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2022年J2第30節大宮アルディージャ-横浜FC「エールを」

ただでさえ着手が最近遅いのに、月曜日に大きなニュースが飛び込んできた。安永の水戸への期限付き移籍が決まったのだ。となったので、普段はゲームの感想だけを書いていることが多いが、昨今の移籍についても絡めて書きたいと思う。安永の移籍を含めるとこの夏に横浜を移籍を含めて退団したのは、ヴィゼウ、小川慶治朗、手塚、高木、中塩、そして安永と6名。
四方田監督の元でプレーをしていない小川の再移籍は選択肢としてありえたし、出場機会が5月以降限られていた残りの5選手も外野から見たら、移籍をして(期限付きか完全かはともかく)出場機会を増やす選択肢も想像に難くない。が、一方で移籍したからと言って出場が保証されている訳でもない。選手によってはシーズンが終わった時に結果的に双方からの契約満了の可能性もあるが、それでも座していたら迫ってくるであろう戦力外通告を待ってはいられない選手の思いもヒシヒシと伝わってくる。
安永は横浜のアカデミー出身で、このまま横浜に所属していてもA契約の枠にはカウントされないので契約上は、多少大目に見てもらえるが昇格を争うチームの中で出場機会が減ったのを良しとせず、外に出て成長する道を選んだ。
高木、安永は残り12試合、中塩は残り19試合でシーズンも佳境を迎える中で、どこまでフィットして自身の力を見せられるか。あのプレーが、あの判定が、あの判断が、と言いたいこともあるだろうけど求められる場所があるのは幸せなこと。自身の価値と可能性を表現してほしい。そしてJ1でまた会おう。

そう彼らに別れを告げながらも、横浜はなぜこうもJ2にいたがってしまうのか。目下、自動昇格のライバルである新潟と仙台が勝ち点3を積み重ねられない中、横浜もいわてに敗戦を喫し突き放すことができない。迎えた第30節大宮戦、このゲームもまた1時間早くキックオフされ新潟が先制を許し負けていた。今度こそ相手をライバルを突き放す絶好のチャンス。サポーター目線から言えば誰しもがそう考えていた。

窮栗鼠浜を噛む

大宮は先日サポーターズミーティングが行われた。それによると今年度になり予算は昨対比で25%減で、今夏の補強も限定的。降格圏に喘ぐチームとしたらかなり厳しい状態にある。補強したのも、現状岡庭と袴田。
袴田は横浜にいた袴田。彼は横浜がJ2降格するとオファーのあった磐田へ移籍。地元であり翌年もJ1でプレーできるはずだったが、リカルド・グラッサの後塵を排し出場機会を失った中での大宮へ移籍。奇遇なことに、そのホームで初めてプレーする相手が横浜。袴田にとっても、横浜にとってもここで出会うことになろうとはシーズン前には予想もしてなかったに違いない。敵としてではなく、1サッカー選手として見たら、期限付きで移籍していった高木と中塩と同じで出場機会を失いもがいているのだろう。

試合は袴田が加入した大宮が開始から積極的で、前半7分に矢島慎也のクロスに飛び込んだのは逆サイドから駆け込んだ大宮・柴山。電光石火の一撃となった。1-0で大宮が先制。

ただ、横浜は前節と違ってここで怯まない。大宮の前線からのプレスを掻い潜り、サイドに展開。ゼインの上げたクロスのこぼれ球をゴールに叩き込んだのは亀川。大宮の選手に当たってコースが変わるラッキーもあり同点に。前半14分に同点にしてからは、横浜の流れに。
大宮の選手も強く前には中々出てこられなくなった。ただ、横浜も和田からの配球を牽制されて良い形を何度も再現できないままでいた。

後半大宮が先に動く。前半アシストした矢島慎也に代えて泉澤を投入。スピード溢れる選手を投入して横浜は混乱。奥抜の突破を岩武が止められず、折り返したボールにまたしても柴山が合わせて大宮が逆転。

再び追いつく横浜。失点の2分後、サウロ・ミネイロが強引な体勢から左足でシュートを放つとゴール右隅に吸い込まれ同点に。2度追いつく粘りを見せた横浜。これが首位の強さか。大宮は富山を入れ、横浜もこの試合から復帰したキャプテン長谷川を入れて3点目をお互いに狙う。

3 点目は意外な形で生まれた。ロングボールの処理でペナルティエリア前方に飛び出したGKブローダーセンがボールを空振り。後ろで待ち構えていた大宮・富山に決められて失点。3-2と逆転を許す。

こうなると大宮はロングボール主体で前線の選手を走らせるサッカーにシフト。横浜はブローダーセンが自信を失ったのか、低い位置からボールをつないで大宮を剥がすことが難しくなり、大宮陣内に中々ボールをつなげなくなる。

それでも終盤、横浜は途中出場の山下にボールを集めてクロスを上げるが味方と合わず。途中出場の渡邉のグランダーのクロスに合わせた小川のシュートはヒットせず大宮GK・志村が難なく抑えた。

7分もあったアディショナルタイムでも同点弾は生まれず。聞こえたタイムアップの笛は横浜の連敗を告げる、大宮の9試合ぶりの勝利を告げるものだった。

手と手を合わせて

試合後選手たちが挨拶に来る。多少の罵声も聞こえた。こうしたシチュエーションは、群馬戦以来ではあるが、もう序盤ではなく残り試合を考えると1つでも2つでも勝ち点差を広げておきたかった。いわても大宮も順位的には、横浜と正反対の位置にいる。その相手に連敗を喫したのは痛恨である。横浜は対戦スケジュールでいえば、新潟と仙台の対戦は残っていないが、岡山、長崎、町田、熊本とプレーオフ圏内のチームの対戦を残している。新潟と仙台が迫ってきている。直接対決が残っていないから逆転された時に止める術がない。

ただアウェイの群馬戦の時とは違い手を合わせて許しを請うのは選手もこの状況を理解しているからこそ。サポーターも辛いが選手も辛い。「手と手を合わせて幸せ」どこかの仏壇店のCMではないが、合掌して大事にはならなかった。

新潟も横浜が連敗しているのに勝って逆転できないフラストレーションを抱えている。終盤どこも苦しい。連敗を喫した横浜も苦しいが、とは言っても負け数はJ2最少で2連敗が2回とアウェイ新潟戦の敗戦のみ。この位の敗戦で悲観的になった方が負け。

前節でいえば石井、今節でいえば田代。ゲームに勝利した余裕もあるだろうしリップサービスの一面もあるが、横浜の昇格を願ってエールを送る元横浜の選手がいる。そんな彼らの期待に応えるチームでありたいし、そのチームを応援したい。俺らを乗り越えていけよと言われた気がした。彼らからのエールは受けとった。今度は私たちが選手にもっと大きなエールを送る番だ。

幸せなら手を叩こう。幸せになるために手を合わせよう。10月23日幸せになって手を叩くために。


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