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帰るべき場所

今回はとても真面目な話。

私は企業で会社員として働く傍ら、長年の目標にしている活動へ向けて最近やっと1人で任意団体を立ち上げた。

地域で活躍する企業様をレポートするのが基本的な活動である。レポートといっても、社員募集などで大手コンサルさんがやっているような「業種、事業規模、平均給与などなど」のレポートではない。その会社の成り立ちや起業したコンセプトや当初の苦労など企業のバックボーンを深掘りする形だ。

社長様が起業に至った経緯や今の悩みなど、とにかく深掘りして記事を書いていくつもりだ。

なぜそんなことをするのか?

中期的な目標として児童養護施設と地域の企業を結びつける新しい社会的仕組みの構築のためだ。

リアルな話、双方にベネフィットがない限り結びつける必要がない。提供だけでも享受だけでも長続きはしない。

そんな訳で、とある児童養護施設様に許可をいただいて本日1時間ほど養護施設の現状と抱えてる問題のヒアリングをさせて頂いた。

想像していた通り一番の問題点は以下の点だった。

18歳を越えた子に支援がされない事

児童養護施設は税金と寄付で賄われてる。そして基本的には全ての児童は18歳を以て卒園となる。

聞くとここ数年で改正もあり、20歳までの延長も可能になったとの事だが。

児童養護施設の子供達の大学進学率は14%と言われていたが、貸与型給付金の基準が変わった事で30%弱くらいまでは進学率が上がってるそう。

それでもまだまだ一般家庭の比ではない。

親の支援が得られず、帰る場所もない子供達が「貸与型奨学金」という名前の「学生ローン」を組まざるを得ないのだ。

家を借りるにも保証人が居なかったり、例えば卒園して就職したにせよ、退職すると帰る家すらない。

想像してみて欲しい。盆や正月に帰る場所もなく、結婚式に呼ぶ親もなく、借金を抱えながら1人社会で生きていく事を。

今日のヒアリングで聞きたい事を色々ストレートに投げかけてみた。

「卒園した後、顔を見せに来てくれたりするんですか?」

「卒園後、順調に暮らしてる子は来てくれます。ただ、仕事や学生生活でうまくいってない子ほど音沙汰が無くなります。うまくやれないでいる事で、施設に顔向けできないから行けないと彼らは言うんです。」

指導員さんは、とても悲しそうな顔で教えてくれた。

子供達の中には乳児院から児童養護施設に来る子も多いと言う。その子達の描く絵はとても楽しそうな絵だった。

だけど、理解して欲しい。この子達は「お父さん、お母さん」と言う概念すらないから寂しくないのだ。

親元から離れた子供達は当たり前に寂しくなる。しかし、物心つく前に預けられた子供たちは、その寂しさすら感じる権利が与えられていないのだ。

そんな子供達がたったの18歳で社会に出ざるを得ないのに、そこから先を支援する仕組みがまだこの国にはほとんどない。

辛い時に、悲しい時に宿木になれる場所はないのだ。

私はなんとかそれを作りたい。そのためには企業や国の協力は必要だ。

企業においては社会福祉活動支援に取り組んでいるというブランディングにもなる。人不足のこの時代に於いては、若い力を受け入れる受け皿にもなる。

子供達にとっては企業のサポートで卒園後の支援を受ける事もできる。

自治体においては税を投入することで、若い人たちの流出を減少させる手段にもなるだろう。

ただその三者を繋ぐシステムが今はゼロだ。

このシステムを構築する団体ないしは会社をやっていこうと私は思う。

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