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ニュースで話題の裁判追いかけたら「狼藉」って言葉を使いたくなった話(航空法違反、威力業務妨害など) 傍聴小景 #29-⑥

当記事は、以下の傍聴記事の続きの傍聴記となりますので、内容のご理解のためにまずお読みいただけると幸いです。

長文で大変ですが、ほらっ、読書の秋っていうじゃないですか!裁判の記事を読んでみて、感想を形にする読書感想文なんてのも久々に乙なもんじゃないですか?

↓暴力を受けたとされるCAさんの証人尋問

↓その他のCAさんや航空会社の関係者の証人尋問

↓被告人質問(弁護側)、被告人の奥さん、父親の証人尋問

↓被告人質問(弁護側)

↓被告人質問(検察側)



さて、今回は、これまでに採用された証拠をもとにした、
検察官による「論告」弁護人による「最終弁論」、そして被告人による「最終陳述」が行われました。


これは、長らく続いた質問形式でなく、書面に意見をまとめて主張するものになります。これが大変なんですよ、聞き取るのが。

・会話だったら詰まるポイントなどでメモが追い付くが、それがない
・関係者は意見を書面で持っているので、進行上は早口でも問題ない
・時折、聞き慣れない用語や、漢字に詰まったりすると「オワタ(^○^)」という気分になる

などの理由から今までよりも再現度低めでご了承いただけたらと思います。

あと単純に、僕が普段そんな大きな裁判を見ていないので、ここまでガッツリした論告や弁論を聞いたのが初めてだったのもありますかね。大きくないのだと、双方5分もしなかったりするんで。


という訳で、いきなり不安を見せちゃっていますが、頑張ってメモしました。目指せ、一番詳細な情報発信!

そんな訳で今回もお手数ですが以下の点をご留意の上、お読みいただけると幸いです。


お読みいただくにあたって
【ここ非常に大事】
今回は双方の意見陳述の回です。今回だけで意見を固めるのでなく、過去の回など総合的に考慮してください。
・某有名事件を取り扱いますが、今までを踏襲し名前は出さず「被告人」と表現します
・完全再現は当然無理なので、紹介する内容は頭で要約や脳内補完している部分もあるのはご了承ください。
・裁判所外、SNSで被告人はこう言ってたけど、みたいなのは考慮しません。あくまで裁判内での話をします ←ここもメチャ大事


第11回公判概要

日 程:10月26日 10:05~12:13
罪 名:威力業務妨害
    傷害
    航空法違反
    公務執行妨害
    器物損壊
被告人:30代男性
傍聴席:26人(裁判官入廷時)
    終了時でも8割くらい?

前回同様、開廷前にマスコミによる撮影がありました。あれって特定のテレビ局が持ち回りで撮影して、他局に流したりするのかな?撮影自体は1社分しかないけど、いろんな報道番組できっと使われるんだろうし。

全然社会的に注目されていない公判を、「すみません、「傍聴小景」と申しますが、撮影の申請をしたいんですが」と言ったら、何秒で電話をガチャ切りされるのか気になるところです。


撮影も終わり、被告人入廷。今日はグレーのスーツをビシッと決めてきました。

何故だか開始時間から5分くらい来なかったので軽くざわついのですが、特に説明はなく関係者は微動だにしてなかったです。動じない精神は大事ですが、裁判長から何か一言説明があってもよかったのでは?


では、早速検察官からの意見でスタートです。


検察官による論告1/2 ~「要するに」信用ならないっす~

(長文にわたるため、争いのない部分や個々の細かい部分の読み上げなどはしない点が説明される)

事実関係は当公判廷で証明した事実で証明十分と考える。しかし、被告人は無罪と主張しており、弁護人もそのように主張している。なので事件ごとに検証する。

【ピーチ事件について】
●B(CAのチーフパーサー)の証言が信用できる
①虚偽の証言を行う動機はない
・CAとして安全な運行を心がけるものとして可能な限り客と良好な関係を保つことに従事する者である

②客観的な証拠が揃っている
〇傷害の診断書として加療2週間の捻挫と出ている
・診断書に不自然な点はない
・弁護人は直後に痛みを訴えていない点を主張するかもしれないが、医師も時間が経って痛みが出ることがある旨を証言している
〇マスク不着用が降機の原因ではない
・動画でも確認できる「マスク着用をしていただかないと」という旨は、それをしないと飛ばないという意味ではない。現に離陸をしたのであるから、マスク未着用が降機の理由ではない
〇アームレストは稼動する
・(なにかしらの)調書でアームレストが動かないという記載があり、それがBの証言と食い違うと主張するかもしれないが、その捜査にはCAが同席していない。どれも動くことはP(Bの次に証言したCA)により証言されている
〇他の客が「強制で降ろしたら」などと発言している反応と合致している行動である

③他の証言と合致している相互に補完している
・Pの証言と概ね符合している
・UC(オペレーションセンター)とも概ね符合している
・「叩く行為があった」という表現はあるが、手に対して払いのけたか、別の行動とするのが妥当。CAたちの報告書の中にはシートポケットに入れる際に捻られたと記載がある
細部まで完全に合致していない部分があっても、それは示し合わせていない証拠であり、むしろ信用性を増す

④自然かつ合理的な説明で証言応対態度も誠実


なお被告人は、飛沫はスーパーコンピュータでないと目では見えないなどと意味不明な証言をしているが、飛沫とはしぶきのことで、恐らく被告人はエアロゾルと勘違いをしているのではないかと思われる。(的なことをチクリ)


●被告人の弁解は信用できない点
①マスク不着用を原因と降機の原因と主張している点
・CAに「指示に従わなければ降りてもらう」という言葉を「マスク着用」のことと思ったと言っているが、席移動のことは明らか
離陸したのは事実で、不着用が降機の原因なら離陸はありえない

②喘息などの疾患を主張している点
・その前に搭乗した飛行機ではタブレットで指し示したが今回は用いていないなど、用意しているものではなかった
・病院の診断書の既往症の欄に喘息の申告をしていない
・保釈時の誓約として、店舗にいる間はマスクを着用するとしている
・これらから喘息を理由としている証言は信用ならない

③安全阻害行為に該当していないと主張している点
要するに、自分は平穏に質問しただけなのに、不当に降機させられたと主張したいようだ
・可能な限り対立しないようするCAの職務から考え、被告人の主張はあまりに脈絡がない

④警告書を丸めていないと主張している点
・押収されたiPadないに、明らかにしわが寄った書面が残されている

⑤テーブルが出ていたとしている点

●降機の判断の妥当性として
〇命令書は適切に交付されている
・安全阻害行為に該当する行為が行われている
・大声で業務を妨害している
・CAも訓練しているし、CAの独断でなくUCも状況から判断している

〇命令書には必要なことが書かれている
・チェックしかされていなく行為欄に記載がないというが、そもそもガイドラインには記載欄がなく、もともと重要なものではない
・その場で直接理由を言われている

〇命令書の対象行為が読み上げられている
・業務ができないと伝えている
・Pも証言している

なんか今までの記事のまとめみたいで、書いてて楽しいです。以下、個人的に気になる点を。

まず、嘘をつく動機がないという点については、CAの職務としてみたいな感じで言っていましたが、正直どうかなと。
僕は別にCAさんなどが嘘をついているとは思いはしませんが、やはり人ならミスもしますし、コロナの対応で慣れないことばかりでマニュアルにないイレギュラーにも対応しきれていたかはわかりません。
嘘をついていると思う箇所があるものではないですが、無条件で全面的に使用すべきとも思えず、その他証拠の妥当性などによって判断すべきなのかなと思ったりもしました。

叩く行為があった云々については少しモヤモヤしていたところなので、まぁ少し納得したという印象です。でも、反訳書では「叩く行為があった」と強調されている感もあったので、完全にモヤは晴れてはいないです。

一番合点がいく点としては、マスク未着用だから降機したわけじゃないですという点ですかね。だったら離陸するわけないじゃんという。
根底にその問題があるのはわかりますが、「未着用で降ろされた」というような表現は誤解を生むよなと思います。
とは言え、この事件のことを他者に説明するときは「未着用で降ろされた人」っていうと気付いてもらいやすいので、痛し痒しな部分かなと思います。

あと、私も前回の記事で触れましたが、飛沫とスパコンのことについて検察さんが触れたのは少し面白かったです。正直、この意見自体はなくても問題なかったですが、こういうところに、ちょいちょい検察官の怒りというか、強く主張しきるという確固たる意思が見えてたように感じます。


【自宅捜索事件について】
●関係者の証言に信用性がある点について
①虚偽の証言を行う動機はない
②客観的な証拠が揃っている

・写真と整合性がある。詰め寄っている写真、メガネを持っている写真、iPadを振り上げている写真

③他の証言と合致している相互に補完している
④自然かつ合理的な説明で証言応対態度も誠実


●被告人の弁解は信用できない点
①メガネを掴んでいないなどと主張している点
②iPadで叩いていないと主張している点

・取られないようにしたと言っているが、それまで脇に抱えていたのを視界外にある上部に持っていってるのは合理的に説明できない

③令状が破れたのは自分が引っ張ったからではないと主張している点
④倒されたときメガネを掴んだと主張している点
⑤新しいiPadの押収が違法と主張している点

・事件後に買ったものでも、電子データを移行することはできる
・久保田(仮名)にそう伝えているし、実際にピーチ事件のことを記載するメモが残っていた


【館山食堂事件について】
●証言に信用性がある点
①虚偽の証言を行う動機はない

・初めて来た客である被告人に不利益な証言をする理由がない

②客観的な証拠が揃っている
・マスクを投げるなど粗暴な行動をしていることから十分推認できる
・「暴れるんじゃねぇよ」という音声が残っている

③他の証言と合致している相互に補完している
④自然かつ合理的な説明で証言応対態度も誠実

・被告人に有利とも捉えられるような証言もちゃんと言っている
・店主の位置からは見えないというが、屈めば見れる

⑤証言に変遷はない
・A(食堂の対応従業員)については調書で転倒したことについて「恐くて腰が抜けた」、「足を踏まれた」などと変遷していると弁護側は主張すると想定
・しかしA自身、踏まれたことは故意ではないと思うと証言している通り、重要性の高い事象と思っていなかった

●被告人の弁解は信用できない点
要するに被告人は、客として平穏に天丼を注文したのにいきなり、他の客に一方的な暴力を奮われたと主張したいようだが、そのような行動は脈絡がなく到底信用できない。

【館山公務執行妨害事件について】
●証言に信用性がある点
①虚偽の証言を行う動機はない
②客観的な証拠が揃っている

・館山食堂に戻ろうとしている
・「お前が違法捜査だ」などという音声が残っている

③他の証言と合致している相互に補完している
④自然かつ合理的な説明で証言応対態度も誠実


●被告人の弁解は信用できない点
①事実経過が不自然な主張をしている点

要するに、自分は冷静に話をするだけのつもりで、ちょっと距離を置きましょうと右手を上げたら制圧されたというが、あまりにも唐突なことで

②骨折していて手を握れないなどとしていた点
・被告人が主張する肋骨の骨折は疑いであり客観的証拠に基づいていない
・動画上、大声を出しているのが確認できる

③駐車場を出て食堂には向かっていないと言っている点
・パトカーとは逆の方向にと言っているが、位置関係的にどっちへ行こうと反対なので駅とは反対側の南(食堂側)へ行ったのは不合理

【総括して】
これら不自然な弁解や事実確認などに際し、
公判廷で被告人は「お答えいたしません」「主尋問で答えた通りです」など、まともに証言する気がなかった。これは、自身の主張を整合的に言えない、変遷しているのを指摘されるのを恐れてのことで、信用できるものでない。


一気にがーっと書いちゃいましたけど、皆さんついてきてますかー?僕一人で、誰も見てないのに長文垂れ流しているなんて嫌ですからね。

館山食堂周辺地図 Googleマップより

まずは、こちらの画像で文字地獄から一時脱出してもらいましょう。

最後の検察官の主張の、位置的にどっちに行ってもというやつですね。
これに関しては僕ルールのSNS云々と関係ない、証拠にもなっている動画からなのでYouTubeにあったものと、実際に私が行ったものから推察します。

動画で見ると、「P」の位置にパトカーが停まっています。駐車場の出口はこの駐車場の左に一ヶ所でブロック塀などに囲われているため、出てしまえばどこへ進んでもパトカーから離れるとは言えますが、駅方向がパトカーのある方向と言えなくもないかなと。だから南が逆というのはまぁそうかなという感じです。
あと、これは多分ですが、交番などは駅の方でしょうし、離れたかったという被告人の証言には一定の合理性があるように感じました。

あと、詳細にはきっと書面には書いてあるのでしょうけど、総括としてまとめられているのが、「自分で何もまともに答える気ねぇんだもん」という感じにまとめられていて、長々と説明したまとめとして、なかなかに面白かったです。


さて、ここまでで開始から35分程度の出来事です。

えー、2時間の公判だから、まだ1/3も終わってないのかよと思うかもしれませんが、そういうわけでもないのでご安心を。


検察官による論告2/2 ~航空法らの求刑が関心の的~

事件の無罪主張に対する意見を述べてきましたが、ここから被告人の情状関係について主張していきます。

【今回の本質】
・自己が気に入らないことは認めない、特異な34歳(当時)
・そのためには他者を落とす発言もする
我欲を押し通し、乱暴狼藉に及んでおり極めて悪質である

【ピーチ事件について】
・客という立場を悪用した独自の主張を繰り返し自己中心的犯行
・長時間詰め寄る行為は粗暴で悪質
・極めて高度な安全が求められる中、搭乗していたCAの3/4が対応を余儀なくされ、著しく業務を妨害されている
・Bは傷害による身体的苦痛、1年間航空機に乗れなくなるという精神的苦痛も味わっており、被告人はなんら慰謝を講じていない
・ピーチ社としても人件費や燃料費の金銭的損害を受けている
・被告人のSNSから誹謗中傷などを受けている

【自宅捜索事件について】
・公務執行妨害にあたると再三の忠告を受けている
・メガネをとる、マスクをとる、カップラーメンを顔に押し付けるなど多数の暴行を行っている

【館山食堂事件について】
店のルールに従わないことで退店を求められることに激高するなど自己中心的な動機
・店舗は2週間の営業停止を余儀なくされた
・被害者は刑務所に入って欲しいと強く願っている

【館山公務執行妨害事件について】
・食堂に行こうとしたのを制止しようとした警察を振り切ろうとしている
・対応した警官も暴行行為に憤っている

【共通事項として】
・規範意識が欠如しており、反省の態度は皆無である
館山食堂の件はピーチ事件で起訴された後に、問われていることと同様の対応をしておりその反省の態度の無さが伺われる
Twitterで誹謗を行っており、謝罪どころか落としている
・この法廷で、自身や家族が誹謗されていると言っているが、過度な誹謗は当然許容されるべきでないが、そもそもが自身の行動によって引き起こされたものであり、罪を決めるにあたり軽減されるものでない

「お前らクズだ」など人を見下す態度が顕著、独善的で自分が正しいと思っている
・被害弁償、慰謝は講じられておらず、その見込もない
・原因は被害者側にある旨の証言をしたり、保釈遵守事項を守らないなど適切な監督者もいない
自己で誤った風潮を正すと認識しており、再犯は必至。社会の善良な市民がまた被害にあう可能性が恐れがある

僕が大きな裁判を見ていないからですかねぇ、「再犯は必至」なんて言葉初めて聞きました。多くは「再犯の可能性が非常に高いと言わざるをえない」くらいのものですよ。

ただ、検察官の主張をそのまま信じるとなると、そこまで言い切るのもわからなくもないかなと個人的には思います。


後でも書きますが、僕自身、彼の発言や主張が全然分からない訳ではないんです。「確かに」と気付かされたものも正直あります。

でも、やはり検察が言うところの独善的態度というのが、わかるという気持ちを大きく上回っちゃうんですよね。思いやり、理解を求める人ほど、自分が他者に対してその気持ちを有せず、理屈で丸め込もうとするというか。


ちょっと検察寄りの意見が多くなったので、少し自分でポジションを見直しますが。
じゃあ、絶対有罪かと言うと、100%誰がどう見ても間違いないでしょというほどのものではないかなとは感じています。
4件それぞれが別個のものであったら、もっと議論の余地はあったのかなと思っていますが、さすがに連続したのはちょっと言い訳が難しいかなとも思いますが。


【実刑の必要性について】
(いろいろと法律的な用語を交えて、執行猶予が付されるべき事案、期待される効果などを言っていましたが、完全に僕のボキャブラリーを限界突破してたので割愛。そういった旨の話をしていたとだけ)

・ピーチ社として模倣犯が出ることを危惧しており、実際にそれに近いものは出ている。判決次第で社会に与える影響は大きい。
・マスク着用が争点でないのに独自の主張、我欲を押し通そうとしている
・公務執行妨害など正当な業務を妨害する意識も顕著

・反省の態度など到底期待できない
・36歳という年齢でも他者に横柄で、我欲を貫こうとしており、保護観察処分なども守れると思えないため、矯正施設にて徹底的に矯正教育を施すべき

・有害でしかなく、考慮できる事情は前科がないことくらいである

【求刑】
求刑 懲役四年

最後の求刑では軽くざわつきましたね。マスコミの記者などもそれで一斉に法廷の外に出たりしました。

それで思い出しましたけど、あの法廷建付けが悪いのか、人が出入りする度に相当うるさいんですよね。大きい裁判をする法廷なんだから、そこはどうにかして欲しい。


話を戻しますが、懲役四年が驚かれた理由として

・航空法違反というキャッチーなものだけど判例が少ないため、どんな求刑になるか想像もついていなかった(僕は二年六月くらいなのかなと思ってた)
執行猶予が付されるのは懲役三年以下に限られるので、実刑を強く望んでいる姿勢が伺われる点

これらが言えるかなと。

確かに執行猶予って、無罪同様と感じている人もいますけどある程度の反省の姿勢や、次なる対策を練って社会内での更生が期待されるから猶予するものです。

裁判官がどういう意見を採用するかですが、少なくとも検察官が「反省していません、再犯は必至です」と主張している以上、なにかしらその意見に反した考えを述べられないと「初犯だから」の一言で執行猶予にするのには、ちと弱くないかと思ってしまいます。

うーん、検察官頑張りました。

ちなみに被告人は、いつも通り、椅子にふんぞり返って、ニヤニヤしながら聞いていました。


さて、ここで時間は11時ちょうど。ここから弁護人による最終弁論です。

検察官は自席で立ち上がって、論告が書かれた紙を持って主張を続けたのですが、弁護人はおもむろに証言台の方まで歩いていき、裁判官と正対して語りかけるように話し始めました。関係者にはパワポで作った資料が表示され、弁護士先生は弁論用紙は手に持たず机に置いてたので、ポイントだけを抑えるような感じで話を始めました。


弁護人による最終弁論 ~異質な存在を排除していないか~

まず、
・ピーチ事件においてテーブルは出ていた。これは被告人の証言が合理的。それではシートポケットに命令書を入れるのは不可能
・自宅捜索事件についても、iPadを取られないようにしているに、そのような写真で突然制圧をされた
・館山食堂の件も言葉で抗議しているのは明らか。なのにいきなり暴行を受けた
・館山公務執行妨害は、被害者警官は被告人の暴行の瞬間など見えるはずがない
↑上記、いずれも共通しているのは、「マスクをしていない」「異質な存在に対する(メモ不明瞭)」ことが根底にある。

【ピーチ事件について】
・マスクの着用拒否をきっかけとして、被告人はいろいろと質問をしていただけに過ぎない。千歳で降ろされるかもと聞いてさらに質問が重なる結果となった
・質問書を作成しているというのは平穏な状況の表れ
・命令書には具体的なことが書かれていない
機長はキャビンの状況が正しく把握できていたとは言えない。通信にあるような「狂ったように叫んでいる」なんてBも証言で言っておらず、状況に即していない。緊急着陸はCAも驚いたという証言がある

【Bの証言の信用性について】
・質問書作成のためテーブルが出ていたので掴むことができない
・命令書は読み上げるだけでなく、執行するなんて(やや不明瞭)火に油を注ぐような行為は不自然。シートポケットは乗客の私物を入れるところで、そんなところにいきなり入れるというのも不自然

・乗客は「掴んだのを見た」と言っているが、Pは「叩いたり、はたく行為があった」と言い、Bも掴んだことでなく「叩く行為がありました」と重ねている
・新潟空港での警察の聞き取りに掴まれたと一言も言っていない(この点は検察も何か言っていましたが、ページの切り替わりでメモできず)

・離陸前のアームレストを上げたときに掴まれたというが、シートポケット同様で勝手に上げるなんて考えられない。通路側で特別なことをする必要があった場面か不可解。また、腕を掴む行為があったのなら、もっと問題になるはず

・業務ができないというが、後方ギャレーに2回、前方ギャレーに計3回行っただけで、1回あたりも長いとは思えない。質問することは阻害行為ではない。ギャレーに来るように言われたから行ったまで
被告人が理論的に言っていることに回答に窮したので妨害されたと言った
・動画で明らかに「マスクをつけてくれたら出発する」旨を言っており、都合よく変遷させている

・取調べの現場の再現はピーチの機内でPなどと行っているので、そこで証言の元となる情報の補完がなされている
・マスコミにも大きく取り上げられ、自分たちの被害を大きく見せようとしているのが動機

【診断書の信用性について】
・検査もしていない
・Bの説明がそのまま書かれているに過ぎない

【安全阻害行為について】
・声量は確かに大きかったかもしれないが、声量だけでは威力でない
・質問書を作成していただけなのに命令書を執行された
・安全阻害行為のマニュアルだと、CAの職務を妨げるとは、触るなどや一時的なものでは当てはまらないとされている

以上、繰り返しの質問に窮し、機長の認識不足と不備の命令書によって起きた事件である。

検察官が総括的に被告人の性格的特徴などから情状部分を伝えたのに対し、、弁護人が冒頭に全体に共通する事項としてまとめてから話に入ったのが対抗しているみたいで印象的でした。

先ほども少し触れましたが、Bなどに動機がないという点ですが、僕はBやPが嘘をついているとは思いませんが、弁護人の主張する被害を大きく見せようとしているという主張には納得しました

これは仮にの想像の話ですが、自分たちが思った以上に事が大きくなってしまい、引っ込みつかなくなってしまったというのは決して無理筋な意見ではないと思うからです。

ただ、個人的にはCAというのは相当訓練を積んでいる印象があるので、被告人ほど弁が立つとは思えませんが、各種トラブルにもある程度対応できるであろう中、今回のような事件に発展したのは弁護人が暗に主張したそうな、Bなどが未熟だったというのは職業柄信じにくいと思ってはいます。でも、これはかなり個人の心情的な部分なので、弁護人の主張もよくわかります。


あと、机が出ていた問題ですけど、これも質問書を書いていたのだからテーブル出てるはずという主張は納得できます。

ただ、こればかりは機内の情報がないので、シートポケットに本当に入れられないのか、またシートポケットに入れたという事実がどこまで重要視されるべきなのかの判断がなんともつかないという思いもあります。


あとは叩いたのか捻ったのか問題ね。
検察官の方でも少し触れてたけど、これ証人尋問で触れてないと思うんよな。結局、叩かれたのか、捻られたのか、それとも叩かれもして捻られもしたのか、それとも叩かれも捻られもしてスパコンでなくても見える飛沫を飛ばされたのか、そのどれでもないのか。これは双方言ってることはわかるし、でもどっちも決定的でないなぁという印象です。

【自宅捜索事件について】
・iPadをあげている写真だが、叩こうとしていると写真をもとにみんなで言ってるに過ぎない。そのように意思統一をした
・写真が中断されており、制圧などの場面も、足を踏んだのも、肩の殴打もない。メガネを取った写真はあるが。
・そもそもiPadの押収を免れようとしているのに、それで殴るはずがない
・殴られたというが検査もしておらず大げさになっている
・メガネが壊れたというが原因は明らかでない
・公務そのものも問題で、大学のチューターを行う時間を狙っている行為

【館山食堂事件について】
・前屈みになっているのは、奥襟を掴まれ引きずり倒されそうになっている
・胸倉を掴まれている。ただ、一方的に暴行を受けている中、被告人は人差し指を立てている。これは言葉で抗議をしようとしている

・Aはマスクを突き出しているのは、被告人が暴力的な人でないとわかっているから
・被告人が詰め寄ったことで尻もちをついたというのはありえず、腰が抜けた、故意ではないのは分かっているなど証言が変遷している
・店内に入ってきてすぐマスクを指摘したというが、店の混雑度からありえない
・ビールサーバーについて(聞き取り不明瞭)

被告人を排除しようとした客の暴行事件である

【館山公務執行妨害事件について】
・暴行を受けたとされる警察官と被告人の身長から、警察官からは見上げる形になるので手の動きが見えるはずがない(詳細不明)
・暴行と早合点しての取り押さえ
・8分も正論を言い続けた。答えに窮した。当たった気がしたに過ぎない

【最後に】
マスク不着用の社会全体の不理解と少数者の排除によっておきた
・共通するのは被告人に対する偏見と強い敵対心
・根底に異質な存在への偏見
・問われているのは、排除が許されることだったのか
そういった背景も踏まえて裁判所には判断をお願いしたい。
被告人は無罪である。

これは僕の責任ですけど、館山事件や自宅捜索事件など証人の尋問を傍聴できていないので、弁護側の言う不合理性というのが、ちょっと僕の情報量だけじゃ足りないんですよね。


でも、偏見による排除傾向という趣旨はわかる

ただ、それにしてもみんな関係者が暴力的過ぎるんだよなぁ。これらを全部、被告人は被害者であるというのはキツいがする。

逆に、そういう観点で検察側の主張を見ると、やはり一定、被告人に対する歩み寄りできる点は見出せたのではないかと思わなくもない。ただ、実際の現場で被害者たちの対応はわからないけど、少なくとも被告人が歩み寄りを見せていないのはマイナスだと思うんだよなぁ。


僕は一連の記事で弁護人は頑張っていると思っている立場でいるんだけど、最後の弁論に関しても決して多くはないカードを使って、しっかり見せるところまでは出来たと思う。

滔々と語りかけるような弁護人の弁論は、無罪主張の場合は有効なのかな。

弁護士先生、お疲れ様でした。


そんな弁護人の仕事も見せられたところで、最後に被告人の最終陳述です。

時間は11時45分。閉廷したのは12時13分だったので、まぁその間ずっと喋っておられましたよ。

それではお聞きください。


被告人による最終陳述 ~やっぱりマスクの話~

ゆっくりと証言台に向かって歩く被告人。手には原稿と、もはやお馴染みになった水。
そういや論告だか、弁論だかで勢いよく咳込むシーンはあったけど、最終陳述では水も飲まんと詰まらずに、よぉ喋ったななんて思ったり。

以下、何か事実関係の主張でなく、冒頭の例のように演説のメモみたいな感じなので不確かな箇所多数であることを前提にお読みください。


この絵を裁判官や傍聴席などに見せながらスタート

ここに一枚の絵がある。ルビンの壺といいます。何が描かれているでしょうか。
壺と言われたら壺に見えるし、二人の人が見つめ合う姿と言われたらそう見える。人間は先入観を持てば、固定観念に縛られることが今回露呈した。

マスクをしていないだけで、非常識で、公衆衛生で問題があるようにいわれる。
むしろ偏見のまなざし、同調圧力など様々な軋轢の方が問題でないか。

本件は無罪明白である。
なぜ日本社会で軋轢があるのか、社会に生きる、学究の徒として考える。

まず、いつ、どのようにマスク社会が始まったのかを考える。
未知のウイルスでドラッグストアに人が群がった。感染者に非難が集まった。ただ、他人の責任は回り回って自分自身の首を絞める
自分もかかるのでは、誰かの近くにいるといけないのではと思うと排他的になる。
マスクが、他人にうつさない、思いやりのツールになった。

ワクチンは打っているかは一目でわからないが、マスクは1枚で視認性がある。
その人が本当に危険を生じさせるかわからないのに、烙印を押す。
多様性を認めないという危うい道に進んでいるということを投げかけたい。

マスクの合理的な着用とはどういうものか
アメリカの裁判で、一定の効果はあるが、全ての人に強制するまでのものではないとされている。
また個々人の体質などにもよる。日焼け止めのUV60%カットのものがあるとして、それで十分かは人による。
なのに、マスクはなぜ科学的根拠をもとに話がされないのか。
他者の配慮について、個々の義務と拡大解釈している。

タバコやシートベルトなどは長期にわたって検証されてきたのに、マスクは短期的な心情的なものだ。
法的コミュニティは提示しただろうか。
社内の目標は重要でも、その持ち場を間違えると大変なことになる。
法律の持ち場は何か。人権保障だ。

人の健康など、選択する自由を有する。
できないからって、アクセスできないのは自由の損害。
交通はコミュニティを支えるもの。航空は最たるもので、乗客の権利を守るもの。

今回のCAは恣意的な判断で由々しきものだ。
機長はなぜ出てこなかったのか。衆目の前で、全てを説明すべきだったのではないでしょうか。
(俺:お前は「話しません」ばかりでよく言うよ)
飛行機の安全をおびやかしたのはピーチ側です。

CAも経験が少ない人たちで構成され、意思疎通ができていたのか。
確たるものがないのにマスクをしていないだけで過剰な反応。
飛行機は3分間で空気循環される。
具体的な危険もないのに、ふわっとした感情だけで排除する。
危なそうだからというのは司法でありえない。マスクも同じ。

事実を歪めて面白おかしく報道された。
証拠から明らか。

マスクは法的義務でなく推奨。
主体性を奪うものだ。機械の規格のような人間を作る。

私は無罪です。そして無実です。
マスク着用に応じないことを誇りに思っています。私がしたのは小さなですが、大切な一歩です。遠くない未来にそう評価されるでしょう。
正しく無罪判決を賜りたく存じます。

…………

…………

…………

…………

…………

お前、ほんとマスク好きだな!

僕のこのまとめも酷いですが、裁判長もこんだけ長い話が終わったあと

「はい、では次回、判決の言い渡しを行います。
 12月14日の10時からと定めます。
 被告人は必ず出廷するように。
 それでは閉廷します。」

と、さっさと締めたのがツボでした。


僕の意見は論告、弁論に対してちょこまか言ったのがほとんどです。

途中にも書きましたが、一連のこの裁判で僕自身、被告人に気付かされるというか考えさせられることなどはありました。
ただ、その一方でその考えの浸透が強引であったため、これが有罪となった場合、ノーマスクについての世間評価は一歩後退するという結果になるのではないでしょうか。

今回の事件のきっかけはコロナが一つ大きな要因ではあると思いますが、人間関係どういうきっかけでその人個人や、個々人間での価値観の相違が生まれるかなんてわかりません。

やはり人として、想定できるいろんな状況を踏まえて行動できる広い視野と、想定外のことが起きたときに、協調し、協働し合える前向きな社会づくりができるといいですね。


判決の日って、人いっぱい集まるのなかぁ。
ここまで追った以上、傍聴券になって外れるとか嫌だなぁ…。


長文を読んでもらったのに、さらに最後に、いつものお願いです。

今回の記事が面白かった、参考になったと思っていただける方は、私にチョコ代を奢ってもらえないでしょうか
なぜにチョコ代?とお思いでしょうが、裁判のメモや書き出しって、すごく入り込むんで終わった瞬間、身体が糖分を欲しがりまくるんですよね。


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もちろん、この有料は全く強制するつもりもございませんので、ホント有志の方だけで結構です。


毎度のことですが、当記事の全責任は私に帰属いたします。

大人の人生交差点クラブ 普通



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