地元のセイタカアワダチソウ
実家に帰った。コンビニに行きがてら久しぶりに近所をぶらぶらと散策する。昔空き家みたいだなと思っていた家が満を持して本物の空き家になっていて人口の減少を実感しつつ、懐かしい風景やそうでもない風景を眺めながら歩いた。売れる気配のない中古自動車屋、「大木切ります」の看板、スカスカのバス停の時刻表、急に現れるでかいドラッグストア、色あせたポスターの政治家の笑顔、レトロ風居酒屋にはない本当の雰囲気を醸し出しているほぼ全面が錆に覆われたホーロー看板。
そして、勢いがすごいセイタカアワダチソウ。
そう、何がすごいって地元はセイタカアワダチソウの勢いがすごいのだ。都会の一角の空き地などにたまに生えているのを見ると、「ずいぶん茂ってるなあ~」とかのんきに思うものだが、地元の線路沿いのものと比較すると正直勝負にならない。スタンスとしては「それくらいのやつ、うちにはゴロゴロいるよ」という強豪校のそれである。圧倒的に平均値が高いのだ。想像するに、この中からレギュラー入りをするのはかなり大変だろう。他所ならエースクラスのやつが応援席で仲間に声援を送ったりするような厳しい環境に違いない。それでも彼らは、ここで勝負したいという熱い思いを持って、高く高く泡だっているのである。
都会で、田舎で、セイタカアワダチソウはたった一度しかない今年の夏を精一杯生きている。それぞれの想いを胸に、それぞれの場所で全力を尽くしている。結果はどうあれ、必死に命を燃やしている彼らに幸あらんことを願いたい。
なんてことは特に思ってはいないが、勢いよく茂っているセイタカアワダチソウを見るのはけっこう好きである。
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