コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖10「チャーリーのレスリング講座」
さて、前回を未読の方はコチラをどうぞ。
チャーリーの「武勇伝」が、実は聖書の「某有名シーン」の説明だったとは驚いたね。
そんでもって「レスリング実演講座」は、聖書で「最も有名なシーン」の再現になっとるっちゅうハナシやったな…
その通り。さっそく解説を進めるよ。
チャーリーによる「主イエスの変容」の説明を途中で遮ったバートン・フィンクは、暗い顔で、こう語る。
「君が羨ましいよ。君の仕事は単純だ。やることも、やり方も決まってる。だけど僕の仕事は何も見えない。自分自身の心の奥底に飛び込んで、嫌な記憶を蒸し返さなければならないんだ。嘘偽りのない感情をね…」
こいつ最悪や。
自分の苦労を語ってるようで、何気に優越性をアピールしとる。
そうなんだよね。
バートンはチャーリーみたいな「汗水たらして働く普通の人間」を見下しているんだよ。
「そういう人間こそが社会の主役なんだ」とか言いながら、本心では「知的労働者」のほうが上だと思っている。
このコンプレックスが妄想を生み、映画『バートン・フィンク』の不思議な世界を作り出していると言えるね。
なるほど。マジめんどくさい男。
そしてバートンは、こんな嫌味まで言う…
「君に《the life of the mind(精神生活)》ってもんを見せてやりたいな…」
ええ!?これって…
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