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神戸物産の決算内容を3分で解説!

今回は神戸物産の決算内容について見ていきましょう。
みなさんご存知の業務スーパーを事業の柱として展開しているこの会社、着実に業績を伸ばしてきています。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+13.5%の4,615億円と増収となりました。
営業利益は前年比+10.4%の307億円、当期純利益は△1.3%の205億円と営業利益までは増益、それ以降は減益となりました。

出所:決算説明資料

売上高から営業利益までの本業部分に関しては、コロナ禍前の2019年からの推移を見てみても堅調に推移してきています。
業務スーパーの店舗数が毎年増加しているので、それに伴って売上高も伸長していると考えれます。

また今回の決算で営業利益以降で減益となった要因は、リスクヘッジのために取り組んでいる為替予約関連の時価評価損(デリバティブ評価損)で△40億円の損失が大きく影響しています。

出所:決算短信

それでは各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「業務スーパー事業」「外食・中食事業」「エコ再生エネルギー事業」があります。

出所:決算短信

◇業務スーパー事業
売上高は前年比+12.7%の4,469億円、営業利益は+8%の341億円と増収増益と堅調に推移しました。
既存店舗の売上が好調なことが大きいですが、関東最大級の店舗面積を誇る直営店「横浜いずみ店」をOPENするなど新規店舗へも積極的に事業展開しています。

出所:決算説明資料

店舗数としては2023年10月末時点では1,048店舗で、この一年間で+41店舗増加しました。
出店地域は関東と関西の合計で全体の半分強を占めています。
それ以外は地方エリアや北海道・九州など全国各地にまんべんなく出店している状況が伺えます。

出所:決算説明資料

また業務スーパーといえばPB商品が人気ですが、売上高全体に占める比率としては34%程度で推移しています。
NB商品の価格改定などによりPB商品の相対的な比率としては若干低下していますが、それでも30%超は高い水準だと考えられます。

出所:決算説明資料

このPB商品に関しては中期経営計画の基本方針でも触れており、今後の成長戦略の柱に「PB商品の強化」をあげています。

出所:決算説明資料

◇外食・中食事業
売上高は前年比+49.5%の109億円、営業利益は前年まで3年連続で続いていた赤字から遂に脱却し、5億円の黒字化まで回復しました。

出所:決算説明資料

日本最大級の大型バイキングチェーンである「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況は、出店3店舗、退店0店舗、純増3店舗の結果、総店舗数が14店舗となりました。
厳選したお肉と店内手作りのデザートを心ゆくまで楽しめる焼肉オーダーバイキングである「プレミアムカルビ」の 出店状況は、出店4店舗、退店0店舗、純増4店舗の結果、総店舗数が20店舗となりました。
また、日常の食卓代行 をコンセプトとして店内手作り・価格等にこだわった惣菜店である「馳走菜(ちそうな)」の出店状況は、出店29店 舗、退店2店舗、純増27店舗の結果、総店舗数は114店舗となりました。
この3業態それぞれで店舗数を増やすことができていて、その結果売上高は堅調に推移し、営業利益も赤字脱却に至ったと考えられます。

出所:決算説明資料

◇エコ再生エネルギー事業
売上高は前年比+15.6%の36億円、営業利益は+38.7%の9億円と増収増益となりました。
今回の決算では2022年6月に稼働した福島県西白河郡西郷村の発電所(18.9MW)が増収増益に貢献しました。
また宮城県東松島市の太陽光発電所(約30.0MW)が2023年10月18日に売電開始しましたので、次回の決算では業績に大きく貢献してくれることが期待されます。

出所:決算説明資料

これで全国の太陽光発電所は19カ所、バイオマスは1カ所となりました。
北陸と中国地方へはまだ事業展開できていないので、今後の事業戦略で検討されてくるかもしれません。

出所:決算説明資料

◇2024年10月期業績予想
来年度業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+7.9%の4,980億円、営業利益は+0.9%の310億円となんとか増収増益の見通しとなっております。
やはり円安や原材料コストなど先行きが不透明な部分がありますので、コスト面で保守的にみた計画ではないでしょうか。

それでも売上高の面では、業務スーパーで+35店舗増加やPB商品の比率向上など目標を掲げているので、その目標通りに進めば利益もその分ついてくるのではないでしょうか。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+316億円増加しました。
流動資産では+256億円増加しましたが、そのうち現預金で+255億円の増加が見られました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。

固定資産では+59億円増加しており、そのうち「機械装置及び運搬具」で+51億円の増加がありました。
これは業務スーパーなどの新店舗で使用する備品関連の購入があった為ではないかと考えられます。

出所:決算短信

負債に関しては+143億円増加しましたが、そのうち短期・長期借入金で+37億円の増加がありました。
これは長期借入金の借換えに伴う増加ではないかと考えられます。

出所:決算短信

純資産に関しては+172億円増加しましたが、剰余金の配当で△48億円、当期純利益で+205億円が主な内容です。
それ以外では金額は少し小さくなりますが、自己株式取得・処分で動きがありました。

決算短信

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は288%と目安の200%を大きく超えており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)は62%と目安の100%を下回っており、こちらも問題ありません。
BS全体のバランスを見ても上手くコントロールされている印象です。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+255億円増加しました。
内訳としては営業CFで+303億円、投資CFで△68億円、財務CFで+0.8億円という内容です。

営業CFは税引前利益で+299億円、減価償却費で+51億円とこの2項目で300億円超となっています。
CF全体のプラス要因はほぼこれで決まっている印象です。

投資CFは有形固定資産の取得で△86億円の支出がありました。
前年の投資金額が111億円だったので、投資金額自体は抑えられています。
また営業CFと投資CFの合計であるフリーCFは+235億円と前年に続いてプラスで推移しています。

財務CFに関しては、借入金の返済や配当金の支払いなど金額の大きい支出がありましたが、長期借入金の借換えで+120億円収入があったので、全体としては大きな動きにはなりませんでした。

また株主還元策としての配当金は、ここ5年間減配することなく推移しており、来年度の配当金は増配を予定しています。
配当性向に関しても20%前半代で安定して推移している状況です。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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