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恋愛漫画抵抗症

子どもの頃から恋愛漫画の類が苦手であった。
主人公が誰々のことを好きになって、実はその誰々も最終的には主人公のことが好きだった…というような話にてんで興味がない。
「そんなわけねーよ」と心の中でつぶやきつつ、「けっ」っと悪態をつく嫌な子どもだった。
そもそも最初から両想いになることが前提で読んでいるものだから、
「どうせ引っ付くんだからさっさと引っ付けばいいのに」
と思ってしまうのだ。その間のやり取りや、胸がキュンとするセリフにときめくのだと言われても、
「別にそんな思いをしてまで読まなくていいよ」とひねくれたことを思うので、なおのことタチが悪い。

テレビドラマも同様で、ラブストーリーが主軸のドラマは昔も今もてんで興味がない。
観ていて照れるのではない。
「それわかる~」といった共感や、「こんな恋愛いいな~」なんていう憧れもなく、「そんなわけあるかい」というツッコミが先行してしまうのだ。

そんな性分なため、好む漫画は基本的にギャグマンガであった。少女漫画も読んでいたが、恋愛が絡んでいても本筋をぶっ飛ばすギャグ先行型のものばかり好んでいた。ドラマにおいても同じで、普段シリアスな顔をしている俳優が、コミカルな演技をするようなコメディドラマが好きであった。自分で言うのもなんだが、根っからのお笑い系統の人間なのだ。
自分で漫画を描く場合も、つい笑いをベースにもってきたくなる。
「いやぁ、バカなことやってるな」
と思われる方がうれしいし、自分の中でエンジンがかかるのだ。そして、嫌なことを吹き飛ばしてくれればなおのことありがたい。

ところで、世の中にはさまざまな女装をテーマにした漫画も多々あるが、あまり私は読んだことがない。
偏見かもしれないが、女装をテーマにした漫画というのは、主人公が「ボク、男なんです~」などと言う描写がテンプレのように描かれる。
加えて周りが「えぇ?!ビックリ!!こんなかわいい子が男なわけない!」といったリアクションをとるのがお約束なのではなかろうか。
「そんな女装どこにいるんだ」とロマンもへったくれもないことを思ってしまう。まことに迷惑極まりない読者だ。

ステレオタイプ女装男子こそ至高だろ!って言う方もいるんですけどね…

今では女装男子にまつわる恋愛作品も多々あるようだが、揺れる女装男子の恋心を読んだところで、「あぁ、そうなの、大変ね。」で終始してしまう。
相手役として描かれやすい、女装男子を好きになる女性、もしくは(女性と間違って)彼のことを好きになってしまう男性、女装でもいいから彼のことが好きだという男性、いずれも共感ができない。
「わかったから、しあわせに暮らしてくれよ」
という思いに尽きる。

寧ろ「誰かここでギャグ要員となるキャラクターを投入して引っ掻き回して笑い飛ばしてくれ!」と願ってしまうのだ。
これだけ文句ばっかり言っているが、ある種リアリティと笑いに重点を置いてしまう人間の副作用なのかもしれない。

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