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クボタの決算内容を3分で解説!

今回はクボタの決算内容について見ていきましょう。
農機具メーカーで圧倒的な地位を築いているこの会社、その決算内容も好調のようです。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+12.8%の3兆207億円と過去最高となり、初めて3兆円を超えました。
営業利益に関しては前年比+53.4%の3,288億円、当期利益は+52.4%の2,385億円と利益面でも過去最高更新となりました。

出所:決算説明資料

今回の好決算の大きな要因としては「為替」と「値上げ」が考えられます。
売上高に占める海外割合は約80%と海外依存度が高いため、昨今の円安影響が売上高・利益面両方に大きく影響しています。
また世界的なインフレ傾向の影響を受けて製品の値上げを実施しており、その結果過去最高の業績へと繋がりました。

出所:決算説明資料

では各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「機械部門」「水・環境部門」があります。
規模感としては機械部門が売上高全体の90%近くを占めています。

◇機械部門
売上高は前年比+13.3%の2兆6,367億円となり、売上高全体の87.3%を占めました。 国内売上高は前年比+4.4%の3,158億円となり、主に建設機械及びエンジンの増加により増収となりました。
海外売上高は前年比+14.7%の2兆3,210億円となり、北米ではトラクタはレジデンシャル市場の低迷により苦戦しましたが、建設機械の販売が住宅建設や政府のインフラ開発需要により増加したことで増収となりました。
欧州では建設機械が公共工事需要に支えられ堅調に推移したほか、トラクタも在庫充足が進み、販売が増加したことで 増収となりました。
アジアはタイの干ばつをはじめとした天候不順による農業機械の買い控えが続きました。
またインドは畑作市場が堅調に推移したことに加え、前第2四半期よりEKL社を連結子会社化したことにより増収となりました。

出所:決算説明資料

セグメント利益は、金利上昇によるインセンティブコストの増加や原材料価格の上昇、インフレによる諸経費の増加などの減益要因はありましたが、値上げ効果や為替の改善効果などにより前年比+54%の3,558億円と大幅増益となりました。

出所:決算説明資料

◇水・環境部門
売上高は前年比+11.3%の3,645億円となり、売上高全体の12.1%を占めました。国内売上高は前年比+11.3%の3,079億円となりました。
環境事業の売上が伸びたほか、パイプシステム事業も堅調に推移し、増収となりました。
海外売上高は前年比+11%の566億円となりました。
主に産業機材事業で反応管が海外プラント新設需要に支えられ堅調に推移したほか、環境事業で膜システムの売上も伸び、増収となりました。
セグメント利益は原材料価格の上昇を値上げ効果で補い、前年比+77.1%の305億円と大幅増益となりました。

出所:決算説明資料

◇2024年業績予想
では2024年の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高はほぼ横ばいですが、前年比+1%の3兆500億円と過去最高を更新する見通しです。

出所:決算説明資料

営業利益に関しては前年比△2.7%の3,200億円と減益の見通しです。
為替変動や製品値上げの増益要因はあるものの、原材料価格の高騰や研究費・減価償却費の増加などの減益要因の方が上回る見通しです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+5,942億円増加しました。

出所:決算説明資料

資産の項目では現預金で△37億円の減少が見られました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
あと金融債権で+2,170億円の増加がありましたが、これは最近の株価上昇に伴う保有株式評価の上昇が影響していると考えられます。

負債に関しては+2,806億円増加しましたが、社債・借入金などの有利子負債で+3,791億円の増加が見られました。
設備投資や研究開発に加えてM&Aによる子会社株式取得などの影響で資金調達を進めたと考えられます。

出所:決算説明資料

資本に関しては+3,136億円増加しましたが、増加した主要因は最高益による当期包括利益+4,070億円となります。
一方で減少要因は毎年実施される配当金で△640億円と自己株式取得の△296億円となります。

出所:決算短信

財務健全性の指標であるネットDEレシオに関しても見ておくと、目安の1倍は下回ってはいるものの、借入金等が増加した影響で、前年より指数としては悪くなっています。
現時点では問題ありませんが、今後目安の1倍を上回れば要注意です。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△37億円減少しました。
内訳としては営業CFで△173億円、投資CFで△1,734億円、財務CFで+1,784億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは当期利益と減価償却費で+3,673億円とプラス要因がありますが、それ以上に金融債権・債務の入出金タイミングの影響で大きくマイナス要因があり、全体としてはマイナスとなっています。

投資CFに関しては、有形・無形固定資産の取得で△1,725億円の支出がありました。
また2024年度の設備投資額は1,900億円と投資を加速させる計画となっています。

財務CFに関しては、長期借入金の借換えなどで有利子負債が増加しており、その影響でプラスとなっています。
株主への配当金は今後も配当性向40%以上を目安に継続していく考えとなっています。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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