理由はどうあれネットでデマを広めてはならないわけ 補足

デマと正義感を合体させるとジェノサイドが起こる

つい先日、「女児がレイプされて子宮全摘!」というデマが垂れ流されている事に対して、このような記事を書いた。

理由はどうあれネットでデマを広めてはならないわけ
https://note.mu/oharan/n/n6443e2a719c7

この記事の補足というか、裏付けになるようなニュースをTwitterで教えて頂いたので、今回はそのニュースを紹介しつつ、補足記事を書いてみようと思う。

【フェイクニュースを超えて】 SNSのうわさのせいで焼き殺され、メキシコの小さな町で
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46217585

事件の内容を掻い摘むと「街に子供を誘拐した犯人が紛れ込んだ」「すでに何人も子供がさらわれて臓器を抜き取られて殺された」と、メッセージアプリを通じてデマが拡散された。
そこに運悪く、2人の男が軽犯罪の容疑で警察署に連行されて来た。
すると、その2人の男が子供誘拐の犯人だという話になり、正義感に駆られた群衆が暴徒と化して警察署に雪崩れ込み、署から2人を引きずり出してリンチ。その仕上げとばかりに、2人にガソリンをかけて火を付けて焼き殺したのである。

今回の女児がうんぬんの話も、Twitterを通してデマが拡散されるところまでは、このメキシコのニュースと変わらない。
では、その先に何が起これば、どんな要素が加われば、メキシコのような話になるだろうか。

こう言うと「日本はメキシコ人のように愚かではない」といった声もありそうだが、前回の記事で述べたように、日本人も充分に愚かな民族である。
日本人だから、メキシコ人だからではなく、人間は「デマと正義感が合わさるといつでも誰でも愚かになる」ものなのだ。

正義のひとが単なる暴徒と化すまでのフロー

では、次にもう少し具体的に考えてみよう。「女児子宮全摘」というデマに、何を加えたら次のステージに話が進むだろうか。

まず、人間はこの手のデマであっても、何度も何度も繰り返し語られているところを目撃すると、次第にそれが事実かのように思い込んでしまう。いわゆる 「既成事実化される」 と言ってもいいと思う。

そうなると、今度は犯人が欲しくなる。事件だけあっても片手落ちで、そこに犯人が加わって、はじめて事実として完成するからだ。
普段でも、何事か疑惑が浮かぶと、すぐに焦って犯人捜しを始める連中がいるだろう。何かにつけて「警察は何をやっている!」と吹き上がるヤツや「〇〇が疑わしい!」と、探偵気取りでインターネット捜査(笑)をしたり、特定犯だスネークだなどといって得た情報をばら撒いたり、胡散臭い相関図をこしらえてTwitterなどで発表するヤツなど、具体例はその辺にいくらでも転がっている。

メキシコの事件では、そのようにして 「犯人である」 とされた人物が犠牲になってしまった。
だが、日本ではなかなかそこまでの話にはなり辛い。実際に暴力に及ぶほど理性のスイッチの壊れた人間は滅多にいないからだ。

ところが、それを可能にした連中がいない訳ではない。

たとえば連合赤軍、たとえばしばき隊、もしくは在特会(チーム関西)のようなネットウヨク団体もそうだ。
ヤツらは自分達の集団を、いわばカルト宗教化し、敵・悪と看做した相手にデマでも何でもレッテル貼りをし、それを根拠に「だから攻撃してもいい」と、狂信者達の理性のスイッチをぶっ壊した。
その結果、逮捕者が相次ぐ暴力集団になったり、凄惨な山岳ベース事件へと繋がったのである。

このように、日本でもデマが事実とされれば、いつ無実のひとが犠牲になるか分かったものではない。
「正義のためだから仕方ない、注意喚起のためだ」は、何の自己弁護にもならないのである。

もし注意喚起したいのであれば、今回のこの記事のように、実際にあった話を根拠に語れというだけの話なのだ。
もし正義感ぶりたいのであれば、デマについて徹底的に調べ上げ、事実と突き止め、その上で注意喚起として情報を広めればいい。

そうした「真っ当な方法」を採れないならば、ネットで情報拡散だなんてはた迷惑な真似をするべきではない。
その手の連中は、素人の分際で何の苦労もせず、手軽に正義のひとぶろうとしているだけだ。自分のオナニーのために他人を、そして社会を犠牲にするような愚行をしていいはずがない。


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