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香りと音楽と景色と。

4/12の中国地方は春麗かな陽気…を通り越して汗ばむ気温になった。

感情のコントロールが効かない万年係長のように冷えたり暑くなったりで、何ともやりにくい春。

私はと言うと今日は8年前まで担当していた岡山県北部を改めて担当する事になったため、現地の顧客への挨拶がてら久しぶりに中国道を使って赴いた。

8年前と同じルートを辿るのだが、本来懐かしさが込み上げてくるはずの道中の景色も何故か新鮮味がある。

足掛け13年通った道なのだから、もう少し懐かしさがあっても良さそうなのだがまるで初見のような感覚しかなかった。

むしろ「こんな道だったかなぁ…」と首を傾げる事も。

映像(視覚)による記憶とはこんなにも曖昧で劣化しやすいんだなと実感した。

目と鼻と耳の記憶

五感による記憶の強さをイメージすると、視覚が最も強そうな気がしていたが調べてみると視覚による記憶は簡単に薄れてしまうらしい。

よく考えてみると確かにそうだ。

今朝オフィスで話した同僚のネクタイの色すら思い出せない。確実に視界に収まっていたはずなのに。

そこで五感のどれが強い記憶となるのかを調べてみた。

意外な事に一位は嗅覚らしい。

自分の経験では、音楽(聴覚)の記憶が一番強い気がしたのだが、嗅覚の方が上だとの事。

皆さんにもこんな経験はあるだろうか?

ふとした表紙に青春時代に聴いていた好きな曲が流れてきて、一気に当時恋していた事や切ない思いをした記憶が蘇ってきた…

誰しもにある経験ではなかろうか?

私はそう言う経験がとても多いため、やはり嗅覚より聴覚の方が過去の記憶と結びつきが強いのではないかと思った。

しかしあれこれ調べて(欧米の大学や研究所の心理系や脳科学系のデータ)みても、やはり嗅覚が一番強いと結論付けられていた。

何故だろう…と考えてわかったことがある。

過去のワンシーンに於いて「匂いが感じられる瞬間はそうそうなかった」という事。

例えば、まさに今これを読んでる時に鼻をクンクンしてみて欲しい。記憶に残るような匂いをあなたの周りで感じるだろうか?

恐らくは無いはずだ。

私の過去の記憶(ドライブした事やデートした事)の中でも音楽は流れていたが匂いはなかったのだと思う。

勿論、食事に行った記憶であれば匂いもあるだろうが。

聴覚の方が記憶に残りやすいと私が感じたのは、ただ単に

「その瞬間に嗅覚を刺激するような匂いがなかった」

だけの話なんだと。

妙に納得した。

香りと共に生きてみる

嗅覚が最も長く強く記憶に残ると結論付けられてるならば、今度はそれを応用しない手はない。

人によりけりだろうが、大切な人との時間には香りを意識的に取り込む事で後々強く記憶に残せるはずだ。

認知症対策

国民病とも言える認知症。記憶や認知機能が衰える病だが、これは脳の中の海馬という部分が最初に壊れてしまう。

海馬というのは五感で得た情報を大脳皮質(記憶の倉庫)に整理して届ける仕分け屋さんだ。

これが壊れてしまってから得た情報は、当然記憶されない。

認知症の方が昔の歌はしっかり歌えたりするのは、大脳皮質に既に保存されている過去データだからだ。

匂いや音楽に紐ついた記憶はより強く保管される。

いつかもし、自身や、大切な人の認知機能が衰える日が来たとしても匂いや音楽に包まれた記憶は残り続けるだろう。

明日から、それを意識して大切な人との時間には香りや音楽を意図的に同伴させる事で将来「よかった」と思える日があるはずだ。

かく言う私も明日以降はそれを強く意識してみたいと思う。


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