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AboutFace3より、ペルソナ構築のやり方

はじめに

最近、レア本を手に入れた。AboutFace3である。一般販売価格は7000円程度。私が買ったのは12800円。今はもう書店で買えない本のため、仕方ないとは思いつつとても高い本だ。。。

しかしこの本はアプリケーション開発のデザインに関するバイブルと言ってもいいような内容だった。そこで、本書のペルソナに関するTipsを紹介する。

ペルソナとは

調査結果を使ってユーザーの特徴を説明するモデルのこと。
実在する人物ではなく、開発現場での共通言語として使用される架空の存在である。
ペルソナにはたくさんの長所があるが、以下の3点のデザインの問題を解決することについて、特に詳しく書かれている。

ユーザー概念の弾力性
「ユーザー」という言葉は精度が低く、喋っている人の意見や偏見に合わせてぐにゃぐにゃに歪んでしまう。ペルソナを使うことで、精度高く、実ユーザーを表現することができる。

自己参照的なデザイン
自分のゴール、モチベーション、技能、脳内モデルを製品のデザインに投影してしまうと、一部のユーザーにはウケてもほとんどのユーザーに受け入れられないものになってしまう。

境界条件
境界条件とは、発生する可能性はあるがターゲットペルソナがそれを見ることはまずないというものである。「ペルソナは、この操作を頻繁に繰り返すだろうか」と考えるための材料となる。

ペルソナ構築のやり方

以下の流れでペルソナを構築する。以下は原則的な手順となる。

1. 行動変数を見極める。
2. インタビューの被験者を行動変数に対応づける。
3. 顕著な行動パターンを見出す。
4. 特徴とそれに関係のあるゴールを総合する。
5. 重複や完成度をチェックする。
6. 態度や振る舞いの記述を拡張する。
7. ペルソナの配役を決める。

1. 行動変数を見極める

ユーザーに関する調査結果のデータから、さまざまな側面を行動変数にまとめていく。

▶︎活動:ユーザーが何をしているか、頻度と量。
▶︎態度:ユーザーが製品のドメインやテクノロジについてどのように思っているか。
▶︎適正:ユーザーが受けた教育訓練はなにか。学習能力はどれだけか。
▶︎モチベーション:ユーザーが製品ドメインに関わっているのはなぜか。
▶︎技能:製品ドメインとテクノロジに関わるユーザーの能力。

観察された行動変数を完全にリストアップし、予測と比較していく。

2. インタビューの被験者を行動変数に対応づける

インタビューの被験者は、個々の行動変数の範囲内で適切な位置に対応づけられる。個々の行動変数について、被験者が集中するポイントが複数あることが正確に表現できれば、望ましい結果が得られたと言える。

3. 顕著な行動パターンを見出す

6〜8個の異なる変数を通じて同じ被験者の集合ができていたら、それはペルソナの基礎となる顕著な行動パターンを表していると考えられる。

4. 特徴とそれに関係のあるゴールを総合する

見つかった顕著なパターンごとに、データからディティールを集めて全体像を作る。潜在的な利用環境、典型的な作業日、現在のソリューションとそれに対する不満、周囲の人々との関係などをまとめる。
この時点では簡潔な箇条書きを作るだけで十分である。しかし、あまり虚構的で特異なプロフィールを与えると、話が拡散してしまってペルソナの信頼度が下がってしまう。

5. 重複や完成度をチェックする

被験者とペルソナの対応づけやペルソナの個性、ゴールをチェックして、調査結果との間に大きなギャップが生まれていないかをチェックする。政治的なペルソナを追加しなければならないかどうかをチェックするのも、このタイミングだ。

6. 態度や振る舞いの記述を拡張する

ステップ4で書いた内容をより深めていく。ペルソナの記述は、一般に、調査中に観察されたこのペルソナに関連したもっとも重要なディティールを総合したものでなければならない。これを作れば、非常に効果的なコミュニケーションツールになる。ペルソナの記述にユーザー調査で見つかった大半のことが盛り込まれていれば理想的だ。調査結果が直接デザインに行き渡る様になる。
このタイミングで、フォトコラージュを作ると、ペルソナに影響を与えている感情や経験がわかりやすくなって役に立つ。

7. ペルソナの配役を決める

今まで作成していたペルソナの、どれを主要なデザインターゲットにするか決めて優先順位を与える必要がある。
目標は、他のペルソナを無視することなく、単一のインターフェイスでニーズや目標を完全に満足させてあげるべき単一のペルソナを見つけることだ。
本書では、ペルソナに以下の役柄を与えていた。

▶︎主役
▶︎脇役
▶︎端役
▶︎顧客
▶︎サービス利用者
▶︎黒衣

まとめ

ペルソナは手段であり、作って終わりではない。ユーザーのゴールを定め、そこに向けたインターフェイスを作ることが目的で、その手段として使うべきである。

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