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ノエビアHDの決算内容を3分で解説!

今回はノエビアHDの決算内容について見ていきましょう。
化粧品メーカーで上位に位置するこの会社、女性ならずともご存知の方は多いと思います。その決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+2.3%の625億円と微増ながら増収となりました。
営業利益は前年比+9%の110億円、当期純利益は+1.1%の76億円と増益となりました。
大きく業績が伸びたわけではありませんが、全ての項目で着実に成長していることがわかります。

出所:決算説明資料

売上高と営業利益のここ10年間の推移を見てみましょう。
2013年からコロナ禍前の2019年までは売上高・営業利益ともに順調に増加を続けていました。
ただ2020年のコロナ禍で一旦業績落ち込みますが、飲食業界などと比較すると比較的影響は小さい方だったようです。
その後は徐々に業績を回復していき、売上高に関してはコロナ禍前を超えて600億円超まで伸長しました。
営業利益に関してはコロナ禍前を越えるまでには至っていませんが、ほぼ同水準まで回復してきました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見てみましょう。
セグメントとしては2つ「化粧品事業」「医薬・食品事業」があります。
売上規模としては化粧品事業が全体の77%、医療・食品事業が19%、残りはその他事業という構成です。

出所:決算説明資料

◇化粧品事業
売上高は前年比+2.4%の481億円、セグメント利益は+9.7%の118億円と増収増益となりました。
新商品・既存商品共に堅調に売上高が推移したようです。

出所:決算説明資料

経営のの中核を担うこの化粧品事業ですが、今後の戦略としては販売力の強化・お客様との接点の拡大を掲げています。

出所:決算説明資料

そのために全国各地に約2,000店舗展開している「ノエビア ビューティスタジオ」や全国10店舗展開している「ノエビア サロンドスペチアーレ」を拠点として活動を進めていく計画です。

◇医薬・食品事業
売上高は前年比+5.1%の119億円、セグメント利益は+2.4%の11億円と増収増益となりました。
既存商品の「眠眠打破」や栄養補助食品が好調に推移し、増収の要因となりました。
また新商品「プラズマ乳酸菌 おいしい青汁」も売上に貢献しました。

出所:決算説明資料

医薬・食品事業は売上全体の20%弱であり、この事業が今後どれだけ伸びるかは非常に重要なポイントと考えられます。
その今後の取り組みとしては、ドリンクを中心とした独自性のある新商品の投入とコスト管理を強化することで収益性向上を図る考えです。
特に主力商品の「眠眠打破」などは見かけのインパクトもあり、他商品とは差別化が図れていて独自性をしっかり強調できている商品です。
新商品でも同様の独自性を備えた商品が出てくると、ねらい通りの収益拡大が図れると考えられます。

出所:決算説明資料

◇2024年9月期業績予想
では次年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+0.7%の630億円、営業利益は+1.6%の112億円と微増ながらも増収増益の見通しです。
大きく業績を伸ばせる見通しではありませんが、少しでもプラスを継続していけることは今後の成長に繋がると考えられます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+4億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産では+6億円の増加がありましたが、そのうち現預金では△8億円の減少となりました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
他の項目では受取手形・売掛金で+15億円の増加がありました。
恐らくこれは9月30日が土曜日だったこともあり、決済日が月末の取引先からの入金が翌月へズレ込んだ影響があるのではと考えられます。

固定資産に関しては、特に大型投資などありませんでしたので、△1億円の減少と小さな動きとなっています。

負債に関しては△3億円減少しましたが、このうち長期預かり保証金で△4億円の減少がありました。
これはノエビアの商品を販売するために代理店と契約を締結する際に差し入れる保証金です。
これはあくまで保証金なので売上になりませんし、契約に伴って全額返金する必要があります。
その返金期限が到来したものが今回多かったということになります。

純資産に関しては+8億円増加しましたが、当期純利益+76億円と剰余金の配当△73億円の差額で+3億円が増加要因です。
あとは最近の株式価格の上昇を受けて、投資有価証券の簿価が増加した影響で「その他有価証券評価差額金」が増加しております。

出所:決算短信

あと自己資本比率の推移を見てみると、2019年のコロナ禍前から今回まで常に60%以上の水準をキープしています。
今回は68%とかなり高水準まで来ており、状況的には良好と言えます。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△33億円の減少となりました。
内訳としては営業CFで+76億円、投資CFで△35億円、財務CFで△74億円という内容です。

営業CFは税引前利益で+112億円稼げているので問題ありません。

投資CFに関しては、定期預金への預け入れによる支出が△27億円ありましたので、これが影響して△35億円となっています。
ここで注意が必要なのが、BS上の現預金とCFのキャッシュの範囲が異なるという点です。
CFの範囲としては、預入期間が3ヶ月超の定期預金はCFから外れます。
今回の定期預金への預け入れは、預入期間が3ヶ月超のものだったため、CFの範囲から外れ、その預入はCFのマイナスとみなされたということです。

財務CFに関しては、配当金の支払いで△73億円の支出がありました。

出所:決算短信

もともと借入金・社債などがありませんので、CF自体は健全に運用されている印象です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ


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