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ジャッキー映画に出てきそうな中華食堂が実は粉物のスペシャリスト(京の華/日暮里/中華)

日暮里駅界隈で粉物のスペシャリストというと、先日紹介した馬賊の日暮里店が頭に浮かぶと思う。

小麦粉を打たせたらここ!モチプリ麺と餃子の名店
(馬賊 浅草本店/浅草/中華)
https://note.mu/oharan/n/n2170541a8054


だが、日暮里駅前には馬賊以外に、もう一軒「これは!」というお店がある。それがこの「京の華」。
店名からして、はなの舞のようなチェーンの居酒屋を思わせるが、馬賊の陰に隠れがちな理由は案外こんなところにあるのかも。

また、パっと見た感じジャッキー映画に出て来る小汚い中華食堂のように見えるというのも、評価を著しく下げている要因か。

とてもじゃないが、初見で ”名店” だとは思えないであろう、このユルユルな雰囲気。よくある 「全品300円均一!」みたいな中華屋と似たような印象を受けてしまう。

だが、この雰囲気だけでこの店を評価してはいけない。

厨房をよく見てみると、バッチンバッチンとひたすら麺を打っている職人の姿が目に入ると思うが、”この店の本体はそれ” である。

価格帯は決して安くはないが、量はそれなりなので、高いというほどでもない。これくらいならば適正価格と言っていいだろう(立地的に家賃もそれなりにするだろうし)。

こちらがこの店の看板メニューのひとつである ”焼き小籠包”(4個560円)
形状はたこ焼きのようで、焼く際の調理方法の問題なのか、上側の一部分だけ柔らかい、いわゆる小籠包の皮のままになっている。
そこ以外はカリカリ・サクサクに焼き上がっていて、スナックのような食感なのだが、いきなりガブっと行くと大惨事が起こるので注意な。

こいつを食べる時はコツが必要。写真を見れば一目瞭然だが、このように激熱の汁がたっぷり入っているので、まずは上部の柔らかい部分に穴を開け、そこからチューチュー吸っておこう。
そうしないと、噛んだ途端に辺り一面に汁をまき散らす事になる。

ダメな例として我が愛する息子の写真を晒す。皮がサクサクしてて思いのほか美味しかったらしく、「フーフーしながら少しずつ食べるんだよ」と言っているのに、イキってガブっと噛みつきやがった。

「!?!?!?」

息子パニック。熱すぎて言葉にならず、ガクガクブルブル震えてのたうち回っておった。

だから言っただろうが!
誰に似たんだこのアホは!

しかし、やはり美味しかったのか、それだけのトラブルに見舞われたのに焼き小籠包は放さず。必死にフーフーして汁まみれになりながら食べ尽くしておられた。

ちなみに、しっかり味が付いているので、醤油やお酢は不要だと思う。

そして、焼き小籠包以上に私がこの店で大好きなメニュー。
それがこのつけ麺(750円)である。

自慢の手打ち麺はツルっとのどごしが良く、それなりの量のはずなのに、あっという間に飲み物かのように食い尽くしてしまう。
麺の外側はそれなりに柔らかいのだが、内側には少し抵抗があり、「やわめ」の麺として上手な茹で具合だなと思う。

個人的に特筆したいのはつけ汁。シンプルな中華スープ味ではあるのだが、中にゴロゴロっと角切りにされたチャーシューと味玉が隠れている。
さらに、揚げネギによるものと思われる香ばしさが前面に出ており、見事なまでに麺が進む味なのだ。

この750円はとてもお得じゃないかなあ。その辺の人気のつけ麺屋とかと比較しても遜色ないどころか、こっちを選ぶという人も多いはず。


実はメニュー選択を間違うと「うむむ……」という物も隠れているのだが、”粉物” を中心に打順を組んで行けば間違う事はないはず。
もしかすると好き嫌いはあるかもしれないが、ここは炒飯も美味しいので、〆メニューの選択に非常に悩まされるお店である。

ご近所かつ人気店の馬賊は、いつも満席状態なので、そっちにフラれたらここを思い出すといい。割と大箱なので、よほど運が悪くなければ飛び込みでも入れるはず。

[店名] 京の華
[住所] 東京都荒川区西日暮里2-22-1
[TEL] 03-5615-2593
[営業時間] 11:00~24:00
[定休日] 無休

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