全米映画興行収入ランキング(4/5~7編)2019
お待っとさんでした。
毎週月曜恒例のBOX OFFICE全米週末映画興行収入ランキングの時間です。
4/5~7のトップ10は、こちら!
1)SHAZAM!
$53.5M ($56.8M) 1週目(初)
2)PET SEMETARY
$25.0M ($25.0M) 1週目(初)
3)DUMBO
$18.2M ($76.3M) 2週目(⇩)
4)US
$13.8M ($152.4M) 3週目(⇩)
5)CAPTAIN MARVEL
$12.7M ($374.1M) 5週目(⇩)
6)THE BEST OF ENEMIES
$4.5M ($4.5M) 1週目(初)
7)FIVE FEET APART
$3.7M ($41.6M) 4週目(⇩)
8)UNPLANNED
$3.2M ($12.5M) 2週目(⇩)
9)WONDER PARK
$2.0M ($42.0M) 4週目(⇩)
10)HOW TO TRAIN YOUR DRAGON: The Hidden World
$2.0M ($156.7M) 7週目(⇩)
1位はDCエクステンデッド・ユニバースの新作『シャザム!』だい!
最初の週末で、たったの5350万ドル?
1億5300万ドル稼いだ『キャプテン・マーベル』の三分の一やんけ。
ちょっとというか、だいぶ物足りないね。
しかも三週後には『アベンジャーズ:エンドゲーム』という超ド級モンスター映画が控えている。
そこまでにもっと稼いでおかないと、まさかの赤字も有り得る数字だ。
それはアカンやろ。シャザムだけに寒々しいわ。
せっかく『アクアマン』が大成功したのに!
がんばれDC&ワーナー!
さて、2位にはスティーブン・キングの名作ホラー『ペット・セマタリー』の再映画化『ペット・セメタリー』がランクインだ。
セマタリー?セメタリー?
迫ったり攻めたり、ややこしいな。
原作小説の邦題が『ペット・セマタリー』で、映画の邦題が『ペット・セメタリー』や。
ハァ?なんでそんなことになったのさ?
「SEMATARY」というのは、物語の中で子供がスペルミスして書いたものなんだよね。
正しいスペルは「SEMETARY」だ。
日本語翻訳の際も「スペルミス」に重点が置かれたため、「セメタリー」ではなく「セマタリー」となったわけだ。
だけど映画だと、スペルミスでも台詞では「セメタリー」と発音されるので、「発音」に重点が置かれて「ペット・セメタリー」という邦題になったというわけ。
なるほどね。
ちなみにこれが1989年版や。「セメタリー」言うとるやろ?
確かに。
3位はティム・バートンの『ダンボ』だ。
2週目の週末が終わって7630万ドルか。
こっちも『シャザム!』同様に厳しい数字やな。
これだと北米で最終的に興行収入1億ドルがギリギリの流れになりそうだ。
最低ラインは1億5千万ドルあたりで設定されていただろうから、これもちょっと厳しいね。
4位と5位の『Us』と『キャプテン・マーベル』は、公開早々に予算回収ラインをクリアして、まだまだ上積み中だぞ!
そして6位は初登場の『ベスト・オブ・エネミーズ』だい!
「頭が少し弱いだけで、そこまで悪質ではない南部男」をやらせたら、当世、サム・ロックウェルの右に出る男はおらへんな。
確かにね(笑)
2017年の『スリー・ビルボード』のディクソン巡査でしょ…
そして2018年の『バイス』でのジョージ・W・ブッシュ大統領…
同じような演技でアカデミー賞2年連続ノミネートやさかい、さすがに三年連続は無いやろな。
ちなみにタラジ・P・ヘンソンが演じる黒人女性活動家Ann Atwater(アン・アトウォーター)も、サム・ロックウェルが演じる白人至上主義団体KKKリーダーのC.P. Ellis(C・P・エリス)も実在の人物だ。
二人は1971年、ノースカロライナ州ダーラムで人種統合問題について話し合うコミュニティ会議の共同議長になった。それぞれが黒人と白人の代表として選ばれたんだね。
連邦公民権法が制定され公共サービスにおける人種隔離政策が違憲となってからも、南部の州では「学校での人種融合は危険」という現実的な判断で、依然として「人種分離」が続いていたんだ。
なんで危険なの?
一言に「社会における人種差別問題」と言っても、その内情は複雑で、そこに白人黒人双方の社会内での経済・階級対立という問題も隠されていた。
白人至上主義に走りやすい人々は、白人の中でも貧困層が多い。
彼らは「自分たちが本来受けとるべき利益が黒人貧困層に奪われる」という危機感を抱いていたんだね。
そして白人黒人問わず貧困層は、狭い世界で生きていることが多い。
お互いを憎んでいるけど、実際に腹を割って話したりする機会はほとんどなかったんだ。
お互いに相手をよく知らないまま「自分たちは搾取されている。あいつらが原因だ」と決めつけていたんだよ。
そんな社会背景があったから、いきなり学校で一緒の教室に入れと言われてもトラブルが起こるだけだよね。
それでダーラムの市当局は、白人黒人双方の代表を議長にする委員会を設け、話し合いを進めることにしたんだ。
議長に選ばれた二人は共に「貧困層出身」だった。
白人代表のC・P・エリスは中卒で、若くして4人の子供をもうけ、ガソリンスタンドで働くという典型的なプア・ホワイト。
そして黒人代表のアン・アットウィルも、13歳で結婚し、夫のDVで離婚し、女手一つで子供を育てていたシングルマザー。
どっちも苦労人やな。
そして双方ともに「敬虔なクリスチャンである」という共通点もあったんだ。
聖書をちゃんと読めば「人種や出自で差別をしてよい」なんてどこにも書かれていない。
主イエス・キリストの前では、すべての人が対等であるはずだからね。
そんな共通背景から互いに理解を深め、それまでなら有り得なかった友情関係を結び、ついには「社会における共通利益とは何か?」という問題に取り組めるようになった。
つまり、教育機会の損失からくる無知こそが、社会における最大の敵であると気付いたわけだ。
おお!いい話じゃんか!
50年後の今でも完全に人種差別は無くなったとは言えないけど、この二人の間に育まれた友情の意味は大きい。
ぜひ日本でも劇場公開してほしいね。
いつものパターンだと「人種問題映画」はアカデミー賞とかよっぽどの話題性がないと日本では公開されないけど、『グリーンブック』人気にあやかって劇場公開してください、日本の配給会社さん!
『スリー・ビルボード』『バイス』でのサム・ロックウェル人気もあるしね。
『スリー・ビルボード』と『バイス』でサム・ロックウェルに熱くなっとったのは、お前だけやろ。
ランキングに戻ろるよ!
7位が『5フィート離れて』で、8位は前回紹介した『アンプランド』か。
9位の『ワンダー・パーク』と10位の『ヒックとドラゴン3』も、しぶとく頑張っとるな。
どれも日本で劇場公開されへんのが残念や。
ディズニー・マーベル・DCのような広告が大量投下されるメジャー作品しかお客さんが入らないからね。
日本人の洋画離れが著しいってどこかで読んだよ。
僕が若い頃は単館系マイナー洋画がブームだったから隔世の感があるよね。
ということで、また来週。
ごきげんよう。さようなら。
『THE BEST OF ENEMIES』
製作・脚本・監督:ロビン・ヴィッセル
製作:ダニー・ストロング(『ゲーム・チェンジ』)、トビー・マグワイア(『シービスケット』『スパイダーマン』)ほか
原作:オシャ・グレイ・デビッドソン『THE BEST OF ENEMIES』
出演:タラジ・P・ヘンソン(『ドリーム』『プラウド・メアリー』)、サム・ロックウェル(『スリー・ビルボード』『バイス』)、バボー・シーセイ(『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』)、ウェス・ベントリー(『アメリカン・ビューティー』)、アン・ヘッシュ(『6デイズ/7ナイツ』)、ブルース・マッギル(『冒険野郎マクガイバー』)、ジョン・ギャラガー・Jr(『アメリカン・イディオット』)、ニック・サーシー(『マネーボール』『シェイプ・オブ・ウォーター』)ほか
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