2月17日㈯

・ホテルの部屋に人間がいた痕跡を消す仕事。
 Hさん(♂)(美人のHさんとはまた別のHさん)と初めてちゃんと喋る。
 Hさん(♂)は大学生で、1年浪人している。
 コロナ禍があったのもあり、大学の友達はほぼいなくて、高校の時の友達5~6人とだけ今も繋がっているらしい。
 先日はその高校の友達5~6人と焼肉行って、居酒屋行って、ラウンドワンに行ったらしい。
 ちなみにHさん(♂)はお酒が飲めないらしい。この職場は、アル中寸前くらいお酒を飲む人か全くお酒飲めない人かの二種類しかいない。

 ちなみに僕が働いているこのホテルは、朝礼後に一度ロビーに清掃員が全員並んで
「おはようございます。これから清掃に入らせていただきます」
と全員で合唱してから清掃する決まりになっている。
 お客さんがロビーに誰もいなければしなくてもいい気がするが、お客さんが0人でもこの合唱はすることになっている。お客さんがいたらいたで必ずギョッとされるし、ギョッとしなければしないで拍手とかして冷やかしてくるお客さんもいるし、常連さんで慣れてる人はあたかも何も起きてないかのように完全スルーするし、と、合唱する側もされる側も誰も幸せにならない決まりなのだが、必ずやる決まりになっている。

 で、ロビーに一列に並ぶとき、道路に面しているガラス窓から、歩道橋の下で煙草を吸っているおじさんがちょうど見える。
 ほぼ毎朝来ていて、渋いトレンチコートを着て歩道橋の柱に寄っかかって煙草を吸っている70代くらいのおじさん。
 トレンチおじさんはほぼ毎日いるのだが、日によって別のおじさんもそこで煙草を吸っていて、毎朝朝礼の際に窓から見えるおじさんの人数によってその日の運勢がわかる。

 その「ニコチンおじさん占い」を今日はせっかくなのでHさん(♂)にも教えてあげた。
「あ、今日はおじさんが3人いるので星3ですよ!これはレアですよ!今日は相当良いことが起こりますね!」
と言うと、
「あ、そうなんすか、」
と軽く受け流された。


仕事終わり、事務所に戻るとHさん(♂)(還暦)てかこの職場「Hさん」が多いな、どう区別しよう、とりあえず還暦Hさん、還Hさん、スキンヘッド還暦Hさん、スキンHさん、のがいいかな、桂枝雀師匠にどことなく似ているから、枝雀さんにしようかな、

桂枝雀さんが事務所にいて、お客さんが忘れていったまま半年以上引き取りに来なかった全長1mくらいあるスヌーピーのぬいぐるみと、オリンピックの時にロビーに置いておいたけどもそれっきり二度と使われることがなかったガチャガチャの機械くらい巨大な「シリアルをちょうど一食分の量だけ出す、だけマシン」を、「せっかくだから」と持ち帰っていた。

両方ともインテリアにするらしい。スヌーピーはソファに座らせておくとのこと。巨大スヌーピーの隣にちょこんと座る桂枝雀さんを想像し、ほっこりする。


修理のKさん(60~70代のゴリゴリのおじいちゃん)が、最近心臓の手術で入院し、今は障碍者手帳を貰ったからどこでも車を停めることができるんだという話と、手術して胸のあたりに埋め込まれたワイヤーの部分が最近皮膚に浮き出てきてるから絶対ヤブ医者だ手術ミスしやがったって話と、手術の際にお医者さんが右腕からカテーテルを入れようとしてきて「なんで左腕から入れないんだ、心臓は左にあるんだから左腕から入れた方が近いだろ、結婚指輪も心臓に近いから左手の薬指につけるんだろ、どうしてわざわざ右腕から遠回りして入れるんだ」と言ったら「あ、静かにしててくださいね」と主治医に軽く流されたって話と、そもそも手術の時に全身麻酔じゃなかったからずっと意識ある状態でペースメーカー入れられたっていう話、という怒涛のペースメーカー漫談を聞かせてくれた。


・大学の先輩のRさんがPodcastを始めた。身内びいきもあるかもしれないが、めちゃくちゃ面白い。才能が開花している。

・私が大学の先輩のWさんと2人でやっているPodcast番組を、Aという番組のKさんとKさんが番組内で褒めてくださった。ありがたい。

・Mという番組に、我々と親交のあるMさんがゲスト出演した回を聴く。あとおぎやはぎのメガネびいきに宇多丸さんがゲスト出演した回も聴く。前田司郎さんのPodcastは今日に限らず毎朝聴いているから特筆することではない。

・なんか、そういえば人生でステーキを食べたことがあんまないな、と思い、時間もあったし、お金はないんだけども判断能力が鈍っていてあたかもあるかのように錯覚してしまい、フードコートにある武蔵ハンバーグのワイルドステーキ300gを食べる。美味しかった。半分の量でも良かった。

・大学の後輩のIくんが会社を辞めたらしい。どう考えてもブラック企業だったのになんやかや8年も務めていて、凄い。Iくんは一浪してるから学年としては後輩だけど、年齢的には同い年で、しかも誕生日が僕と1日違いなだけだから人体としてはほぼ同じ老化具合のはずだが、Iくんは結婚もしてちゃんと社会人やって退職したとはいえ8年間もちゃんと働いて、凄い。

まあ、誕生日1日違いとはいえ、僕の方がI君よりも24時間という圧倒的大差をつけて先に生まれてるってことだから、僕は永遠にI君の先輩である。

たった1日、なんてことはない。たかが1日、されど1日である。
例えば100m走で僕が10秒でゴールして、I君が次の日の夕方にゴールしたとして、「僅差」ってことになるだろうか。
早押しクイズで僕がボタンを押した翌日にIくんがボタンを押したとして、僕に回答権が渡ったときに「Iさんも答えがわかっていたようでしたが、早押しで競り勝ったのは往生際さんでした。いやーIさん、これは悔しいですねー」って中山秀征は言ってくれるだろうか。
一塁手の僕がボールをキャッチした翌日にIくんがファーストベースを踏んだ時、監督がビデオ判定のチャレンジを要求するだろうか。

そういうことである。

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