大岩 翔太郎

98年大阪生まれ/アメリカ留学5年/サラリーマン

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【全文無料】夢から醒めてこそ夢を知る

「la-la land」という言葉を英和辞書で調べますと、「the mental state of someone who is not aware of what is really happening」というふうに記載があります。わたしがこれを直訳すれば「なにが本当に起こっているか自覚していない人間の心情」となりますが、さぁつぎにDeepLで翻訳をかけると、あまりに簡潔、かつ手厳しい意訳で切り返され、一瞬ドキッとした。「井の中の蛙大海を知らず」であると。そんな皮肉な意味の

    • 顔なきロビン・フッド

      《前編》 ボニー&クライド/なぜふたりの顔は映らないのか成田空港に到着したガーシーこと東谷義和容疑者が、そのはめられた黒い手錠とモザイク処理さえなければ一見どこにでもいるガラの悪い中年男があたかもバカンスに訪れた南国の宿泊先のプールに泳ぎにきたと見紛うようなリラックスした様子で、警察に連行されていったニュース映像は記憶にあたらしい。 彼は義賊だった。義賊とは、体制側から犯罪者とされながらも大衆から支持される個人や集団のことです。権力者に向こうを張り、やたらとクリーンを人に

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      • 我差別する、ゆえに我あり。

        若干失礼ながら、この映画が主として取り組んでいる安楽死や高齢化問題というテーマについて私はさほど語るつもりが無いことをまずはじめに断っておかなければならない。 それよりかスクリーンにうつる主人公角谷ミチが死を決断するさまやそれに至る過程をぼんやり眺めていると、高校2年の冬の朝、朝6時13分の電車に飛びのり、駅につくと早足で改札をぬけ、まだ一台も教師の車が停まっていない学校の駐車場を通りすぎては、閉じられた、凍ったように冷たい鉄製の校門を身体全身の力で押しあけ、人のいないから

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        • 美しい瞳に映るのは、死か仲間かスクランブルエッグか

          もう食べ飽きたせいか、味つけが悪いせいか、この国がとうの昔に食文化なんて軽んじたせいか、おいしさの全く感じられないスクランブルエッグに、へたすればアメリカ国内どの飲食店のシェフよりも客の舌を満足させているであろうハインツのトマトケチャップをべったりとつけ、とにかく口に運んでいた私の前を、ひとりの青年が静かに通りすぎていった。兵士だった。 時刻は朝の七時過ぎ。みれば彼のほかにも軍服に身をつつんだ数人の仲間たちが言葉少なに朝食をとっている。白人はもちろん、黒人もいれば、女性もい

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          区切り

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          #10 死者と使者。

          ※ ネタバレ含みます!!! なぜマーヴェリックは死ねないか。 それは、空が彼に”かつて”を取り戻させてくれるからだ。 ”かつて”とは、グースと過ごした煌びやかな時間や過ぎ去ってしまった自分の若さのことである。 グースとは、前作『トップガン』において、飛行訓練中に不慮の事故で亡くなったマーヴェリックの元相棒である。相棒の喪失はマーヴェリックに重くのしかかり、空を飛ぶことに恐怖さえ感じるようになってしまう。前作のラストではそのトラウマを解消し再び戦闘機パイロットして生きて

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          #10 死者と使者。

          #9 どれだけ足掻いても死ねない男。

          ※ ネタバレ含みます!!! 最後にもう1つ。 最も初めに発表された映画の予告編、ここにマーヴェリックというキャラクターのまさしく「非・実在性」が示唆されている。 (個人的には1番カッコよくて好きな予告!⬇︎) 予告編の冒頭、機体が超低空飛行から一気に上昇するまで、ハンマー少将の語りが挿入されている。そこで話されている内容は次のようなもの。 マーヴェリックの人物紹介である。ここで語られている内容によれば、どうやら彼は多くの賞を受賞しているにも関わらず、同じ階級にとどまり

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          #9 どれだけ足掻いても死ねない男。

          #8 この映画、どこか変。

          ※ ネタバレ含みます!!! 『トップガン マーヴェリック』にはすこし妙なシーンがある。しかも1つではない。まずは映画冒頭、マーヴェリックが極超音速機"DarkStar"のテスト飛行を行うシーンだ。 この音速機は航空史上未だかつて到達したことのないスピード、「マッハ10」の壁を破る。第1部で記したが、音速の単位「マッハ1」が既に時速1225キロメートル。"Darkstar"は私たちが普段使う民間機の約14倍もの速さで飛ぶ。「マッハ10」がいかに意味不明なスピードかご想像頂け

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          #8 この映画、どこか変。

          #7 あなたの素顔ってどこにあるの?

          トム・クルーズは作品内に、自分の片鱗を投影したり、過去の痕跡を残したり、自らが内に抱える問題を吐露したりしている。しかもそれだけではなく、マスコミを寄せつけず映画外でいっさいの人間味を見せようとしない問題、いわばトム・クルーズ自体が1人のキャラクターのようになっているという問題さえも、ある作品には表現されているのだ。 「『Who are you, really?』」 『ナイト&デイ』はごく普通の一般女性”ジューン”が突如現れたCIAエージェントの男”ロイ”(トム・クルーズ

          #7 あなたの素顔ってどこにあるの?

          #6 少年。

          少年が12歳になった頃、父親は家族を捨てた。父の家系は代々優秀な人間が多く、父の弟も、祖父も、曽祖父も、皆法律家の道に進んだ。父自身は大学で工学を学び、就職した合衆国最大の電機メーカーでは将来を有望視されていた。しかしさらなる富と成功を追い求め独立。妻と4人の子どもたちを引き連れ各地を転々としたのち、とうとうひとり家を出て行った。 取り残された家族は何年も貧困に喘ぐはめになる。母親が複数の仕事を掛け持ちする一方、少年は毎日夜明けとともに起き、新聞配達のアルバイトに励んだ。少

          #5 人造人間トム・クルーズ

          女性記者ステファニー・マンスフィールドはトムをこう表現する。 1992年、彼女は大手有名雑誌GQの12月号発表にむけてトムへのインタビューを行なっていた。しかし彼女がトムの過去の家庭問題について探ろうとした瞬間、彼が突然激昂する。 ※『ア・フュー・グッドメン』は1992年に公開されたトム主演の映画 彼の高校時代のガールフレンドや昔の知り合いについて聞こうとする彼女の質問に、トムはそれ以降にまともに答えようとはしなかった。インタビューを終えたマンスフィールドは、次のように

          #5 人造人間トム・クルーズ

          #4 煙の正体はまさかの怪物。(ネタバレ)

          『トップガン』(86)の有名なオープニングシーンは、まずタイトルを経て次に問題のショットから始まる。 ⬇︎ 煙。 映画制作の現場では幻想的なシーンを作り出すため、あえて人工的な煙(スモッグ)を焚くというのはよくあること。私も最初はそう思ってぼんやり観ていたが、どうやらそうではない。海風に揺られ絶え間なく作業員や戦闘機に向かって吹きつける煙は、デッキの下辺りから昇っていることが分かる。煙は本物のようだ。では一体どこから煙は発生しているのか。 が、この問いが既に間違ってい

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          #4 煙の正体はまさかの怪物。(ネタバレ)

          #3 重力が8倍でも戦闘機に乗りたいか。

          「G」とは、重力加速度の単位だ。 私たち地球人は常に1Gの力で地球に引き寄せられている。つまり重力が1Gだ。漫画『ドラゴンボール』の主人公である、地球生まれのサイヤ人、孫悟空は作中あらゆる場所でGを経験してきた。 -精神と時の部屋 -界王様がいる界王星 -ナメック星に向かう宇宙船のトレーニングルーム 記事#1『シャレの通じない男もやっぱりおもしろい』 これらの場所は全て10Gの負荷がかかっている。地球の10倍もの圧力が襲いかかってくるわけだ。彼らは宇宙人だから放ってお

          #3 重力が8倍でも戦闘機に乗りたいか。

          #2 映画消費。映画鑑賞。映画体験。

          現在世界中で爆発的な売り上げを叩き出し、もはや社会現象となりつつあるトム・クルーズの最新作、映画『トップガン マーヴェリック』。この映画は、アメリカ海軍のエリート飛行訓練学校、通称”トップガン”で学ぶ戦闘機パイロットたちを描いた物語であり、1986年若きトム・クルーズがハリウッドにおけるスターの地位を不動のものとした伝説の作品『トップガン』の続編である。 記事#1『シャレの通じない男もやっぱりおもしろい』 映画公開にあたり、予告が初披露されたのが、まだ私が留学中の2019

          #2 映画消費。映画鑑賞。映画体験。

          #1 シャレの通じない男もやっぱりおもしろい。

          お笑いコンビ紳助竜助が、かつて漫才でこんなやり取りをしている。 こんなに明快で楽しい理屈が他にあるだろうか?少なくとも誰かに「飛行機ってどうして飛ぶの?」と訊かれたら、すかさず紳助論を話そう。自分で思いついたみたいな顔で。 ただ仮にもしあなたが、この理論しか知らないまま生きていくとなると、いつか思わぬところで小石に蹴つまずき足を滑らせてしまうかもしれない。この世に生まれて24年、ついに私にそんな不幸が起こってしまった。 小石の正体は何だったか。それは私の大好きな”クレイ

          #1 シャレの通じない男もやっぱりおもしろい。

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