第7話「IRENE CASSINI(アイリーン・カッシーニ)という名前に秘められた物語:後篇」 ~『GATTACA(ガタカ)』徹底考察~
映画『ガタカ』の舞台である「宇宙開発局GATTACA」も、ジェローム・ユージン・モローが持っていた「メダル」も…
実は「カッシーニ」が元ネタなんだよね…
ええ!?
前回を未読の方はコチラをどうぞ。
そもそも「土星探査機カッシーニ」が登場する前まで、欧米キリスト教社会では「カッシーニ」といえば、よっぽど科学好きでもない限り「別のもの」を思い浮かべるのが普通だった。
それは「モンテ・カッシーノ」だ。
モンテ・カッシーノ?
カッシーノ山か?
モンテ・カッシーノは、イタリアのラツィオ州南部にある、標高500mほどの山の名前。
紀元前の昔、その山の上にウォルスキ族の町があったんだけど、ローマ人が征服してカッシーナムと改名した。
そして山の名前もモンテ・カッシーノとしたんだね。
それが『ガタカ』と何の関係があるんや?
西暦529年、このモンテ・カッシーノの山頂に、ベネディクトスが修道院を作ったんだ。
聖ベネディクト(480年頃~547)
「服従・清貧・童貞」の戒律で知られるベネディクトスの修道院は、西方教会における修道制度の原型となった。
キリスト教神学だけでなく、古典文学・哲学・建築・医学・薬学など様々な学芸を学ぶ場としても栄え、後世に大きな影響を与えた。
今もベネディクト会として有名だよね。
ちなみにモンテ・カッシーノの修道院は、この地域の戦略上に欠かせない拠点でもあるため、幾度もの戦禍に見舞われることになる。
第二次世界大戦でも徹底的に破壊されたんだけど、戦後に以前とそっくりな形で再建され、現在に至る。
なんか既視感あるな。
「GATTACA」の外観よ。
ああ!確かに似てる!
エルサレム旧市街地の「神殿の丘」にも似てるけどね。
こっちも似てる!
「モンテ・カッシーノ」と「GATTACA」は外観だけじゃなく「中の人たち」もそっくりなんだよ。
ベネディクト会士は黒ずくめの作業服を着ていることから「黒い修道士」と呼ばれる。
そして「GATTACA」で働く人たちも全員「黒いスーツ」に身を包んでいたよね…
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