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#7 あなたの素顔ってどこにあるの?

トム・クルーズは作品内に、自分の片鱗を投影したり、過去の痕跡を残したり、自らが内に抱える問題を吐露したりしている。しかもそれだけではなく、マスコミを寄せつけず映画外でいっさいの人間味を見せようとしない問題、いわばトム・クルーズ自体が1人のキャラクターのようになっているという問題さえも、ある作品には表現されているのだ。

「『Who are you, really?』」

『ナイト&デイ』(2010) / 出典:IMDb

『ナイト&デイ』はごく普通の一般女性”ジューン”が突如現れたCIAエージェントの男”ロイ”(トム・クルーズ)の任務に巻き込まれ生活が一変してしまうというドタバタ劇なのだが、この作品などはトム・クルーズという人間の「非・実在性」を非常にやんわりと暗示しているように思う。

作中、ジューンはとにかく振り回される。2人で飛行機に乗ればロイは機内で銃撃戦を始め、機体が不時着した途端すぐさま彼女はロイに薬で眠らされる。翌日起きれば彼は消えており、今度は見知らぬ男達に捕えられて誘拐されるも、ロイがまたまた突然現れ彼女を救うためカーチェイス。その後何度もジューンは薬で眠らされ、目を覚ませばヘリコプターに乗っていたり、ボートで運ばれていたり、南国の砂浜にいたり、雪国の中電車で走っていたりと、まぁとにかく好き勝手やられてしまう。

どこからともなく急に姿を表すロイ。このキャラクターには現実味の欠けたところがある。実在しているかどうか、彼女もよく分からない。だから彼女は何度も彼に問う。

このセリフは、私が考えるに、「私の生活、アクション映画みたいになっちゃってるけど、これって現実?そもそもあなたって存在しているの?あなたもまるで映画のキャラクターみたい...どこに本当の素顔があるの?あるなら見せてよ」というような事を示唆している。

具体的に話のオチは書かないが、『ナイト&デイ』のラストでは、ロイがジューンに救出されて映画は幕を閉じる。だからこの映画は、”映画”に取り込まれてしまった女性が、むしろ最後は男を”映画”の中から救い出してあげるという話なのだ。

これ即ち、『トム・クルーズ』を描いた作品ということだ。彼の「非・実在性」という問題を扱っている。トム・クルーズは『トム・クルーズ』が幻想であることさえもちゃんと映画内で暴露しているのだ。

「トムを好きになりたいあなたへ」

これまでを読んだ方は、トムが息苦しい毎日を送っており、映画内でしか自分の辛さを語れない、ひどく哀しい男だと思うかもしれない。しかし、それはすこし違う。近年、彼はコミカルな路線へますます身を伸ばしている。彼が『トム・クルーズ』問題にとても愉快な手段で取り組んでいる動画がココにある。もう最高だ。

⬇︎トム・クルーズが出演作のほぼ全てをセルフパロディ!

さぁ…やっとだ!

第1部・第2部の説明は『トップガン マーヴェリック』という映画を語る上で必要不可欠なものだった。”実在・非実在”は特に欠かせないキーワードである。

では遂に映画の本筋に入っていこうと思う。

ただし、ネタバレ含みます!笑。




👉  #8  『この映画、どこか変。』

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