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徳島旅行記|エッセイ


1年くらい前にサハラと徳島へ行った。
私が大塚美術館に行きたいと騒ぎ散らかしていたので、優しいサハラちゃんが一緒に行ってくれたのである。

出発の日、いつも通り空港で待ち合わせをした。サハラはリュック1つという2泊3日とは思えない身軽さで現れた。
その身軽さなのにとりあえず手荷物預けようよ!!!と意気込んでいた。
そんなリュック1つぐらい機内に持ち込んでも良いぐらいだよ…と内心思いながらも、
自分は多数派の旅行者ごとくスーツケースをコロコロしていたので大人しくサハラに従う事とした。

リュックを預け、手ぶらになったサハラと飛行機に乗り込み、1時間半ほどで阿波踊り空港に到着した。空港というものは預けた荷物が出てくるのを待たなければならない。
先にサハラのリュックが流れて来たのだが、見向きもしないので「アンタのリュック出てきたよ」と言ったが、
サハラ曰く「あれは私のじゃないよ」とのことでそのまま見届けた。
特に個性的なリュックというわけではなく、シンプルな黒いリュックだったので私はサハラのものかと思ったけど、似たようなものを持ってる人は沢山いるだろう。
少しすると私のスーツケースが出てきた。
サハラのリュックはなかなか出てこない。
私がサハラのだと認識した黒リュックがもう一度登場したので、2周目に入ったことを悟った。「2周目だけどアンタのリュック、出てこないねェ」というと、
「特徴ないから見逃したかもね」
と呑気に言っていた。
ベルトコンベアの上を回る鞄も少なくなり、また例のリュックが登場した。
「3周目だよ!?あれ絶対サハラのリュックだよ」と声をかけるも、
「私のリュックにはあんな変なコンセントみたいなマークついてないよ!!」とのことだ。
私はついていたような気もするが、本人がついてないと言うのならついていないのだろう。しょうがあるまい。

とうとう例のリュック1つになった。もうこれを取るしかない。空港で荷物を取り違えられるという大アクシデントの発生である。
絶対誰か間違えて持ってちゃったんだ〜最悪だ〜と嘆きながら空港の係の人の元へ持って行くと、お預かり証を見せてくださいと言われた。
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「こちら、お客様のお荷物で間違いありませんよ」と一言…。
私はサハラのリュックだろうなァと薄々思っていたので、ほら見やがれ!と隣を見ると
「え!?!?これ私のですか!?!?」と当の持ち主が一番驚いていた。

中身を確認し、ほんまに私のや、、と呟き、何年も使ってるのにこんな変なマークついてるなんて知らなかった…と少し落ち込んでいる様子である。
私はヘンテコすぎる展開に、かける言葉も見つからず、うそでしょ、、、と嘘みたいに繰り返すことしかできなかったのである。

念願の美術館に行き、淡路島をドライブしたりなど楽しい旅行であったが、この出来事が一番記憶に残る徳島となった。 

おしみ
1998年3月生まれ
仕事を辞めて絶賛ニート中
毎日楽しいよ

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