見出し画像

ろくでもない御両人

駅のトイレ。小便器上の段になったスペースに、ビールの空き缶とミルクティーのペットボトルが置いてあった。誰かが捨てていったものだろう。年末に観た映画の役所広司なら手際よく片付けるのだろうが、僕は放尿しながらただ眺めるだけだ。

それにしても公共のスペースに堂々とゴミを置いていくとは、どうしようもない人間である。僕だってなかなかしょうもない人間だと自負しているが、さすがにトイレにゴミを放置することはない。下には下がいるものだ。なんだか謎の自信が出てくる。

ところで、ビールの缶を置いていったやつとミルクティーのペットボトルを置いていったやつは、どちらがより罪深いのだろうか。なんとなくビールの方が悪そうな気もするのだが、酔って判断能力が低下しているという見方もある。そうなるとシラフにも関わらずゴミを放置していったミルクティーの方がより悪いのか。

ただ、ビールがちょっと高いやつのロング缶だったので、ちょっと高いやつを結構な量飲んだ上でゴミを捨てたのか、と思うとかなり悪質な感じがする。これがイオンのプライベートブランドの発泡酒とかだったら「しょうがねぇな」の方に行ける気もするのだが。

一方のミルクティーはミルクティーで、紅茶花伝のロイヤルミルクティーだったので、「王族ともあろうお方が」というニュアンスが生じてしまってこれはこれで悪質だ。権力に胡座をかいて民衆の苦しみなど何もわかっていないのではないか。

「ちょっと贅沢した酔っ払い」VS「シラフの王族」という構図である。どちらがより悪いのかの結論は出ないが、とにかくろくでもない御両人なのは間違いない。きっと何かしらの報いを受けることになるだろう(卵のパックの角のところでビニール袋が裂けるとか)。


サポートって、嬉しいものですね!