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臨床心理学の本②

解離性障害
「解離」とはその人の記憶や思考、感情といった体験が全てまたは部分的に失われた状態
かなり高い確率でトラウマ体験がある
解離とは本来トラウマ体験を処理するために必要な心の防衛反応である
有効な薬物療法がないため心理的介入が重要となる

摂食障害
極端に食事を制限したり、逆に大量に食べ物を摂取しては吐き出すなのを繰り返す精神障害です。
神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)の二つに分けられる。
心も母だも疲れて死に至ることもある。アルコールや薬物への依存、万引きや性的奔放、自傷行為をするなど衝撃的な行動が多くなる。
現代の美の基準が痩身であることの影響が大きい。

性障害
性機能不全、パラフィリア(性嗜好異常)、性同一性障害
パラフィリアは著しい苦痛があったり、犯罪行為をおこなったりする場合のみ医学的な障害と診断される。
身体的性別に異常がないのに、長期間にわたって自分と反対の性に強い同一感があり、逆に自分の体や性役割に対して大きな苦痛がある状態である。

※男女どちらに性的魅力を感じるかは関係ない
日本では条件を満たせば戸籍の性別が変更できるようになった。
※性別適合手術(性転換手術)が済んでいて、独身であり、未成年の子供がいない20歳以上の人であれば、戸籍に登録された性別の変更ができる。

【不安障害】
パニック障害

パニック発作を主な症状とする不安障害の一種
内科的な異常がないのに動悸、窒息感、発汗、めまい、死ぬのではないかという恐怖感など

100人に2〜3人ほど、女性の発症率が高く、男性の約2倍である

また発作が起こるのではないか?という予期不安が強くなり、発作を起こしたときに助けてもらえない場所へ行くことに恐怖を抱くようになる。

本人の気のせいではなく脳の機能障害である
発作そのものでなくなることはない
きちんと薬や精神療法で治療ができる

全般性不安障害

過剰な不安感が長く続く

疲れやすい、筋肉の緊張、頭痛、震え、動悸、眩暈
イライラ、慢性的な不安

恐怖症性不安障害

通常は恐れる必要のないある特定の刺激や状況に対して、過剰な恐怖感を抱き、それらを回避しようとする不安障害

「特定の恐怖症」「広場恐怖」「社交恐怖」
蛇などの動物、雷、嵐、高所、血液、注射、外傷、閉所や高所などの状況、などに強い恐怖感を抱く

広場恐怖は、逃げ場がない、または人混みで助けが得られないといった状況に強い恐怖を感じます。
パニック発作がある場合、助けを求められない状況を恐れ、外出できなくなることもある。

社交恐怖は対人恐怖とも呼ばれ、他人と接する場面に恐怖を感じる。

恐怖の対象にあえて晒すことで恐怖を取り去る。
社交恐怖には認知行動療法により、認知の歪みを正していくとが中心となる。

パーソナリティ障害

A群・・・閉じこもりがち

①妄想性パーソナリティ障害
騙され、利用されているという疑念が消えない。
パートナーや友人、仲間の信頼関係について根拠なく疑い、他者を信じようとしない。自分の性格などを攻撃されたと感じて怒りやすい。

②シゾイドパーソナリティ障害
孤独を何よりも優先し、親密な関係への願望や喜びを感じない。
友人がいない、他社からの評価や批判に無関心
感情が平板で、情緒的に孤立している

③失調型パーソナリティ障害
極端な疑い深さや妄想、独特の信念または魔術的な思考、独特な言語パターンがある。行動または外見が奇異である。親密な友人がいない。

B群・・・周囲の人との関係で問題が起こりやすい

①境界性パーソナリティ障害
不安定で激しい対人関係が特徴。相手の理想かとこき下ろしが両極端に揺れ動く、浪費野生行為を含む衝動的な行動を示す。自殺や自傷行為を行うことがある

②演技性パーソナリティ障害
自分が注目の的にあることを強く望む。性的に誘惑するような行動を示す。大袈裟で芝居かかった情緒表現をする。

③自己愛性パーソナリティ障害

自分の重要性を誇大に捉え、周囲には過剰な賞賛を求める。成功や権力、美しさにとらわれている。特権意識を持つ。他者を手段として利用する。嫉妬深い。
一方相手の気持ちには無頓着で、他者は自分を称賛するか、目的のために利用するもので思い通りにならないと強い苛立ちを感じる。

④反社会性パーソナリティ障害
違反行為を繰り返す。人を騙す、嘘をつく。苛立ちや攻撃性がある。


C群・・・共通して内向的である

①回避性パーソナリティ障害
自己にまつわる不安や緊張があり、批判や拒絶を恐れるあまり、対人関係を避ける。劣等感があり、恥をかかされることや馬鹿にさえることを恐れ、親しい関係でも遠慮を示す

②依存性パーソナリティ障害

他人への過度の依存がある。
自信がないため、自分で物事を決定できない。支持を失うことを恐れるために、他人の意見に反対できない。
親密な関係が終わってしまうと、親しい関係を必死で求める。

③強迫性パーソナリティ障害

融通性がなく、一定の秩序を保つことへのこだわりがある。娯楽や友人関係を犠牲にしてまで、仕事にのめり込む。道徳に関して融通が効かない。課題の達成を妨げるほど完璧主義を示す。


【気分障害】
うつ病

気分の落ち込んだ状態が続く病気
2週間以上にわたって毎日続くことが診断基準
精神分析では、幼少期に満たされなかった体験が影響すると考えられる。
大人になって愛する人を失った時に「見捨てられた」と言う怒りが湧き、それが自分自身に向かうのが要因とされている。

認知療法では、ベックの「うつ病は思考から生まれる」が有名
児童期や青年期に遭遇した喪失や批判、拒絶などの経験を通して世界を否定的に見がちである。自分は無能であると感じがち。

※「頑張れ」と励まさない、休息をとる。重大な決定は後回しにする。

双極性障害

活動的で高揚した状態と、うつ状態を繰り返すもの躁状態の時は現実離れした行動をとり、相手を傷つけたりすることもある。早口でよく喋る、無謀な計画を実行したりする。
うつ状態の時には躁状態だった時時の自分の自己嫌悪感も加わりますます辛さが増してしまう。

統合失調症

心や考えがまとまりづらくなってしまう病気で、精神病に分類される。

妄想、幻覚、まとまりのない会話などがある。さらに幻聴や妄想などが起きる陽性症状と、感情が平板化して意欲が低下する陰性症状の二つに分けられる

本人には幻覚などは現実味があるために、それが病的な症状だとは気づきにくいのが特徴

周囲が気づくことが、早期発見の第一歩である。

原因はよくわかっていない。
薬物療法と、リハビリによる治療を組み合わせて行う

最近の鬱は仕事など困難な時だけうつ状態になり、休息など自分の好きなことに関しては積極的になるという特徴があり、うつと気付きにくい。

強迫性障害

強迫観念による強迫行為
「心配のしすぎ」というレベルを超えている
日常生活が困難になる

点検と確認を何度も繰り返す
何度も手を洗う
ものを決まった通りに並び替える

PTSD
トラウマ体験
その体験に対して強い恐怖を感じ続ける不安障害

恐怖体験の後4週間以内は急性ストレス障害と診断され、
なお続く場合にPTSDと診断されることが多い

事故や災害、犯罪や戦争などが原因となる

家に引きこもる、物音や刺激に敏感になる

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家族療法の考え方

家族の問題は『原因』→『結果』という直接的因果律ではなく
問題の原因と結果は互いに影響しあって循環している円環的因果律として捉える動きが生まれた

赤点矢印のように見えるが、実際には相互に影響しあっていることがわかる

母親と子供だけの問題とは限らない

理性と情緒がそれぞれ独立している=自己分化という考え
自己分化が低いと心の安定を保つために胃に反した態度をとったり、自他の区別がつかずに問題を起こしたりする
自己分化の低さが世代から次の世代へ伝わると、心理的な症状となる

両親は結束して子供に向かうのが理想的である
親のこの間にははっきりとした境界線が必要である
親子間は友人のような同列関係であるべきではない
子供は親の役割を担わないことが大切である

言葉によるメッセージとはまた別に、行動や表情や声色などから受け取るメッセージがある
矛盾する2つのメッセージを受け取ったものはどちらを信じていいか混乱する
そのような状態が繰り返されると、コミュニケーション不全をもたらす

例)言葉では「来い」と言っているが、行くと嫌な顔をする
このような母親に対して、子供はどちらのメッセージを受け取ったらいいのか混乱してしまう

内観療法による心理的変化

「子供の頃、母親は仕事で忙しくてろくに食事を作ってくれなかった」

内観療法を行う
①していただいたこと
②して返したこと
③迷惑をかけたこと
この3つのテーマについて書く

「遠足の日に疲れていたのに早起きして美味しいお弁当を作ってくれた!」

母親なりに努力をしてくれていたことに思い当たる
自分はきちんと愛されていた、と親への思いを改める

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こうして読んでみると、本人が自覚してなかったり他人が認識していないだけで、不安障害がある方は結構いるのかもしれないと感じました。

完全に理解できなくとも、理解しよう、受け入れようとする姿勢でいる事が大切ですね。


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