦那さんは「もしできたとしたら、シーズン4からは視点を変えても良かったのかもしれないよね」と言った。

シーズン3までは、ビッグスリー(ケイト、ランダル、ケヴィン)が子供目線で親との問題に向き合ったり、過去を精算したりする。

シーズン4からは、ビッグスリーが親目線で、自分の子供たちに接していくともっと面白くなったかも。そうすれば彼らの子供たちにももっと焦点が当たる気がする。ビッグスリーが、ジャックとレベッカと同じように悩んで葛藤する姿を詳しく見てみたかった。

そしてシーズン6でまた、ビッグスリーが子供目線に戻り、レベッカの今後を考えていく設定なら視聴者も今以上に楽しめたんじゃないかと言っていた。

個人的に気になった部分

シーズン5はBlack Lives MatterやCovid(コロナ)の内容を組み込んだのは良かったけど、予期せぬ事態でお話の展開が少し変わったように見えた。

「ランダルのお母さんが実は生きていた」話も、無くていいような気がした。お母さんのローレルの過去が分かったのは良かったし、現実にも彼女みたいな出来事ってあるんだろうなと思った。でも事実を知ったらウィリアムはどう思うんだろう。私は、「ウィリアムとローレルがもし一緒にいられたら…」を考えずにはいられなかった。

ケヴィンも女性関係を長くこじらせたな〜。最後の最後までハッキリしなかったのはモヤモヤした。結局そうなることは分かってはいたけど、引き伸ばした感がある。ケヴィンが成長したから、あの人との関係もうまくいくように見せたかったのかな?

NBC

個人的に、ケイトとトビーの離婚は納得がいかない。離れたからこそ、友達みたいに付き合えるカップルもいるんだろうけど、トビーとケイトはもっと話せば分かり合えた気がする。未来の2人は仲良しで、ケイトが好きだった頃のトビーがそこにいた。ケイトとトビーの始まりから終わりを詳しく見ていた側にしたら、もっと歩み寄れば何とかなったんじゃないかと思う。

ミゲルエピソードは2話くらいほしかったな。駆け足で描かれた気がする。あのエピソードが終わってから1時間くらい余韻に浸って、「ああ…。ミゲル、ミゲル、Miguel」ばっかり言ってた。今思い出しても切なくなる。

ミゲルは良いやつと思っていたけど、そこまで注目してなかった。でも彼は常に、主人公たちを傍らで支えていた重要なキャラだったんだ。それに気がついたから、私は悶ていたのか。

PHOTO: RON BATZDORFF/NBC

私はレベッカが好きだったけど、ドラマを何度か観てウィリアムも好きになった。彼の儚い感じ、出てくる言葉が詩のように美しい。彼のエピソードは毎回号泣して、言葉が胸にグサグサ突き刺さる。ハットが似合うし、立ち振舞いが上品でかっこいい。彼の背景にはいつも、ジャズバンドのステージが見える。

さいご

ドラマは完結したけど、余韻に浸ろうと思う。シーズン1から最後まで通しで観返したり、特集雑誌や公式Twitterを見たり、こうやってnoteに『This Is Us』のことを引き続き書いたりするぞ🍋

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