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WealthNaviの決算内容を3分で解説!

今回はWealthNaviの決算内容について見ていきましょう。
投資意識の高まりを追い風にして業績を伸ばして好調の様子です。

では決算内容について見ていきましょう。

営業収益は前年比+41.4%の65億円となりました。営業利益は通期で遂に黒字化を達成して2億円、当期純利益も営業利益に続いて2億円の黒字となりました。

出所:決算説明資料

ここ4年間の四半期ごとの業績を見てみると、四半期ごとに営業収益は伸び続けてきました。
2019年の1Qの営業収益は2.8億円でしたが、その4年後の2022年の4Qでは17億円まで伸びてきました。実に6倍と驚異的な伸びです。

営業利益に関しては2022年の1Qまでは赤字が続きましたが、営業収益が16億円を超えた2Q以降は黒字を継続しています。
1Qは営業収益が14億円で0.3億円の赤字だったので、四半期ベースの損益分岐点は約15億円程度ではないかと考えられます。

出所:決算説明資料

ではもう少し詳細内容について見ていきましょう。
まず顧客からの預かり資産の推移ですが、ここ6年間の推移を見ると綺麗にな右上がりの曲線を描いています。
2022年12月末時点での預かり資産は7,000億円を突破しました。
またこの6年間で多数の金融機関と業務提携をし、その提携パートナーを介しての預かり資産も順調に増えています。
やはり入り口は一つではなく多い方が良いということなのでしょう。

出所:決算説明資料

運用者数に関してもこの6年間で順調に右肩上がりの増加を続け、35万人を突破しました。2019年末では17万人だったので、ちょうど2年間で2倍に増加したことになります。

出所:決算説明資料

この様に預かり資産や運用者数の推移を見ていると、全く心配事はなく順調に進んでいる様に見えますが、懸念材料もあります。
ニュースでご覧になった方もいるかと思いますが、提携パートナーであったSBI証券・SBIネオモバイル証券との業務提携が解消されました。
提携解消が2022年9月でそこから12月までの間に運用者数は3千人減少しました。
一方預かり資産ベースで見ると、既存の運用者の資産は毎月増加しているため傍目にはマイナス影響は全くないように見えます。
ただ「仮に3千人が減少しなかった場合の預かり資産は?」という観点で見ると、やはり機会損失は存在すると考えられます。
(資料上には明記されておりませんが)

出所:決算説明資料

この様に一部のネガティブ材料はあるものの、現在の預かり資産の増加トレンドはそれをかき消すポジティブな傾向です。

このポジティブ要因の一つとして「おまかせNISA」が大きく貢献していると考えられます。
NISAに関しては色々とニュース等で目にすることもあるかと思いますが、2024年以降に新しい制度に変わります。
今はその過渡期にあたり、ここでいうNISAは現行制度のNISAになります。
現行制度のNISAには3種類「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」があります。
WealthNaviが扱っている「おまかせNISA」は「一般NISA」に対する内容となっています。

ここで簡単に一般NISAの制度内容に触れておきます。
ざっくり言えば「年間投資上限120万円、期間は5年間、総額投資上限600万円までの投資から得た利益に関しては税金はかかりません」となります。

出所:金融庁HPより抜粋

もちろん「投資による利益が出ればお得になる」というメリットがある反面、投資することで損をする可能性もあります。
ただ銀行預金の低金利や老後資金の問題などを考えると、NISAは資産運用の一つの選択肢として非常に魅力のあるものと考えられます。
この世の中の流れに乗ってNISAの加入者が増加している背景があります。

では話を戻しましょう。
ここまででWealthNaviの運用者数や預かり資産の好調な推移を見てきましたが、なぜこれほど順調に推移できているのか?
その答えの一つとしては「好調な運用パフォーマンス」にあります。
WealthNaviでは個人がリスクをどこまで許容できるかによってリスク許容度を1〜5まで分ています。
5が一番リスクの高い運用になりますが、その5の運用成績はドル建ての年利リターンは7.2%、円建て年利リターンは9.1%となかなかの年利を叩き出しています。

出所:決算説明資料

ここ1年間の日経平均株価は+7%程度で推移していることから考えると、まずますと言った運用パフォーマンスではないでしょうか。

では最後に今度の事業方針について触れていきたいと思います。
事業方針としては大きく3つの柱があります。
その中でも優先度として一番リソースを割いて注力していく項目は、「新しいNISA制度への対応」となっています。

出所:決算説明資料

新しいNISA制度は2024年から開始予定で、非課税投資枠の拡大が決まっています。
現行枠の600万円〜800万円に対して今後は1,800万円(年間360万円)と大幅な拡大予定です。

出所:決算説明資料

非課税投資枠が拡大することはその分個人の投資額が増加する可能性が高まります。つまりWealthNavi目線で言えば預かり資産の拡大チャンスが到来することを意味しています。

そのためリソースを割いてこの新しいNISA制度への対応を当面の事業方針の柱として注力していく方針を決定しました。

ただもちろんそこにはリスクがついて回ります。
WealthNaviにとってチャンスということは他社にとっても同様にチャンスであるので、この分野での競争がさらに激化するはずです。
結果としてコストだけかかり預かり資産は平行線、または他社に顧客を奪われる可能性も十分にあり得ます。

結果が目に見えてくるのは新制度開始後の2024年以降になりますが、それまでのWealthNaviの事業展開に注目していきたいと思います。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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