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「人生は残酷だ。」そうかもしれないけれど、それは自分次第だよ。

模様替え張り切りすぎて、ちょっと腰が痛い。なんて事だ。
なんか、年齢を重ねると、筋肉痛とかがその日じゃなくて次の日に来るっていうのは本当なんだなあ。ちぇっ。

昨日はお風呂に入ってから何か映画見よーっと思ってカチカチしてたら、マット・デイモンのスティルウォーターという映画を見つけた。
軽くみ始めたのだけど、色々と複雑なお話だった。

フランス、マルセイユに留学した娘がルームメイトを殺害したとして投獄されている。
マット・デイモン扮するその娘のお父さんビルは、オハイオからフランスの彼女に面会に通っている。
もちろん娘が主張している無実を信じて。

見ていくうちになんか聞いたことある話だなあと思って後で調べたら、アマンダ・ノックスの実話をもとにしているらしい。

いくら無実を信じていてもフランス語も話せないし、担当の弁護士も終わった事だというスタンスは崩さないし、ビルになすすべはない。

投獄されて5年経ったある日、娘が「犯人はアキームという青年だ。」と主張する手紙を弁護士に渡してくれとビルに頼む。
弁護士には断られるが、それを糸口にしてビルは真犯人探しに奔走するようになる。

といっても、マット・デイモンだからってサスペンス満載の展開にはならない。

フランスで知り合った女性と、その女性の娘マヤに助けてもらいながら、オハイオには戻らずにアキームなる青年を探す。
真犯人探しのスリリングな展開とかではなくて、ビルと実の娘アリソンとの確執、ビルとフランス人女性とマヤの交流、マルセイユでの人種差別といった結構深い話が盛り込まれている。

ビルは実の娘アリソンとはきちんとした親子関係を結べていなかった。
詳しくは描かれないけれど、母親も自殺していて、アリソンはおばあちゃんであるシャロンに育てられている。

その間ビルは仕事や自分の時間を他に使うことで、アリソンに向き合っていない。
そんなビルがそれとは対照的にマルセイユで出会った女性の娘マヤとは、初めはぎこちないけれど、本当の親子のような関係を築いていく。
まるで、初めて娘を持った父親のように。

学校の送り迎えや、お昼ご飯の用意、マヤはビルに「アメリカ人でいちばんすき。」とまで言われるようになる、

映画『スティルウォーター』リル・シャウバウ(C)2021 Focus Features, LLC

このマヤを演じたリル・シャウバウの演技に魅了された。
8歳だと書いてあったけど、自分が演じている意味をはっきりとわかっていて、それなのにものすごく自然でマヤにしか見えない。
これまで一度も演技をしたことがないらしいけれど、だとしたら稀に見る天才だと思う。演技を続けていくのかはわからないけれど、この映画で演じたマヤは秀逸だったと思う。

上手い子役っていうのは時々出てきて騒がれるけれど、その子たちは「演技がうまいなあ」と思わせる上手さで、リルの魅力はそれとは違う。
もちろん演じているのだろうけれど、子役特有のうまくやってるな感が全くない。

アリソン役のアビゲイル・ブレスリンも、信頼できない父親だとビルを悪く言い続けるけれど、それでもビルしかいないわけで、行き場をなくして複雑になったビルへの愛情を切なく演じている。

そんな感じだから1日だけもらった外出許可の出迎えをビルには頼まない。
それでもビルしか自分を外に連れ出してくれる人はいなくて、2人で海に出かける。
その海でのシーンも美しい。

海に出かけた後、ビルがお世話になっているマヤの家に招かれるのだけれど、そこで見るビルの姿に複雑な気持ちになるのも仕方ないと思う。
そこには子供の頃、自分には向けられなかった愛情を、自然とマヤに向けているビルがいるのだから。

真犯人を探すことももちろん大切だけれど、その他の部分が丁寧に描かれていて、見終わったあと、サスペンス映画を見ましたと言うより、ヒューマンドラマを観ましたっていう気分になった。

もちろん、アリソンの無実が証明っていうか、他に犯人がいるかもっていう証拠が出てきたから釈放っていうマルセイユ式のやり方で釈放されて、オハイオに帰れるっていう結末だからそう言えるんだけど。

オハイオに戻った2人が、家の前のポーチの椅子に座って話す。
アリソンは「ここは何も変わっていない。」と言い、
ビルは「何もかも変わってしまった。」と言う。

ビルは間違った選択をして、マヤにもう会えない。
ビルはどの思いを抱えて「何もかも変わってしまった。」と言ったのか。

「人生は残酷だ」っていうセリフが2回出てくる。
初めはアリソン、最後にビル。
そうなのかもしれないけれど、アリソンとビルを見ていて「多分それは、自分次第なんだよ。」と思った。

罪状は違うけれど「ブローク・ダウン・パレス」や「リターン・トゥ・パラダイス」を思い出した。「ミッドナイト・エクスプレス」もか。
こんなに同じようなテーマの作品があるってことは、やっぱりあれなんだなあ。
日本でも海外でも、悪いことしないようにしよう。



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