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VisionProを着けて歩いてみたら、フリーwifiのログイン画面にぶつかった。そして考えた未来の情報表示について。

この記事では、XR・空間コンピューティング時代において、「情報表示」は人に与えるのではなく感じさせることが、「緊急度の低い危機」は、明示的なアラートではなく、優しい伝え方で生活者の行動を変容させ回避させることができるのでは、という話をします。

VisionProがオフィスに届いた日。実験的にVisionProを着けてオフィスの周りを歩いてみたら、突然目の前に現れたフリーwifiのログイン画面にぶつかりました。(技適特例申請届出済み)

VisionProは屋内での利用が想定されています。今回も屋内ではありますが、着けたまま移動する場合は、こういうことが起こり得るようです。気をつけないといけないですね。

またこの現象は、VisionProが会社に届いてすぐ、設定などを把握せず、色々試す中で起きたものなので、もしかしたら自分の操作が原因で起こったことかもしれないですし、誰にでも起こることではないのかもしれません。

様々な反響を頂きました

しかし、この時の映像をXに投稿したところ、様々な反響を頂きました。

海外でもredditで話題になっていたみたいです。
Be careful if you wearing AVP and work around world! (MR spamming)

突然現れたウィンドウから想像する未来

SFで描かれていたような現象にワクワクされる方がいらっしゃる一方で、Keiichi MatsudaさんのHYPER-REALITYや世界がバーチャルの広告で溢れ返るディストピア小説を想像した人もいました。

突然目の前の空間に現れるウィンドウは、多くの人にとって広告や警告のように見えたようです。

例えば、暴走する自動車がすぐそこまで迫っていて、すぐさま警告を出さないと命の危機がある場合は仕方ないですが、そうではない時、広告等のような「情報表示」や「緊急度の低い危機回避通知」が、突然目の前に現れることは望ましくなさそうです。

ではXR・空間コンピューティングにおいて、それらはどうあるべきなのか。

情報は与えるのではなく感じさせる

例えば、MESONでVisionPro発売に合わせてローンチした「SunnyTune」というアプリは、スノードームのようなオブジェクトの中で天気の情報を感じさせるアプリになっています。

数字や記号により天気情報をユーザーに与えるのではなく、仕事のウインドウの傍らに置いておき、目の前になくとも風の音や光によって天気を感じてもらうような「情報雑貨」を目指しています。これはデジタル情報を空間を使って表現するからこそ、できるようになることだと考えています。

危機は生活者の行動を優しく変容させ回避

またMESONでは、近い将来ARグラスが普及し、常時グラスをつけて生活するシーンにおいて、生活者に迫る危機をXR・空間コンピューティングによって通知することも考えています。

しかし、生活者に迫る危機を、何度も突然現れる警告により、行動を強制的に変容させると、生活者に大きなストレスを与えることになるでしょう。

そこでMESONではよく「優しい行動変容」というワードが使われます。緊急度の低い危機であれば、生活者に優しく行動の変容を促し、気づかないうちに未然に危機から遠ざけるようなXR・空間コンピューティングの在り方です。

例えば、道を歩いている人が曲がり角を飛び出してくる自転車と衝突することが予測される時、ARグラスに実装されたAIエージェントが「あ!面白そうなポスターが貼ってあるよ。」などと、生活者が足を止めるような興味を持つ話題を自動で生成し、危機を回避させたり。

XR・空間コンピューティング時代においては、ARグラスのカメラを用いたVPSにより生活者の位置を正確に特定し、そこにAIを組み合わせることで、その場所の環境や空間に応じた危機回避のための通知を表現することができると考えています。

未来の情報表示はこれから作ることができる

たしかに、フリーwifiのログイン画面にぶつかった映像は、XR・空間コンピューティングの危険な側面を表しており、SFで描かれていたようなディストピアを彷彿させるものだったかもしれません。

しかし、XR・空間コンピューティングの情報表示について、今のうちに正しく考えることができれば、SFで描かれている世界とは違った、ワクワクしつつも、危険でなく便利な世界が作れると考えています。


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