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第7回:主題歌『Buckskin Stallion Blues』の秘密 ~『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解説7

さあ着きましたよ、きみぞの兄弟さん…

ここが「動物ふれあい公園」です。

おおDUDE!

こんな素敵な公園が近所にあるとはビックリボウスキ~!

ん?今なんて言った?

「びっくり!もう好き!」と言ったんだけど何か問題でも?

さあ中に入りましょう。

いろんな動物がいるんですよ。何から見ようかな…

うへえ…

やっぱり動物のウンコくさ~い!

いちいちやかましいわ。お前はミルドレッドか!

この公園に「BUCK」はいますか?

バック?

「BUCK」とは牡鹿のことだね。

じゃあ「STARBUCKS」って「星のオス鹿たち」って意味なの?

残念ながら違うんだな。

メルヴィルの小説『白鯨』に出て来る一等航海士スターバックから取られた名前なんだけど、この「Starbuck」という苗字はイギリスのヨークシャーにある「Starbeck」という地名から来ている。

そしてこの「Starbeck」という地名は、古ゲルマン語の「stǫrr bekkr」が英語化したもので、意味は「葦の生い茂る小川」というもの。

つまり「STARBUCKS」の「BUCK」は「小川」という意味なんだね。

な~んだ。

「星の牡鹿たち」のほうが「蒼き狼と白き牡鹿」みたいでカッコいいのに。

それを言うなら「白き牝鹿」や。

ひょっこりはん?

チンギス・ハーン!

ちなみに古ゲルマン語「bekkr」は現在のドイツ語で「bach」という。

大音楽家やIOC会長の名前で有名な「BACH(バッハ)」だ。

「スターバックス」の「バック」とドイツ系の人名「バッハ」は同じ言葉なんだよ。

今度スタバに行ったら、ドリンクを待ってる間にウンチクとして店員さんに披露するといい。

ちょーウザい客(笑)

「BUCK」という言葉は面白いよな。

英語の「BUCK」には「激しく抵抗する」とか「責任を押し付ける」という意味もある。

なんでだろう?

映画『子鹿物語』じゃないけど、鹿は人の言うことを聞かないからね。

特に発情期には近づかないほうがいい。鹿の繁殖期は9月頃から始まるんだけど、発情してる鹿はとても危険だ。

まあ家畜化された動物じゃないから当たり前なんだけど。

そういや…

アンジェラが母ミルドレッドと大喧嘩して飛び出して、その夜に殺されてもうたのも、イースターから7カ月前…

つまり9月頃のことやったな…

そうだったね。

そして「責任を押し付ける」は、かつて酒場や賭博場でポーカーをする際に、親の前に鹿の角を置いたことに由来する。

映画『スリー・ビルボード』でも、地元テレビのインタビューで、ミルドレッドとレポーターがこの「BUCK」を繰り返していた。

「The buck stops at Willoughby」
(責任はウィロビー署長にある)

映画の主題歌『Buckskin Stallion Blues』にも「BUCK」が入ってるね。

これはどうゆう意味なの?

タイトルを直訳すれば「鹿毛の種馬ブルース」だね。

鹿のように明るい茶褐色の体をした馬を「鹿毛(buckskin)」と呼ぶんだ。

「stallion」は「種馬・精力絶倫」という意味。

映画『ロッキー』でスタローン演じる主人公ロッキーは「Italian stallion(イタリアの種馬)」って呼ばれていた。

食えなくてポルノ映画に出演してた自分自身を、自虐的にネタにしたんだ(笑)

そういやウィロビーも、嫁に精力絶倫と言われて喜んどったな…

さて、一通り前フリが済んだところで、歌を聴くとしよう。

この曲って歌詞が変わってるよね。

「3+4の答えが7しかないなら1と2はどうすればいい?」って意味不明すぎる。

「3+4=7」に1と2なんか関係ないじゃん。アメリカ人は足し算もわからないのか(笑)

なんかの暗号とちゃうか?

大山と熊谷が塁に出て打順が糸井やったら、鳥谷と北條はどないしたらええ?…とか。

余計に意味不明だろ。

この歌は言葉遊びや比喩がたくさん使われていて、日本人にはちょっと難しいんだ。

しかもその歌詞のひとつひとつが映画のストーリーと直結している。

きっと選曲したのは音楽担当のカーター・バーウェルじゃなくて脚本を書いたマーティン・マクドナーなんだろうけど、僕が歌詞を解説しなきゃいけないね。

この『スリー・ビルボード』という物語を読み解く上で、とっても重要な曲だから…

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