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ユーグレナの決算内容を3分で解説!

今回はユーグレナの決算内容について見ていきましょう。
ユーグレナの研究開発成果を活かしてヘルスケア事業を中心にバイオ燃料事業ま幅を広げているこの会社、ようやく黒字化への道筋が見えてきた兆しがあります!


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+4.7%の465億円と過去最高を記録しました。
主力のヘルスケア事業が減収となったものの、バイオ燃料事業が+26億円の大幅増収となり全体の売上高を押し上げました。

出所:決算説明資料

調整後EBITDAに関しては前年比△16.1%の22億円となりました。
EBITDAの構成要素は「営業利益+のれん償却費及び減価償却費)+他調整」となります。他調整の内容は助成金収入などが含まれます。
ヘルスケア事業はコスト削減施策などの改善効果で黒字が拡大しましたが、バイオ燃料事業では助成金収入減少や一過性費用の影響で赤字幅が拡大しました。

出所:決算説明資料

営業損益に関しては前年の△34.6億円の赤字から△14.6億円の赤字と大幅に改善しました。
ヘルスケア事業単独では黒字に転換し、全体損益ベースでの黒字化の道筋も少し見えてきたのでないでしょうか。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「ヘルスケア事業」「バイオ燃料事業」「その他事業」があります。

◇ヘルスケア事業
成長ブランドの創出に向けて、前年度以降にローンチした「NEcCO(ネッコ)」「CONC」「epo」等の新ブランドの育成、「からだにユーグレナ」「C COFFEE」等の既存ブランドの商品ラインア ップの拡充等に取り組むとともに、グループ全体で顧客ロイヤリティの向上、チャネル販売力の強化、コストシナ ジーの創出に向けた施策を推進しました。
直販において、広告クリエイティブや広告手法の見直しにより投資効率 の改善に取り組みつつ、広告投資を慎重にコントロールしながら継続しました。
結果として売上高は前年比△0.6%減収となりましたが、今後の成長に向けた基盤強化はできたのではないかと考えられます。

出所:決算説明資料

セグメント損益に関しては、キューサイの連結子会社化に伴う棚卸資産のステップアップにより計上した含み益の費用化処理は前年度で完了しており、今回はキューサイの連結子会社化等の過去のM&A案件に伴う無形固定資産及びのれん等の償却費22億円を計上しました。
物流費率の削減やコストシナジー 創出に向けた施策も推進した結果、セグメント利益は前年の△6億円の赤字から14億円の黒字転換を果たしました。

今後の中期方針に関しては、2026年に「売上高500億円・調整後EBITDAマージン15%」を目標に掲げています。

出所:決算説明資料

この目標を達成するための施策として①収益構造の筋肉質化 ②成長ブランドとファン顧客の育成 ③メーカー機能の強化 を挙げており、今後の活動の中心としていく考えです。

企業としてもそろそろ黒字化を見据えた施策が必要なところなので、特に①の収益構造の筋肉質化は注目すべきポイントではないでしょうか。

出所:決算説明資料

◇バイオ燃料事業
商業化後を見据えて、サプライチェーン構築に向けた取り組みや研究開発活動も展開しています。
サプ ライチェーン構築については、国内外パートナー企業と連携したバイオ燃料のテスト取引を進めており、2023年度に複数の大口取引を実行しました。

出所:決算説明資料

研究開発活動については、マレーシアに新たな研究開発拠点となる「熱 帯バイオマス技術研究所」を開設し、これまで蓄積してきた微細藻類ユーグレナの大規模培養に関する研究開発成果をはじめとする知見や技術を活用しながら、ユーグレナなどの微細藻類、その他の藻類や植物など、バイオ燃料原料用途のバイオマス生産・利用の最大化・最適化を中心とする研究を今後も推進していく予定です。

出所:決算説明資料

これらの活動の結果、売上高は前年の3億円から今回は29億円と大幅な増収を記録しました。
セグメント損益に関しては、前年の△7.9億円の赤字から△8億円とほぼ横ばいの結果となりました。
商業化を見据えたフェーズに入ったばかりなので、本格的な事業拡大と黒字化に向けた活動はこれからということになるかと考えます。

◇2024年度通期業績予想
2024年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+12.9%の525億円、調整後EBITDAは+62%の36億円と過去最高を見込んでします。
2024年3月にサスティ製薬などが連結に加わることもあり、大幅に業績を伸ばせる見込みとなっています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+23億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+47億円増加しましたが、そのうち現預金で+58億円の増加がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
あとは商品などの棚卸資産では△8億円の減少となっています。

固定資産に関しては△23億円減少しましたが、そのうち無形固定資産で△22億円の減少が見られました。
内容としてはのれんと顧客関連資産の償却が進んだことによる減少となります。

出所:決算短信

負債に関して+14億円増加しましたが、そのうち社債・借入金で+28億円の増加が見られました。
新株予約権付社債で+48億円の新規発行があったことが増加の主な要因です。

出所:決算短信

純資産に関しては+8億円増加しました。
内訳としては当期純損失で△26億円ありましたが、新株の発行で+37億円増加要因がありましたので、最終的には+8億円の増加となりました。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+58億円増加しました。
内訳としては営業CFで+6億円、投資CFで△6億円、財務CFで+58億円という内容です。

営業CFに関しては、まだ黒字化していないので税引前損失となっていますが、その損失より少し多い金額の減価償却費・のれん償却額が計上されており、ここで損失分をカバーしています。

投資CFに関しては、ここ2年間では大きな投資案件はなかったため、大きな動きはありませんでした。

財務CFに関しては、やはり資金調達関連や借入金の返済などで一番大きな金額が動いています。
特に今回は新株予約権付社債の発行と新株の発行による収入が大きく影響しています。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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