またダメだった。
駄々滑りだ。
客席から笑いの一個も起きなかった。
舞台に立ちながら僕は情けなくて笑いそうになった。
相方の目が必死になってるのも余計に可笑しさを増す。

目標はM-1チャンピオン。
そう言ったら皆んなが笑った。

親父のとこ行って今日もダメやったとぼやいたら、実は昔俺も芸人やってたわとカミングアウトしてきた。
お前にとっておきの教えてやる。
ウケるで。

M-1の予選から予想を裏切り次々と勝ち上がり、いよいよ決勝まで進んだ。
相方が言った。
なんで？
僕も言った。
ようわからん。

舞台に立つ。
喋り倒す。
最後の1分。
僕が上着を脱ぎ捨てると裸の上半身にしまうま模様。
客席が笑いの渦に巻き込まれる。
審査員もマイクに頭をぶつける。
笑いが涙に変わる。
僕も笑う。相方も笑う。
しまうまも笑う。

どうもありがとうございましたーーーーー！！

チャンピオンになった。
何がオモロいのかわからん。
トロフィーを受け取りながら相方が言う。
僕もわからん。
オモロいな。