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「安定した生き方」とはなにか。主に学生さんや若い人向け。

大学生は「安定重視」で就職先を選ぶ、という記事を読んだ。わかる。僕も新卒で入社したのはNEC本体だった。ザ・トラディショナル安定企業。安心安全最高だね。今もきっと安定していると信じたい。

一方で今の僕が身を置くスタートアップ、ベンチャー界隈ではこうした安定志向にモヤついている人達も多い。それもわかる。死ぬこと以外はかすり傷だ。かすり傷から破傷風で死んだ人もいるけど。

今回は「安定して生きる」ことについて僕の考えをまとめる。大学生が読んでなにか気づきがあればいいな。なかったらごめんなさい。

安定とはなにか

安定とはなにか。「突然クビ」「預金残高がゼロ」といった状況にならないことが安定というやつなんだろう。僕も会社を辞めて気づいたら預金残高が32円になってたときはちょっと不安定なムードを感じた。

バイトであれフルタイム労働であれ、そこそこ働きそこそこお金をもらえて無事に結婚・出産・老後を迎えられるのがいわゆる安定。要は身体を壊さずに、特に立ち廻りを変えずに、毎月生きるためのリソース(多くの場合それはお金)を得られる状態を安定と呼ぶことが多い。

安定した職場とはなにか

ということは、毎月生きるためのリソース(多くの場合それはお金)を、身体を壊さずに、特に立ち廻りを変えずに、手に入る状態を維持することが「安定した生き方」になる。しかしこれに関する常識が昔と今で変わってきているのが難しいところ。

昔の安定は、安泰な企業で定年まで勤め上げることだった。盤石な地面に置かれた板に乗って働いているイメージ。モーレツに働かないといけないのは大変だけど、あえてそこから飛び降りなければ死ぬことはない。

が、大手企業も経済環境や技術革新、人口分布の変化によって一定した経営状況を維持できなくなった。そうした環境で働くのはこんなイメージ。

板は板でもボールの上の不安定な板。バランスを崩したらヤバそう。しかし上手くバランスを取れれば特に板の上でも問題はなかったりする。(実際昔の会社も全部が全部盤石ではなかったわけだし)

与えられた環境でモーレツに働くのとは少し違ったスキルを追加で求められているのが今の社会なんだろう。

「安定した生き方」とはなにか

大きい会社も小さい会社も、フルタイム勤務もフリーランスも起業も、今の世の中グラグラ度合いは違えども、不安定な板のバランスを取りながら働くことが重要になった。どうやってバランスを取るか?「平衡感覚と膝の柔らかさ」が重要だと思ってる。

「平衡感覚」とはなにか?それは知覚だ。今いる会社含め、自分を取り巻く環境が自分に何を求めているか、そのニーズを知ることだ。

プレイヤースキルなのかマネージメントスキルなのか、組織への忠誠心なのか瞬間的な仕事量なのか、求められるものがわかれば対応もしやすい。

「膝の柔らかさ」とはなにか?それはコントロールだ。自分のスキルを環境に当てはめる柔軟さだ。

マネージメントを求められるなら自分なりにマネージメントを要素分解して自分のスキルを活かせる部分を探す。瞬間的な仕事量を求められるなら、その期待に応えられる業務領域をこちらから提案する。相手への提案と妥協。大なり小なりあらゆる仕事は交渉が重要である場面が多い。膝の柔らかさとは、過度の負荷なく全力を出せる環境を得るための交渉力とも言える。

ヒアリングを通じてニーズを知り、それに応えるための能力と働き方を提案する。それを呼吸するように当たり前に繰り返すことが「安定した生き方」を送るための手段のひとつなんだろう。

学生が今からできること

二つある。ひたすら目の前の研究に没頭してその分野における圧倒的な知見を身につけることが一つ。もう一つが現場で働く様々な人へのヒアリングを通じて、今の社会や市場のニーズを知ること。

やるべき事は自分探し本を読むことではなく、学業を通じて能力を高め、実地でのヒアリングを通じて自分の能力と合致するニーズを探すことだ。(社会のニーズを知ることは今やってる研究内容の社会実装にも結構役立つと思うよ。)

今回は「安定して生きる」ことについて僕の考えをまとめた。大学生が読んでなにか気づきがあればいいな。なかったらごめんなさい。

ちなみにこちらが会社を辞めてしばらく経ち順調に預金残高32円になったときの僕の様子だ。達観していることがよく分かると思う。


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