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アサヒGHDの決算内容を3分で解説!

今回はアサヒGHDの決算内容について見ていきましょう。
2期連続で最高益を記録するなど好調を維持しているアサヒGHD、外食需要の増加を受けてビール業界全体が好調のようです。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上収益は前年比+10.3%の2兆7,691億円となりました。
営業利益は前年比+12.9%の2,450億円、当期純利益は+9.4%の1,660億円と増収増益と堅調に推移しました。

出所:決算説明資料

全てのセグメントで増収増益となっていますが、やはり欧州やオセアニアでは為替の円安影響が大きく関係していると考えられます。

出所:決算短信

では各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては4つ「日本」「欧州」「オセアニア」「東南アジア」がありますが、ここでは東南アジア以外の3つに関して見ていきます。

◇日本
売上収益は前年比+4.7%の1兆3,629億円、事業利益は+9.8%の1,195億円と増収増益となりました。
売上収益は、酒類業務用の回復に加え、各事業での価格改定の効果もあり増収となりました。
事業利益は、変動費コストアップはありましたが、増収効果などにより酒類が大幅な増益となり、全体としても増益となりました。

出所:決算説明資料

酒類事業の売上収益を押し上げた主要因は、やはり主力商品の「スーパードライ」でした。
数量ベースで見ても前年比+3.5%と増加しており、ビール類の増収の主要因となっています。
やはりコロナ禍収束に伴う飲食店への顧客回帰などが影響しているのではないかと考えられます。

出所:決算説明資料

◇欧州
現地通貨のユーロで見る場合と、為替影響を含めた円換算後で見る場合とで内容が大きく異なります。
一旦はユーロベースで内容を見ると、売上収益は前年比+8.3%の45億ユーロ、事業利益は△1%の5億ユーロと増収減益となりました。

売上収益は、インフレ進行により販売数量は減少しましたが、価格改定やプレミアムカテゴリーの強化により増収となりました。
一方事業利益は、ミックス改善効果はありましたが、変動費やその他コストの増加により減益となりました。

出所:決算説明資料

ただこれを日本円ベースで見ると、二桁増の増収増益となり、先程のユーロベースの景色とは一変します。
為替の影響の大きさがうかがえますね。

出所:決算短信

◇オセアニア
オセアニアに関しても欧州と同じように一旦現地通過の豪ドルベースで内容を見てみると、売上収益は前年比+9.1%の69億ドル、事業利益は+0.8%の11億ドルと増収増益となりました。

売上収益は、主力ブランドを中心とした販売数量の増加に加え、業務用の回復や価格改定に伴う単価向上などによって増収となりました。
事業利益は、変動費のコストアップはあったものの、販売数量やミックス改善効果によって増益となりました。

出所:決算説明資料

これも日本円ベースで見ると増収増益である点は豪ドルベースと同じ傾向ですが、その増加率は豪ドルベースより日本円ベースの方が大きくなります。
やはり為替の影響の大きさを実感することになります。

出所:決算短信

また参考までですが、為替影響のまとめも見ておきましょう。
為替の影響額としては、売上収益に+861億円、事業利益に+102億円含まれています。
増加金額に占める為替の割合としては、売上収益では33%、事業利益では51%と、その影響力の大きさがわかります。
特にユーロの為替の変動幅が大きく、前年から10%円安に振れているため、為替の影響額も大きくなっています。
為替変動との付き合い方はとてむ難しいですね。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+4,556億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+1,094億円増加しましたが、そのうち現預金で+225億円増加しました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
あと営業債権や棚卸資産で増加が見られますが、これらは売上収益が増加したことに伴うものと考えられます。

非流動資産に関しては+3,461億円増加しましたが、そのうちのれん・無形資産で+2,560億円増加しました。

出所:決算短信

負債に関しては+527億円増加しましたが、そのうち営業債務で+1,229億円の増加が見られました。
一方で社債・借入金は追加借入がなく返済が進んだことで、△865億円減少しました。

出所:決算短信

資本に関しては+4,028億円増加しましたが、当期純利益と包括利益で増加、剰余金の配当で減少とて定常の動きがメインで、他に大きな動きはありませんでした。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+225億円増加しました。
内訳としては営業CFで+3475億円、投資CFで△1,177億円、財務CFで△2,267億円という内容です。

出所:決算説明資料

1,000億円超の投資による支出はありますが、それ以上に営業CFがあるため、フリーCFは2,000億円超となっています。

また配当政策に関しては、今回+8円の増配をしましたが、来年度も+11円の増配を予定しています。
2006年からの推移を見ても、減配することなく増配を続けています。
この辺りは株主還元を意識した配当政策と考えられます。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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