見出し画像

不登校の長男よ「いってらっしゃい!」

その日私は 少しだけウキウキしていた
家で自由気ままに過ごしている長男
それを見兼ねた夫が 長男を連れ出してくれるというのだ

平日はいつも二人

平日 長男は家で自由気ままに過ごしているので
「長男と少し距離を置きたいな」と思ったら
私の方が近所の喫茶店へ 出かけるくらいである

小4になる長男は 一人きりで出かけたことがない
なので たまにどこかに出掛けるとなると 私が付き添っている

夫の仕事部屋へ

だがこの日は 「たまには・・・」と言って 
夫が長男を仕事部屋に誘ってくれた
自宅からほど近い場所にある 仕事部屋
夫の仕事部屋の隣には 長男の大好物のテレビも置いてあるので
「たまにはそこで過ごすか?」と誘ってくれたのだ

すると長男は、「オーケー!」とブイサイン
この言葉が聞かれた時は 心からOK!のサインである
渋々の時の返事は決まって「ちょっと考えておく…」である

長男にとってみると 夫の仕事部屋は 
母親の目が届かない 「秘密基地」に感じられるのかもしれない

長男、初めて一人で自転車で帰宅??

夫は仕事があるので
帰りは 長男一人で自宅へ帰らせるというのだ
夫の仕事部屋から自宅までは 自転車で10分程度

巷の小学4年生なら なんとも容易いことかもしれない
だがこれまで 長男は一人で外出したことはない
近くのコンビニでさえ 「一人は嫌だ」と言って 必ず誰かと一緒だった

なので「本当に 大丈夫かしら・・・」
そう思ったが 男同士で話し合っているので
余計な口を出さないようにした

平日の朝の「いってらっしゃい」

玄関先で 自転車で行くか 徒歩で行くか揉めている二人を横目に 
仕舞ってあったGPSを慌てて引っ張り出したりとか
「一人で帰るんだったら 自宅の鍵が必要かしら」とか
「水筒と帽子も持ってね」とか・・・

土日は夫と出かけることも多い長男だが
平日となると 朝はゆっくり起きて
その後はテレビの前にスタンバイである

平日の朝に 長男に
「あれ持ったー!?これ持ったー!?」と
声を掛けるのが懐かしくて なんだか嬉しかった

学校に通っていた頃は
当たり前のように「いってらっしゃい」と 見送っていたけれど
今のわが家にとっては それは当たり前ではない
こうして 平日の朝早くに
長男を見送ることは だいぶ久しぶりかもしれなかった

わが家にとっては 当たり前ではない 朝の見送り風景
「いってらっしゃい」って すごく良い言葉だなと思いながら
大事に「いってらっしゃい」と言って 手を振った

ランドセルではなく、リュック姿で

あーだこーだ 言いながらも
長男は夫と楽しく 出掛けて行った
しかも 登校時間に・・・(笑)
同級生たちが ランドセルを背負い 黙々と歩いている横を
長男は リュックを背負い 自転車で颯爽と通り過ぎて行った
「長男はどんな気持ちなんだろう」と想像するが
案外 何も考えていないかもしれない

空っぽになった部屋

長男と夫が家を出かけてしまうと 家はガランとした
いつも朝っぱらから 
長男が好きなyoutubeが 流れっぱなしであるリビングは
静まり返り 私しかいなかった

朝 子どもを「いってらっしゃい 気を付けて帰ってね」と 見送ること
そして 子どたちが外の世界に触れ また家に帰ってくること
当たり前になれば 忘れてしまうだろうが
それが どれだけ幸せなことか・・・

長男の「プチ・大冒険」

この日は 夕方から家庭教師(ゲーム友達)の予定が入っており
15時までには 帰宅しないといけなかった

なんと約束通り・・・
長男は 一人で自転車で帰宅したのである

「大きな道路もあるから 信号で止まれるかな・・・」と
ハラハラしているのは 私だけ 

無事に玄関にたどり着いた長男に 抱きつきたい気持ちだった
長男に「すごいじゃん!」と声を掛けると
「ちょろい、ちょろい!」と得意げである

これまで 何度言っても 一人では出掛けなかった長男が
一人で自転車で帰ってきた!!
たった10分の距離だけど 長男にとっては「プチだけど 大冒険」である

いつもゆっくりめにやってくる 長男の成長に
なんだか とても幸せな気分になった


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?