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「たい」と「べき」

少子化問題への対応は一筋縄ではいかない。常態化した長時間労働を見直し、子育てに対して働きやすい環境とインフラを整備すること、手っ取り早い支援金を出すなど、あの手この手の施策がとられている。

ベースとなるひとつの統計は、人口問題研究所の「出生動向基本調査2021」だろう。

こんなアンケート結果があった。

「(結婚したら)子ども持つべき」だと思うのは、未婚女性では37%(前回は67%)、男性は55%(同75%)だった。

未婚女性の7割ちかくが、結婚しても子どもは「いらない」と考えているのだろうか。

設問の「べき」というのにひっかかった。

子どもを持ち「たい」か、という質問ならわかるけれど、「べき」という義務のような風習のような威圧感のある質問をされて、きちんと本心で答えるのだろうか。

わたしなら、適当に答えるかもしれない。

また一方で、未婚者に子どもは何人くらいほしいか(「子どもを持ちたい」か)という質問もしている。結婚意思のある 18?34歳の未婚男女の平均希望子ども数は1.8人だった。

わからなくなってきた。

じゃあ、「結婚したくない」という人が多いのだろうか。女性の15%くらいはそう思い、85%はいずれ結婚したいと思っているという(男性はそれぞれ17%、81%)。

ますます、わからなくなった。

まとめると、
85%の女性が結婚したいと思っているが、その7割近くが「(結婚しても)子どもを持つべき」でないと考えている。その反面、子どもを1.8人くらいは欲しいと希望している。一方現実の合計特殊出生率(15~49歳までの既婚・未婚問わない全女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.2台だ。

少子化問題への対応は一筋縄ではいかない。