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Collective Dialogues

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創造的で豊かな対話を実践するための工夫やヒント
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Inspiration Seeds vol. 006:対話の場の仕組みと仕掛け

オンラインでの打合せも増え、対話について意識することが増えたような気がします。では、よい対話の場で行われていることは何なのでしょうか? なにかよい秘訣はあるのでしょうか。よくわかりません。そこで、普段から対話やコミュニケーションの場について考えている高柳さんと『よい対話を生み出すには』について聴いてみたい思います。

話すとはどういうことなのだろう

1月1日に地震があった。1月17日で阪神・淡路から29年がたった。なんだかつい最近のように思い出される。 そのことを仙台の人に話したら、「阪神・淡路のときは学生で、自分はまだそのとき神戸には行ったこともなかったから、あんまりわからなかったんだよね。東北の地震が起きて初めてわかったよ」と言っていた。確かにそんなものかもしれない。 阪神・淡路のとき、私は垂水区霞ヶ丘というところのマンションに住んでいて、窓からは明石海峡と淡路島が見えた。つまり、震源が見える場所に住んでいた。

丹野智文さんへのインタビュー

熊本県下の高校31校をネットでつないだ下記のワークショップの後半は、39歳で若年性認知症と診断された丹野智文さんへのインタビューを高校生のみなさんにも聞いていただき、そこで感じたことをお互いに対話してもらった。 後半のインタビューを含む全体の流れは下記の通り。 丹野さんと出会ったのはいつだったろう。 たぶん、しっかりとお話をしたり関わるようになったのは、下記のRUN伴のプロモーション用のWeb/映像を制作したときだろう。このときは7つの地域の認知症当事者の方にインタビュ

高校生のスピード感

下記のワークショップには128人の高校生たちが参加したが、その中の熊本県立第二高等学校の3人には、あえてセッションに参加せずに《従軍記者》として撮影隊になってもらった。 13時から始まったワークショップは15時半に終了。そして16時半には撮影隊の3人からプロトタイプの概要説明の動画が届いた。素晴らしいスピード感だ。彼らが作ってくれた2つの動画。どちらも若い人らしくてとてもいい。 高校生たちにとって映像の撮影や編集は私の世代がPCで文章を書くようにごく自然なものなのかもしれ

《従軍記者》という概念

《従軍記者》といっても戦争の話ではない。第三者的な記録者の位置づけをここでは《従軍記者》という言葉で呼んでいる。 世の中には、本当によい活動をしている人たちがいる。価値のある取り組み、姿勢、そして周囲の人たちに多大な影響を与えている人たちだ。そういう人たちや活動は、福祉の現場でもNPOの活動でも、さまざまな地域に点在している。 そういう人たちは本当の意味で人に寄り添い、ものすごい熱量で活動をしている。だから自分たちを記録する余裕はない。だからその場にはいなかった人たちには

川崎市:高齢者がいきいきと暮らすためのソーシャルワーク実践のコツ

川崎市役所に勤務する知り合いがSNSで「パターン・ランゲージ『高齢者がいきいきと暮らすためのソーシャルワーク実践のコツ ~ともに未来をつくる~』の冊子とカードがようやく完成しました」という報告をしていた。 川崎市:高齢者がいきいきと暮らすためのソーシャルワーク実践のコツ ~ともに未来をつくる~ (川崎市ホームページ) 高齢者がいきいきと暮らすための ソーシャルワーク実践のコツ ~ともに未来をつくる~ Ver.0.9(冊子pdf) ちらっとみた印象でしかないけれど、目次を

「参加から参画へ」 – さまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味(Ⅱ)

「参加から参画へ」というテーマで、ヨークの"Minds & Voices"の人たちの活動を中心に、認知症の当事者も交えたさまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味について考えた。 同じ英国でも、スコットランドのエジンバラでは、また別の活動が進められている。以下では、変化を少しずつ形にしながら働きかけていくことについて考えていきたいと思う。 変化を少しずつ形にしながら働きかけていく スコットランドで認知症当事者グループを立ち上げたJames McKillopさんは、エジ

対話の要件

対話が生まれる要件とはなんだろうか。ひとつには、パターン・ランゲージ「対話のことば」で記述されたような心的態度を参加者のそれぞれが意図的に実践することだろう。 ふたつめの要件は参加者の動機だろう。もちろん、その動機は参加する人ごとに異なる。明示的かもしれないし、曖昧かもしれない。必要性かもしれない、期待かもしれない。 いずれにせよ、その場にいるという事実は、参加者による関与・寄与の間接的な意思表明となる。対話という文脈でいえば、何かを話したいという気持ち、聴きたいと思って

Whare are we now?

ロードマップとロードマッピングを同じものではない。似ているが異なる。 ロードマップは関係者がある瞬間に捉えた未来の地図だ。どんなに精密に描いても時の流れとともに現実からは外れてしまう静的な地図だ。 一方、ロードマッピングはその地図を関係者で創造していく行為だ。新たな景色が見えれば修正を加えていく行為を含む。それは未来に関する対話そのものといえる。ロードマッピングは、対話を通して関係者が以下の3点について意識を共有していく行為にほかならない。 ・Where are we

対話で生まれる多様な気づき

2020年8月18日の午後、熊本県下の高等学校31校をオンラインで結ぶ、熊本県高等学校家庭クラブ連盟が主催する2020年度第57回指導者養成講座が行われました。 テーマは「対話で生まれる多様な気づき」。「旅のことば」というカードを使いながら対話のセッションをオンラインで実施しようという企画です。 熊本県には分校を含め82の高等学校がありますから、新型コロナの状況下で、熊本県下の高校全体の約40%をオンラインで接続し、対話のセッションを実施するという、とても実験的でチャレン

ひとつの優れた回答:井庭崇・長井雅史『対話のことば』

2011年から2019年にかけて、ずいぶんとワークショップを開催した。 《対話》についてもいろいろと考えたが、もし何かよい本を2冊あげよと言われたら、デヴィッド・ボーム の『ダイアローグ――対立から共生へ、議論から対話へ』と、井庭崇・長井雅史の『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』を挙げたい。 『対話のことば』は、慶應大学SFCの井庭さんと当時4年生だった長井さんが始めたプロジェクトから生まれた本だ。 このプロジェクトは、オープンダイアロ

対話したいなら「訊く」

大学では流行とか遊びとか上っ面の話ばかり、もっと腹を割った話ができる場や仲間がほしい、という若者の声をよく聞く。私も若い頃、同じ悩みや抱えていたから、とても共感する。他方、大人でも、話すに足る仲間や場が見つからん、と嘆く声も聞く。もっと本音で話せる仲間や場がほしい、と。 とても簡単な方法が。 自分が話すのではなく、相手の話を訊くこと。否定せずに関心をもって傾聴し、問いを発して会話の展開を促す。すると、普段話さないような話題も飛び出す。そして話をひとしきり訊くと、今度はこちら

DX時代の議事録〜オンライン・ファシリテーショングラフィック

DX時代の議事録はオンラインでの手書き端末を利用したファシリテーショングラフィックだなと思い、試行錯誤しています。 今回、オンラインでのファシリテーショングラフィックについて考えていて、以下の端末で検証しています。もともとはiPad Proでファシリテーショングラフィックをしているのですが、もっと多くの人が手軽に始められないかなと思って、金額を意識していろいろ試しています。企業の中で導入するとしたら、30,000円くらいが妥当かなと思うので、液晶ペンタブレットが一番の狙いで

自分と他者を知るための哲学対話で、"思い込み"から自由になろう (二村ヒトシ 映像ディレクター) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

 現代は、人の数だけ恋愛の幸福と不幸があるといっても過言ではないでしょう。  映像ディレクターの二村ヒトシさんは著書を通じて、恋愛でどう幸せになるかを説いてきました。自分と相手の持つ〈心の穴〉の形を知り、思いこみから自由になり、自分と相手について本質的な理解をすることで、より幸せな恋愛ができるということです。  本稿で二村さんは、自分の考えや心と向きあうために哲学対話という手法を勧めています。他者や自分自身との対話を通じて、思ってもみなかった発見をえて、あなたがより生きや