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違法販売者に学ぶ、日本のアニメはなぜ優れているのか(著作権法違反) 傍聴小景#37

会社員時代、著作権にちょっぴり関わる仕事をしていた私。専門にしてたとかでなく、コロナの関係で新たなサービスを展開するにあたり、学ばざるを得ないことに。
関わってみて思うのが、結構曖昧なことが多い
もちろん、法律があるので絶対にダメなラインはあるんだけど、大手でも意外と重要視というか社内ルールもしっかりしてないところがあり、「それくらい、いいんとちゃいますの?」と言われることも。でも、後々もめ事になったりするのも嫌なので、こっちから確認事項定めたりと大変だったなぁと思いだしたり。

はじめに

罪名 :著作権法違反
被告人:30代の中国人男性
傍聴席:平均6人(3回)

裁判って珍しい罪名だったりすると、比較的傍聴席が埋まりがちなんですが、この事件は平均して6人と、ぼちぼちといった感じ。個人的に著作権法違反って言葉を聞いたら興味引かれる思ったんだけど、難しいと思ったのでしょうか。
性的なものだと、10人は軽く超えることが多いので、裁判傍聴は趣味が悪いと言われるのも分からなくもないという感じです。

事件の概要(起訴状の要約)

・氏名不詳者と共謀し、著作権者から許諾を受けていない、違法にコピーした「鬼滅の刃」のDVDの11枚セットをネットオークションにて販売し、個人宅に発送した
・同じく氏名不詳者と共謀のうえ、被告人宅にて著作権者から許諾を受けていない「鬼滅の刃」などのDVD230枚を販売目的の疑いで所持していた

ついに法廷にも「鬼滅の刃」の流れが押し寄せてきたという感じです。
やはりコロナで家にいることが増えて、こういう犯罪も増えたりしたのでしょうか。裁判自体は今年のものですが、事件自体は令和2年から令和3年末の話なので、長期間に渡って行われていたようです。

検察官が提示した証拠類

・被告人は中国で生まれたが、平成26年に日本にやってきて、日本の大学を卒業した
・共犯者から依頼を受け、自身のパソコンに「TeamViewer」というソフトを入れ、共謀者が遠隔でも利用できるようにした
・ヤフオクにて販売し、その売り上げを共犯者に支払った。ヤフーアカウント、銀行口座もその共犯者に指示され作った

・被告人宅には、透明のDVDケース、パッケージ用紙、包装用機械、バーコードのシールなどがあった
・発送前のDVDとして、「鬼滅の刃」「きかんしゃトーマス」「セーラームーン」などがあった
・共犯者のやりとりはコミュニケーションツール「Wechat」で行われており、パッケージをDVDに詰める動画や警察対策のやり取りなどが残されていた

・取調べに対し被告人は、そのような可能性はあるかもと思っていたが、はっきり認識していたわけではないと答えている

傍聴をしていると、犯罪によく使われるソフトウェアの名前に出くわしたりします。Wechatなんてのはよく出るんですが、この記事を書くまでゲーム機の「wii」にチャット機能でもあって、それでやり取りしているのかと思っていました。
「TeamVieweer」というのはよく知りませんが、過去にパソコンが壊れたときにメーカーに電話したら、電話しながら遠隔で私のPCを操作されたことがあるので、それと同じものなのかもしれません。デスクトップ画面ががっつりアニメ画だったので恥ずかしかったのを今でも覚えています。

被告人は、著作権侵害について、明確にそのように認識していたわけではないと言っているようですが、少なくとも家ではガッツリと送る準備はしていたようなので、かなり職業的な犯行と思われても、やや仕方ない気がしています。

それにしても扱ってたのは、「鬼滅の刃」だけでなく、「きかんしゃトーマス」に「セーラームーン」と非常に多岐。「きかんしゃトーマス」はきっと今でもテレビ放送とかしているんでしょうから(知りませんが)わかりますが、「セーラームーン」にも今でも需要ってあるんですね。30年前の人に、30年後でも人気あり続けてるよと言っても信じてもらえないだろうな。
「ドラえもん」にしても「サザエさん」にしても今でも一線ですし、「ドラゴンボール」もそこそこ残ってるし、長生きしている作品はホントすごいですね。逆に「鬼滅の刃」が何十年後に残ってるかはわからないですからね。


では、細かいところは被告人に話を聞いてみます。
どういう風に指示を受けていたのか、本当に違法だと知らなかったのかが争点となりそうです。

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