あなたなど居なくても生きていける

「あなたが居なきゃ」みたいな関係はうんざりだ。

みーちゃん(仮称)という女の子が居た。
その子は私の人生で初めてできた親友だった。だった、ということはお察しの通りもうみーちゃんとは親友でもなんでもない(死別ではない)

私と彼女の出会いは、高校時代(今から約10年前)の時に流行っていたSNSだ。
お互い好きなバンドが一緒で、ライブハウスで顔合わせしたことでネット上の友人からリアルの友人へと関係が変わった。
毎日他愛ないメールをし、時々街に遊びに出た。趣味や価値観が似ていたので、門限ギリギリまで遊んでも楽しくて、いつまでもおしゃべりできるぐらい大好きだった。

楽しいだけじゃなく、時に私が間違っている時は真剣に怒ってくれて、また私が悩んで悲しんでいるときは一緒に悩み考えてくれた。
人間関係が希薄だった私には、初めての濃い関係だった。親密、という感覚を体験した。
生涯の親友になるのでは、と期待に胸を膨らませていた。

みーちゃんとの友人関係が数年続いたある日、事態が一変した。彼女に、初めて男ができた。
まぁ年頃の女の子だし、彼氏が居たとしても別に不思議ではない。ただ、初めての彼氏に恵まれる機会は遅い方だったと思う。
私は正直祝福できないでいた。何故なら、遠距離恋愛の上に男がモラハラ気質だったから。その上、彼女はその男にベタ惚れだった。

付き合う以前からも、男にメールで言われた言葉に傷ついたりして、落ち込むことが多々あった。
私としては、もっと彼女を尊重してくれる男性と付き合って欲しかったので「他にもいい人がいるかもしれないよ」みたいなことを何回も言っていたと思う。
彼女も「そうだね」なんていいながらも、なかなか諦めきれずにいた。
とうとう、みーちゃんの地元まで男が会いに来て、そのまま付き合う流れになってしまった。

嫌な予感はしていた。
初めてできた彼氏、しかもずっと想っていた相手、のめり込まないわけないと。
しかもちょうどその頃、私は精神的に絶不調で精神科送りになろうとしていた。
ある日、私はSNSで精神科を受診したこと、不眠が酷いことなどを日記に吐露した。
その頃みーちゃんは、私が精神科に行ったことをスルーし、彼氏のことばかり考えていた。

激しい怒りを感じた。爪で皮膚を突き破るような、血が滲んだような、そんな感覚が胸の内で駆け巡った。
分かっている、本当は怒るところではないと。ただの嫉妬だと。甘えなのだと。
私に異変が起こっていることに気が付いて欲しかった。

ありのままを話してケンカになり、みーちゃんに「うさぎちゃんはワガママだ」と言われた。
スッと、何かが冷めた。たった男一人がいるだけで、心配しあうことをやめるのか。
彼女を尊重してきた私より、彼女を尊重しない言葉を吐く人間の方が、大事なのか。

一悶着した後、私はみーちゃんの親友をやめた。
その当時の私は、彼女に怒りしか持てなかった。怒りをぶつけて、悲しませてしまった。
当然、毎日メールしたり、街に遊びに出て行く友達も居なくなった。

私は、変わってしまったみーちゃんを受け入れられなかった。
みーちゃんは、精神を病んだ私を受け入れられなかった。
互いを認め合えなかった。

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