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女性活躍プロジェクト

ウチの会社で女性活躍プロジェクトが発足したのは、たしか5年ほど前のことだった。今から思えば、先見性のある社長の指示だったが、残念ながら今も役員はおろか管理職にすら女性がいない。

当時も今も、女性だからといって職種を制限しているわけではない。商社だから現業は営業部門、バックヤードの経理、総務、人事、法務などにも女性社員はいる。だが、管理職は「おじさん」のままなのだ。

女性活躍プロジェクトは成果をだした。職場環境の改善、整備からはじまって、仕事時間がメインの課題だった。学校に通う子やまだ幼い子のいる家庭、独身の人、それぞれに仕事時間をもっと自由にしてほしいという思いがあったようだ。残業時間の制限、早出遅出、それに有給休暇の時間単位取得などがテーマになり、結果、就業規則の改訂につなげた。見事な発言力だった。

コロナ禍の下、在宅勤務日の増をテーマにとりあげた。目標はオール在宅。ハードルが高かったのが、営業部門のデリバリーチームだった。コロナ禍でも、もちろん注文は入るし、それを発注しなければ仕事は回らない。FAXが主だった。受注も発注も、だれかが会社にいないとデリバリーは出来ない。でも、会社には出たくないのが彼女らの本音だった。

大手企業は専用の受発注システムがあり、それにのれば「紙」は要らない。でも大半はFAXだった。「紙」がなくなれば在宅勤務が出来る。解は見えていた。FAX機を入れ替えてpdf処理できるようにしろ、得意先にWEB受発注を了解してもらえ。その要求は正道だった。結果、受発注の締め日を除いて、全員の在宅が可能になった。

女性活躍プロジェクトは成果がでた。が、まだ彼女らは管理職に就いていない。

ベテランの女性に聞いてみた。

「管理職はどう?」
「とんでもない。今の仕事をやりやすくして、環境も改善できればそれで十分」
「もっとやれるんじゃないの?」
「チームをまとめるとか、責任が増えるとか、私はごめんです」

待ちましょう。他の人でもその気のある人を。それが、結論です