マガジンのカバー画像

一句鑑賞

174
所属する結社誌で発表した句の鑑賞文。
運営しているクリエイター

記事一覧

鑑賞*初夏や歩幅を刻む鼓笛隊

佐野 聰 遠くから鼓笛隊の笛と太鼓の音がする。 青い空とさわやかな風が待ちに待った夏の到…

岡田耕
6時間前
44

鑑賞*連れ立つて巣箱見にくる四十雀

佐野 聰 四十雀の夫婦の新居探し。 間取りは?日当たりは?セキュリティは?周辺施設は?内…

岡田耕
4週間前
138

鑑賞*ひとひらを波の届ける桜貝(拡大版)

佐野 聰 鎌倉の由比ガ浜海岸は、桜貝が拾える場所の一つ。 由比ガ浜の桜貝は、江戸時代の浮…

岡田耕
1か月前
140

鑑賞*合格子のまた戻り来し掲示板

藤本秀峰 1934年 大阪府生まれ。1991年「扉」(主宰 土生重次)に創刊参加。句集に『寒の水』…

岡田耕
1か月前
123

鑑賞*ひとひらを波の届ける桜貝

佐野 聰 由比ガ浜の桜貝は、今ではなかなか拾えない。 潮の満ち引きや風向き、海流によって…

岡田耕
2か月前
146

鑑賞*嫁入りの頃を語りぬ雛の前

松浦 加古 句集『探梅』所収。平成二十四年作。 「お母さんがこの家にお嫁に来たときはねぇ・…

岡田耕
2か月前
126

鑑賞*太陽へかぶせるごとく布団干す

辻前 玲子 布団を二つ折りに内側を肩に担いでベランダに出る。 湿って重いので、そのまま持ち上げて跨がせられない。 ベランダに片面を押し当てて、内側を表にひっくり返して掛ける。 冬の太陽にかぶさると思えるほど大きな力仕事。 (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』令和五年八月号)

鑑賞*凍星の三つ四つほかは数えざる

山本 一歩 句集『春の山』所収。 オリオン座の左上の赤い星が「ベテルギウス」。 オリオン座…

岡田耕
3か月前
143

鑑賞*喪中にて冬の小鳥をしばし追ふ

松浦 加古 句集『探梅』所収。平成二十四年作。 喪中とは、死者のことを思い、しのぶ期間。 …

岡田耕
3か月前
147

鑑賞*大寒の朝のいのちを確かむる

和田華凛 平成二十九年~令和元年作。『月華』所収。 寒い、寒い、誰か助けてくれ。 このまま…

岡田耕
3か月前
165

鑑賞*冬帽の反り身で撮りしエッフェル塔

吉田 富枝 平成4年「扉」入会。平成19年「風友」創刊同人。 平成21年 句集『半夏生』上梓。…

岡田耕
3か月前
151

鑑賞*田作りの眼の一粒を噛み当てる

安藤馬城生 大正十年大分県宇佐市生まれ。平成三年「扉」(主宰 土生重次)創刊参加。句集に『…

岡田耕
4か月前
130

鑑賞*塗椀の掌になじみたるお正月

阿部悦子 汁ものの器を手に持って口に運ぶのは日本の食文化。 塗椀は、お正月のためのものでは…

岡田耕
4か月前
140

鑑賞*冬至梅一年の計香らせる

【スキ御礼】受賞*梅一輪探せば百の蕾かな 坂田 友莉  加納小学校五年。「令和 4 年度 安井息軒顕彰 小学生俳句コンクール」小学五年生の部 特選。 安井息軒は江戸期の儒学者。 有名な言葉は「一日の計は朝にあり。一年の計は春にあり。一生の計は少壮の時にあり。」 冬至梅は、名の通り年内にも咲き始める早咲き梅の一種。 その香りが一年の計を立てよと促している。 (岡田 耕) 写真/宮崎市 安井息軒記念館・安井息軒旧宅ホームページ – 宮崎県宮崎市清武町の偉人、学問に生涯を