見出し画像

あさやけの姫

今朝、朝散歩しておりましたら、自転車に乗った、すごく薄いオレンジがかった白いズボンと薄く白っぽいシャツのお姉さんが、素敵な赤いバッグをさげて、角を曲がって通りすぎたのですよ。

前からは若者三人組が歩いて来ましてね、自転車のお姉さんを振り返って噂話をしては笑っていたのですね。何だろうな、と思ったのですが、まあ、お年頃ですからね。いろいろとあるのでしょうと思ったのです。

もう少し行くと、さっきのお姉さんが道に迷ってらしたのでしょう、また角から曲がってきて、まるいお月様の方向へ急いで行きました。まるいお月様は明るく黄色がかって輝いて、まるで、さあさこちらですよ、と言うようでした。

私は角を曲がって、すこし歩きますとね、朝焼け。綺麗な美しい朝焼け色の空に、白い雲のすじが、まるで薄い衣のように見えました。それで、横を向くと、まるい赤い太陽様がお出ましされていました。そこで、私はハッと気がついて、反対の空を見ると、まるいお月様の薄くありまして。

これは、自転車に乗ったあさやけの姫だな。と気がついたのでありました。

朝焼け色の衣を纏い、お月様と太陽様を両輪にした自転車にお乗りになって、東から西へと急いでらした。

そうきっと、朝焼けを告げる、あさやけの姫。そう、思ったのでありました。

はてさて、それでは、あの素敵な赤いバッグは何を示していたのかしら? と不思議に思いましたが。まあ、良いのです。世の中には、不思議なことがあり、解決しないことの方が美しいのですから。

ちなみに、今朝の私は赤い服装です。そう、ちょうどあのあさやけの姫のバッグのような。

いえ、まさか、ですね。

いただいたサポートは、本を買うことに使っていました。もっとよい作品を創りたいです。 ありがとうございます。