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インテージHDの決算内容を3分で解説!

今回はインテージHDの決算内容について見ていきましょう。
マーケティングリサーチ業界で国内トップに位置するこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+1.9%の613億円と微増となりました。
営業利益は前年比△18.6%の37億円、当期純利益は+2.5%の35億円と、営業利益ベースでは減益、当期純利益ベースでは増益という結果となりました。

出所:決算説明資料

売上高に関しては、原材料費の高騰などの影響を受けた消費財メーカーの需要減などが原因で、予想からは△3%減少しましたが、前年比ではなんとか微増でとどまりました。

営業利益に関しては、売上高が増加する予定で人員体制の強化を実施したため、人件費や経費、投資費用がかさみ前年比では減益となりました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「マーケティング支援(消費財・サービス)」「マーケティング支援(ヘルスケア)」「ビジネスインテリジェンス」があります。規模感としては消費財・サービスで65%、ヘルスケアで23%、残りはビジネスインテリジェンスという割合です。

◇マーケティング支援(消費財・サービス)
売上高は前年比+4.3%の401億円、営業利益は△28.6%の16億円と増収減益となりました。

主力事業のパネル調査で増収となりましたが、主要顧客の消費財メーカーなどでの伸長が想定よりも低かったことで、販売体制強化等を目的とした人件費増、SCIの刷新を中心とした投資が拡大・本格化したことにより大幅な減益となりました。
ただこれらの費用を先行投資として捉え、2024年以降でその分利益に跳ね返すことができれば問題ないと考えられます。

出所:決算説明資料

◇マーケティング支援(ヘルスケア)
売上高は前年比△2.7%の141億円、営業利益は前年比△18.5%の17億円と減収減益となりました。

主力のCR(カスタムリサーチ)の減収が利益面でも影響を及ぼし、大幅な減益となりました。
前年決算も減収減益だったので、ヘルスケアの傾向としては下降気味です。

出所:決算説明資料

◇ビジネスインテリジェンス
売上高は前年比△1.3%の70億円、営業利益は+131.7%の3億円と大幅な増益となりました。

売上高としては減収となりましたが、コロナ禍で大きく影響を受けた旅行業界中心に既存ソリューションの売上が回復基調となっており、加えてSI案件 の受注残を一定程度確保できるなど明るい材料は揃ってきています。
利益面に関しては、原価低減活動・経費削減効果により大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

では2024年6月期の業績予想に関しても見ておきましょう。
売上高は前年比+5.1%の645億円、営業利益は+5.7%の40億円と増収増益と堅調に推移する見通しです。

各セグメント別に見ても、全てもセグメントで満遍なく増収増益の見通しとなっています。
主力の消費財メーカーで市況環境の復調の見込みや、パネル調査・ビジネスインテリジェンスで売上高増加が見込まれることで堅調に推移できると予想しています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△12億円減少しました。

出所:決算説明資料

流動資産は△12億円減少しましたが、そのうち現預金で△17億円の減少がありました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。

固定資産に関しては△42百万と大きな動きはありませんでした。
ビジネスモデル的に大型の設備投資が殆どないため、固定資産は大きくなりにくい状況です。
ただその中でも今回は繰延税金資産が+7億円増加しています。
これは税効果会計の計算上繰延税金資産が増加しましたが、一方でPLの「法人税等調整額」ではその分マイナスになっています。

出所:決算短信

負債に関しては△14億円減少しましたが、そのうち短・長期借入金で△2億円の減少がありました。
これは返済スケジュールに沿った返済を実行した結果と考えられます。
また「退職給付に係る負債」で△5億円の減少がありました。
詳細の記載がないのではっきりとした減少要因は不明ですが、「年金資産への掛金の拠出」と「退職一時金制度からの支払い」が考えられます。

出所:決算短信

純資産に関しては+2億円増加しました。
増減要因としては、当期純利益+35億円のプラス要因に対して剰余金の配当で△15億円、自己株式の取得で△19億円という内容です。

出所:決算短信

剰余金で稼いだ分の殆どを配当と自己株式取得で株主還元しています。
前年も同様に株主還元を実施位していたので、この辺りは株価も意識しながらの株主還元ではないかと考えられます。

また会社の方針としては「資本政策」を掲げており、<資本効率を重視し、最終利益を全額「株主還元」と「成長投資」に振り向ける>と明確に示しています。
今回の株主還元もこの方針に沿って意思決定しているようですね。

出所:決算説明資料

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△17億円減少しました。
内訳としては営業CFで+26億円、投資CFで△6億円、財務CFで△39億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFに関しては、税引前利益でしっかりと稼ぐことができているので問題ありません。

投資CFは前年に引き続き大型投資案件などはなく、有形・無形固定資産の定常取得がある程度なので大きな動きはありません。

財務CFでは「資本政策」に沿った支出で、営業CFで稼いだ分を「剰余金の配当」と「自己株式の取得」に大半を費やしています。
現状では借入金の返済額も大きくはないので、今回のような動きがしばらくは続くのではないかと考えられます。

また配当方針としては「増配を継続」する考えで、今回の増配に引き続き次回も増配する予定としています。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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