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自己愛性パーソナリティ障害(NPD)

最近のことだが、職場にこのような人がいることで、周りが長年苦労していた実態が分かった。私自身は異動があるため数年しか職場にいないが、長年このことで苦労している現場の人からようやく打ち明けられたのである。もちろん精神科医の診断は誰も受けていないのだが、全部の項目がどう見ても当てはまるとのこと。職場の調和のために真正面から向き合ってみたいと思った。

前回に引き続き、病名をつけて線引をすることは必ずしも良いことでもないと思いつつ、しかし、実際に問題をより明らかに浮かび上がらせるために敢えて定義しないと話しが進まない場合もある。さて今回はどうだろうか。

今回もMSDマニュアルのサイトから引用させていただく。
説明文はそのまま引用し、簡単にまとめたサマリをつけたい。

NPDの概要

自己愛性パーソナリティ障害
NPD:narcissistic personality disorder
(ナルシスティックなのだ)
まず概要は以下のようにまとめられている。

自己愛性パーソナリティ障害は誇大性,賞賛への欲求,および共感の欠如の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。
パーソナリティ障害の概要も参照のこと。)

自己愛性パーソナリティ障害患者は自尊心の調節に困難を有するため,賞賛および特別な人物または機関との関係を必要とする;優位性を維持するために,他者を低く評価する傾向もある。

自己愛性パーソナリティ障害の推定生涯有病率には大きな幅があるが,米国の一般集団では最大6.2%にも上る可能性があり,女性より男性に多い。

併存症がよくみられる。患者は 抑うつ障害(例,うつ病,持続性抑うつ障害), 神経性やせ症物質使用障害(特に コカイン),または他のパーソナリティ障害(演技性境界性妄想性)を有していることも多い。

NPDの病因

<小括>
端的にいうと、
生物学的な素因はまだ不明
いろいろ説はあるが理論止まりである

自己愛性パーソナリティ障害に寄与する生物学的因子に関する研究はほとんど行われていないが,発症に関わる有意な遺伝要素が存在すると考えられている。養育者が子供を適切に扱わなかった(例えば,過度に批判的であったり,過度に子供を賞賛,称揚,または甘やかしたりすることによる)可能性を仮定する理論もある。
特別な才能や能力をもっており,自己像および自己感覚を他者の賞賛や尊敬と結びつけるのに慣れている患者もいる。

NPDの症状と徴候

<小括>
自分を過大評価、他人を過小評価
ただ、自尊心を維持するために他者評価に依存(=脆弱)
自尊心が崩れる場合、攻撃的になったり回避的になる

自己愛性パーソナリティ障害患者は自分の能力を過大評価し,自分の業績を誇張する。自分が優れている,独特である,または特別であると考えている。患者の自分に関する価値および業績についての過大評価はしばしば他者に関する価値および業績の過小評価を含意する。
患者は大きな業績という空想―圧倒的な知能または美しさについて賞賛されること,名声および影響力をもつこと,または素晴らしい恋愛を経験すること―にとらわれている。普通の人とではなく,自分と同様に特別で才能のある人とのみ関わるべきであると考えている。このような並はずれた人々との付き合いは患者の自尊心を裏付け,高めるために利用される。
自己愛性パーソナリティ障害患者は賞賛を受ける必要があるため,患者の自尊心は他者からの肯定的評価に依存し,このため通常は非常に脆弱である。この障害を有する患者はしばしば他者が自分のことをどのように考えているかを注視しており,自分がどれだけうまくやっているかを評定している。他者による批判ならびに恥辱感および敗北感を味わわせる失敗に敏感であり,これらを気にしている。怒りまたは軽蔑をもって反応したり,悪意をもって反撃したりすることがある。または,自分のうぬぼれの感覚(誇大性)を守るために,引きこもったり,その状況を表向きは受け入れたりすることがある。失敗する可能性のある状況を避けることがある。

NPDの診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5]による)

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の診断を下すには患者に、
「誇大性」「賞賛の要求」および「共感の欠如」の持続的なパターンが認められる必要がある。そのパターンとは、以下のうちの5つ以上で該当。

(1)自分の重要性および才能についての誇大な,根拠のない感覚(誇大性)
(2)途方もない業績,影響力,権力,知能,美しさ,または無欠の恋という空想にとらわれている
(3)自分が特別かつ独特であり,最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている
(4)無条件に賞賛されたいという欲求
(5)特権意識
(6)目標を達成するために他者を利用する
(7)共感の欠如
(8)他者への嫉妬および他者が自分を嫉妬していると信じている
(9)傲慢,横柄
★症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

★鑑別診断(他との区別)
自己愛性パーソナリティ障害は以下の障害と鑑別することができる:

双極性障害
自己愛性パーソナリティ障害患者はしばしば抑うつを訴えて受診し,その誇大性のために,双極性障害と誤診されることがある。自己愛性パーソナリティ障害では 抑うつがみられることがあるが,他者より上の立場にいたいという欲求が常にあることで,双極性障害と鑑別される。また,自己愛性パーソナリティ障害では,気分の変化は自尊心に対する侮辱によって引き起こされる

反社会性パーソナリティ障害
自分のために他者を利用することは両方のパーソナリティ障害の特徴である。しかしながら,その動機は異なる。反社会性パーソナリティ障害患者は物質的な利益のために他者を利用するが,自己愛性パーソナリティ障害患者は自尊心を維持するために利用する。

演技性パーソナリティ障害
他者の注意を惹こうとすることは両方のパーソナリティ障害に特徴的である。しかし,自己愛性パーソナリティ障害患者は,演技性パーソナリティ障害患者とは異なり,注意を惹くために気取ったことやばかげたことをするのを非常に嫌い,賞賛されることを望む

NPDの治療

(1)精神力動的精神療法
自己愛性パーソナリティ障害の 一般的治療は全てのパーソナリティ障害に対するものと同じである。
基礎にある葛藤に焦点を当てた精神力動的精神療法が有効なことがある。境界性パーソナリティ障害のために開発されたアプローチの一部は,自己愛性パーソナリティ障害の患者用に効果的に改変できる場合がある。
具体的には以下のものがある:
(2)メンタライゼーションに基づく治療
(3)転移焦点化精神療法
これらのアプローチでは,自分および他者を感情的に経験するあり方の問題に焦点を合わせる
自己愛性パーソナリティ障害患者は,習熟度を高める機会を魅力的と捉えることがあるため,認知行動療法が患者にとって魅力的となる場合がある;患者の賞賛への欲求により治療者が患者の行動を方向づけられる場合がある。自己愛性パーソナリティ障害患者の中には,マニュアル化された認知行動療法のアプローチを簡単すぎる,または自分の特殊な欲求を満たすには一般的すぎると考える。

でどうする?

現場の職員はすでに話し合いは無駄だと捉えている。
それぐらい自体は深刻なのだが本人は気づいていない。
本人が上司ということもあり部下からの話し合いは困難。
(本人の自尊心が傷つかないように周りが遠慮する形)

根本解決ではないがより権威ある存在から、
本人の自尊心を維持しながらうまく誘導する。
特に、
下の意見を聴くこと自体が本人関心項目にばれば。
これしかないだろうと思う。

ひとことでいうと、
めんどくさいだろうな・・・(笑)
対応する人の対応もまた必要。
まさに支え合いだ。

最後に

こういう分類自体がなくなることを祈る


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