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酒粕汁がお好きでしょ

つい2年前まで酒粕汁が嫌いだった。

最初に酒粕汁を食べたのは小学校高学年の時だったと思う。

いつもの味噌汁と違って白い。匂いも違っていて冬に似合う香りがした。鮭の赤と白と上に乗った刻みネギの緑。コントラストが綺麗だった。

期待に胸を膨らませて汁を啜ったら理想と現実のギャップがあまりにもありすぎて吐きそうになった。

魚臭くて酒のにおいが強くて。今までこんなにマニアックな味を口にしたことがなかったから驚いた。原始的というか、生命力過多というか子どもには強すぎる味だった。

それ以来酒粕汁が出てきても食べなかった。

転機は2年前。知人が酒粕をくれた。

酒蔵の主人と知り合いで大量に酒粕をもらったそうで。さすがに食べきれないから貰ってくれ、と言いながら板チョコ5枚分くらいの酒粕を差し出された。これが全部札束だったらいいのにって思った。

家に帰ってから悩んだ。「どうすりゃあいいんだこれ」と。

米麹は使ったことあるけど酒粕って。

酒粕の用途が甘酒くらいしか思いつかなかった。甘酒嫌いじゃないけど作ってまで飲みたくないしなぁ。でも捨てるのはもったいない。で、最終手段が今まで封印していた酒粕汁にするだった。

苦い思い出ならぬ、臭い思い出が蘇る。ぐぬぬ。。。

でももったいないから作ることにした。

魚は入れたくない。あれ以来魚を入れたスープとか鍋全般が苦手になったから。食べ慣れたものに+αすれば或いは。そう考えて豚汁を作ってそこにちょっと溶き入れることにした。

豚肉・大根・人参・白菜・ごぼう・椎茸・玉ねぎ・好みで里芋。

里芋とごぼう以外を炒めていい感じになったらだし汁と里芋入れて煮る。ちょっとしたらごぼう入れて煮て、里芋に箸がスッと通るようになったら火を止めて味噌と酒粕を溶き入れて完成。

冬に似合う香りは変わらない。魚を入れていないから野生的なにおいが0。これはいけるかも。

期待に胸を膨らませて汁を啜ったらジワーッと体に沁みるような味で生命力を飲んでるみたいな別次元の味噌汁。自分で作ったもので初めて感動したのでした。

この日を境に酒粕汁が大好きになった。

酒粕って結構フランクに使える。普段使いの味噌が白味噌だったらバッチリ。ちょっと足すだけで冬の味になる。

冬冬いってるだけあって、やはり寒い時期に旬の野菜と好相性だと感じている。根菜系はだいたい冬だし白菜も里芋も今が旬。

まさに今酒粕汁が美味しい時期なんですよ。

スーパーで300円くらいで売ってるからまずは買いなはれ。これはいいぞ、と思ったら酒蔵とかで直販売してるようなの買うと更に美味しい。

お試しあれ!

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